江口拓也:「SPY×FAMILY」 ロイドの「人間らしさをより魅力的に」 掛け合いで生まれる熱

「SPY×FAMILY」の一場面(C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
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「SPY×FAMILY」の一場面(C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

 集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中のマンガが原作のテレビアニメ「SPY×FAMILY」が、4月9日午後11時からテレビ東京ほかでスタートする。同作のメインキャラクターで、スパイのロイド・フォージャーを演じるのが人気声優の江口拓也さんだ。江口さんは演じる上で「ロイドの人間らしさをいかに魅力的に表現できるか」を大事にしているといい、「自分自身も楽しみながら『そこまでいっちゃっていいんだ!』という部分を落としどころとして見つけていきたい」と話す。アフレコの様子、作品への思いを聞いた。

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 ◇ロイドの魅力 人間への情があるから任務をこなせる

 「SPY×FAMILY」は、2019年3月に「少年ジャンプ+」で連載をスタート。すご腕スパイの<黄昏(たそがれ)>が、任務のためにロイド・フォージャーとしてかりそめの家族を作り、新生活を始める……というストーリー。スパイの父、超能力者の娘、殺し屋の母が互いに正体を隠して生活することになる。アニメは、「機動戦士ガンダムUC」などの古橋一浩さんが監督を務め、「進撃の巨人」シーズン1~3などのWIT STUDIO、「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」などのCloverWorksが制作。ロイドの娘となる超能力者のアーニャを種崎敦美さん、妻となる殺し屋のヨルを早見沙織さんが演じる。

 原作は、数々のマンガ賞に輝き、コミックスのシリーズ累計発行部数が1500万部を超える人気作で、テレビアニメ化、キャスト発表の際は大きな話題となった。江口さんはロイド役で出演が決まり、「周囲の反響で、すごく大きな作品に関わったんだなと実感した」と話す。

 「アニメーションの役柄は、基本的にオーディションで決まるので、選んでいただいた喜びは、どの作品も同じぐらいうれしいです。今回もそうだったのですが、マネジャーさんの喜びようがすごくて(笑い)。より作品の大きさを感じました」

 「SPY×FAMILY」の舞台は、世界各国が水面下でし烈な情報戦を繰り広げていた時代で、東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)が10年以上冷戦状態にある世界。江口さんが演じるロイドは、西国のすご腕スパイで、平和を守るために日々任務に明け暮れている。

 江口さんは原作を読み、「シリアスな展開というよりは、ハートフルなお話」と感じたという。

 「スパイと殺し屋と超能力者が不思議な関わり合いのもと仮の家族を作るという、設定の“とんでも感”というか、ぶっ飛んだところから始まる。そこでどうやって展開していくんだろうと思っていたら、ギャグも多いし、複雑そうに見えて、意外とメッセージはシンプル。だからこそ心を動かすものがあるんじゃないかと感じました」

 ロイドに対しては「情に厚い人」という印象を持ったという。

 「最初は、すご腕スパイということで、鉄の仮面をかぶったような、物おじせず機械的な人間なのかなと思ったのですが、その根本には温かいものがある。第1話でもロイドがスパイになった理由が描かれるのですが、守りたいものがあって、人間への情があるから、どんな任務もこなせる」

 ◇物騒な“ヨル”早見沙織に魅力 種崎敦美に「毎回裏切られる」

 ロイドの娘となるアーニャは、実は心を読むことができる超能力者、妻となるヨルは、実は殺し屋。互いに素性を知らないまま家族生活がスタートする。江口さんは、アーニャ役の種崎さん、ヨル役の早見さんと共に「本当に信頼感を持って収録に臨んでいる」と話す。

 「早見さんとは、僕が人生で初めてオーディションに合格した作品でもご一緒していて、その後も共演の機会が多いんです。不思議な魅力があるとてもすてきな方で、『SPY×FAMILY』でも、ロイドが守りたい対象としてのヨルさんを見事に表現してくださっている。ヨルさんの殺し屋としてのシーンは、僕は関わることがないので、収録を後ろで見ているのですが、早見さんが物騒なせりふをいえばいうほど、いいなと。物騒な早見さん、いいなって(笑い)」

 アーニャ役の種崎さんについては「どんな役もこなせるスペシャリスト」と魅力を語り、「SPY×FAMILY」の収録でも「いろいろな面白いアーニャを現場に持ってきてくださる」と話す。

 「アーニャと過ごしていくうちにロイドの気が緩むというか、アーニャの人間らしさに触れることで、ロイドが人間らしさを取り戻していく部分があるので、ロイドはアーニャにすごく影響を受ける。種崎さんがいろいろな面白いアーニャを現場に持ってきてくださるので、僕もいい意味で毎回裏切られています(笑い)。種崎さんが演じるアーニャによって、ロイドの自由度を上げてもらっていると感じますし、刺激を受けています。早見さん、種崎さんと掛け合うことで、自分が作っていったロイドのせりふのニュアンスが変わったり、僕だけでは生み出されなかった言葉の熱量や温度感が生まれるなと、すごく感じますね」

 ◇ギリギリのラインを狙っていきたい ロイドの人間らしさを表現

 江口さんに第1話の見どころを聞くと、「ロイドがなぜスパイになったのかが語られるシーン」を挙げる。

 「アーニャを通して『だから自分はスパイになったんだ』と思い出すシーンなのですが、原作を読んでいてもグッときたシーンだったので、その時の気持ちを思い出しながら演じました。ただ、気合を入れすぎると失敗するので(笑い)、あえて感じるだけにとどめました。やはり『好き』という気持ちが先行してしまうと、予想以上に力が入ってしまったり、声を張ってしまったりするので、第三者としての目線も常に持って、ギリギリのラインを狙っていきたいなと」

 ロイドは回を追うごとに「アーニャに翻弄(ほんろう)されて、いろいろな感情が出てくる。ロイドの人間らしい部分が見えてくる」という。

 「そうなった時に、彼の人間らしさをいかに魅力的に表現、追求できるかというところを僕自身も楽しみたいですね。表現として『そこまでいっちゃっていいんだ!』という部分を落としどころとして見つけられたらいいなと思っています」

 ロイドがアーニャ、ヨルに振り回されながら“家族を作る”という任務に挑む姿が「SPY×FAMILY」の見どころの一つでもある。江口さんが演じるロイドがどんな魅力的な顔を見せてくれるのか、注目したい。

 ※種崎敦美さんの「崎」は「たつさき」

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