女性ファッション誌「Oggi(オッジ)」(小学館)の美容専属モデルとして活躍しながら、女優としても存在感を発揮している若月佑美さん。人気グループ「Sexy Zone」の中島健人さんが主演する、動画配信サービス「Netflix」が企画・製作する映画「桜のような僕の恋人」(深川栄洋監督、3月24日全世界独占配信)に、中島さん演じる朝倉晴人の先輩カメラマン・市川真琴役で出演。そのりんとした姿から“強さ”も感じられる真琴に「重なる部分があった」と共感する若月さんに、今作に出演した感想や「強く見られること」への思いなどを聞いた。
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映画は、発行部数が70万部を突破した宇山佳佑さんの同名小説(集英社文庫)が原作のラブストーリー。美容師の美咲(松本穂香さん)に恋をした晴人(中島さん)は、美咲をデートに誘う。晴人は美咲にふさわしい人間になるべく、あきらめかけていたカメラマンへの夢をかなえようと決意。しかし、美咲は人の何十倍も早く老いていく難病を発症してしまう……というストーリー。
若月さんが演じる真琴は、先輩として晴人に夢を追う姿勢をみせる、頼もしく見える女性。若月さんは「ここまでりんとしてクールな女性を演じることがこれまであまりなかったので『新しい挑戦だな』と思いました。今までにあったようでない、そんな役という印象で、とても楽しみでした」と当時の心境を明かす。
そんな芯の強い女性を演じるため、深川監督からアドバイスも受けながら自分なりの“真琴像”を作り上げていった若月さん。さばさばした真琴からは、一見、強い女性という印象を受ける。そうした人物像は自身にも重なるところがあるという。
「真琴はせりふや行動から、強くてクールで芯がある女性に思えてしまう。そこがちょっと自分と重なるところで。若月佑美という人間も、強く見られることがすごく多くて。よく『1人で生きていきそう』とか『キャリアウーマンとしてバリバリ働いていそう』とか『女社長になれそう』と友達に言われることが多いんです(笑い)。確かに、どちらかというとハッキリした性格なのかなとは思うし、頼るよりも頼られたいタイプなので、間違ってはいないんですけど……。落ち込むときは一気に落ち込んだり、マイナス思考になったりするところもあると自分では分かっているので、真琴のせりふを読んでいて『すごく強い女性に見えるけど、きっと裏ではこう思っているんだろうな』と思いながら演じていました」
弱い一面も当然あるが、周囲からはどうしても強い女性として捉えられることが多い。だが、そんな捉えられ方を否定するのではなく、若月さん自身は「そう見てもらえて、ありがたいなと思うときもあるんです」と肯定的にみている。「自分が普段から『頼りたいと思われるような存在でいたい』『この人に相談したいなって思ってもらえるような人でいたい』と思って動いているので、結果的にそう思っていただけているのは良かったと思っています」と若月さん。ただ、一方で「怖さも若干ある」と言い、「“弱い自分”が見えたときに、期待を裏切ってしまうんじゃないかとか、そういう怖さは多少あります」と笑いつつ胸中を明かす。
撮影中は、主人公の晴人を演じる中島さんと最も多くの時間を過ごした。同じシーンで本格的に共演するのは今回が初めてだったといい、「周りへの気配りやサービス精神がどこにいても感じられて、俳優として、タレントとしてとっても勉強させていただきましたし、尊敬しました」と若月さん。役について話し合うこともあったが、好きな食べ物など他愛のない話もした。「私の想像ですけど、晴人と真琴はきっとカメラマンチームで飲みに行ったら先輩後輩関係なく『仲間』という意識で楽しく過ごすだろうと。そういう時間もあったと思ったので、『好きな食べ物なんですか?』というお話もさせていただいて。そういうところから想像を広げたりもしましたね」と振り返る。
今作は、人の何十倍も早く老いていく難病を発症してしまう美咲と晴人のラブストーリー。そこで描かれるのは「限りある時間」だ。時間というものについて、普段から考えることが「すごくある」という若月さん。自身にとって、「時の流れ」は一番怖いものだという。
「止められないじゃないですか、それがちょっと怖い。哲学のような話になってしまうけど、『今を大切に』と言ったとして、その言葉すらもう既に過去なんだな、と……。そういう実体のない感じに、すごく不安にさせられるんですよね」と若月さん。また、年齢による変化からも考えることがあるという。
「年を取ったな、と感じることも最近は多いです。階段の上り下りがしんどいな、とか、そういうレベルなんですけど(笑い)。それに着る洋服も変わってきますね。少し前に着ていた服が似合わなくなる、とか。自分の中の感覚が止まってしまっていても、自分自身(の体の変化)は進んでしまっている、という不思議さを、25歳を超えてからすごく感じるようになりました。若いときは脚を出していたけど、出さなくなる……とか。『変わります』と言ったわけじゃないのに、気がついたら変わってしまっている自分がいる。そういう時の流れの怖さを感じています。時間というものについて考えることは多いですね」
ただ、一方で仕事のうえではプラスになることも多いとみている。「特に映像作品では、オッケーが出て『ああ、もうこのせりふを、この空気のこの場で言うことはないな』と思うと、その一瞬を大事にしなきゃいけないと感じます。あと、最近は役柄もどんどん変わって、以前は学生役が多かったけれど今は子持ちの母を演じることもあるので、『そうかー』と。でも、それができるのも年齢を重ねたからこそ。きっと17歳の私にはできないことだから、そこは時間がたってよかったなと思うところでもあります」とほほ笑む。
そんな若月さんは昨年でデビューから10年。10年という歳月に「びっくりしています」と率直な感想をもらし、「すべてに感謝だな、と思います。続けさせてくれた周りの方にも感謝ですし、家族を含め、10年間応援してくれた人たちにも感謝。そこまで頑張った自分にも感謝。いろいろな感謝を思い出す11年目だなと思っています」としみじみ。そして、これからも向上心を持ち続けていきたいという。
「子供のころに思っていた大人って、なってみると意外と大人じゃない。まだまだ知らないこと、分からないことだらけという感じで、そんな11年目ですね。1年目のころは『芸歴10年』というとベテランのような雰囲気だと思っていたけど、10年たってみると『まだまだです』と(笑い)。それを一生持つ職業なんだろうな、と思います。でも、いい意味で向上心をずっと持ち続けられると思っているんです。ただ、ずっと甘えているわけにはいかないので、10年たっているからこそできることもしっかり身につけて、期待に応えられるようにしたいですね」
今は「やりたいことがあふれている」とエネルギッシュに語る若月さん。普段は女優にモデルにと表に立つ側だが、一方で“裏側”にも興味がある。「企画をしたり、プロデュースをしたり。打ち合わせが好きなんですよ(笑い)。いろんな人の意見が組み合わさってひとつのものができていく、という場所が好き。表で頑張ることももちろんですけど、プロデュースもやってみたい。今、美容専属モデルをやらせていただいているので、たとえば化粧品をプロデュースしてみるとか、そういう方向で、得た知識を作る方で生かせたらいいなと思います」と新たな挑戦への意欲を口にしていた。
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