歌手デビュー曲「pARTs(パーツ)」が配信中のNatumi.(なつみ)さん。4月11日に初回が放送されたアニメ「境界戦機」第二部(テレビ東京ほか)のエンディングテーマを担当したことでも注目されている。6月1日にCDデビューも決定しているNatumi.さんに、歌手を志した経緯や、デビュー曲や同曲のミュージックビデオ(MV)の制作秘話、デビューへの思いなどを聞いた。
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Natumi.さんは広島県福山市出身。高校時代までを地元で過ごした。幼少期は、父方の祖父母が経営していたカラオケ喫茶で「祖父が好きだった北島三郎さんの『まつり』や、大塚愛さんの『さくらんぼ』、あとは(NHKの)『みんなのうた』で流れるようなほのぼのした歌をよく歌っていた」といい、それを機に歌うことが好きになったという。
その後、父の勧めで「アクターズスクール広島」に26期生として入学し、小学5年生から中学2年生までの間、同校で歌とダンスを学んだ。入学するためのオーディションでは審査員特別賞を受賞。そんなNatumi.さんが“アーティストへの道”に目覚めたのは、小学6年生でアクターズスクールの発表会に参加した時のことだった。
「半年に1回くらい発表会があって、ソロやグループで出るんですけど、ソロで歌う枠は決まっていて、それもオーディションで決定するんです。初めて合格して、ソロで初のステージに立った時、歌っている途中は結構、必死だったんですけど、歌い終わってからの拍手だったり、舞台上からの景色がすごく気持ち良くて。それが『アーティストになって大きいステージで歌いたい』と思ったきっかけですね」と当時の思いを振り返る。
アクターズスクールに通う一方、Natumi.さんは、テレビ番組「関ジャニの仕分け∞ 第2回歌うまキッズ最強No.1決定戦」に出演、広瀬香美さんの「ロマンスの神様」、アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」、小柳ゆきさんの「あなたのキスを数えましょう」を歌って準優勝に輝いたほか、2014年にはMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島(広島市南区)で開催されたプロ野球公式戦「広島対阪神」で国歌独唱するなど、さまざまなイベントやテレビで活動をしてきた。
「関ジャニの仕分け∞」については、「テレビに出ることが初めてだったので、収録スタジオで歌っているという状況が本当に非現実的で……。とにかく必死でした。まさか準優勝できるとは思っていなかったので、ビックリしたのと同時にすごくうれしかったです」と語り、国歌独唱は「アクターズスクール内で歌う人を1人決める、というオーディションで受かって、歌わせていただきました。スタジアムの土を踏んだ時、空気が変わった感じがして、初めて頭の中が真っ白になったというか。それぐらい極度に緊張したことを覚えています」という。さらに「当時はプロでないにもかかわらず、いろんな場所で歌わせてもらって、こういう経験があったからこそ今の自分があるんだなと思います」と感謝する。
中学生の時にアニメ「ギルティクラウン」を見てアニソンが好きになり、それからLiSAさん、安室奈美恵さん、Aimer(エメ)さんといった女性アーティストの曲を聴くようになったというNatumi.さん。3人とも目標とするアーティストでもあり、「LiSAさんは高音がパワフルに出ているのがカッコいいし、お客さんを巻き込んで盛り上がるステージが見ていて楽しい。自分もそういうステージをできるようになりたい」と尊敬のまなざしを向ける。2018年に引退した安室奈美恵さんについては、ライブを体験することはかなわなかったものの、「完璧で洗練された歌とダンスがすごく好き。ライブDVDで見ていても『ライブを実際に見たいな』と思わせてくれる魅力が画面越しに伝わってくる」と熱く語る。
特にNatumi.さんに大きな影響を与えたのがAimerさんだ。「Aimerさんは喉を壊して、声を出さずに治療する方法で今の声になったらしいんですが、私自身も顔にけがをしたことがあって、歌えない時期があったんです。ちょうど高校2、3年生のころで、進路をどうしようか、アーティストになりたいという夢はあるけど、歌えない状況になって『本当に自分はアーティストとしてやっていきたいのか、どういうアーティストになりたいのか』って考えて……。その時、Aimerさんの歌声やそういった生い立ちを自分に重ねて、すごく勇気づけられたんです」と明かし、「けがが治って歌った時に、やっぱり歌うことが楽しくて好きだし、これからも歌っていきたい。もう一度チャレンジしてみよう」と決心をしたのだという。
テレビアニメ「境界戦機」第二部のエンディングテーマとして放送中のデビュー曲「pARTs」は、「ギルティクラウン」のほか、「進撃の巨人」「機動戦士ガンダム」などの劇伴で知られる澤野弘之さんが作曲を手がけた。「アーティストとしてのデビューはもちろん、アニメのタイアップと、ファンである澤野弘之さんにいつか楽曲提供していただく、というのが夢だったので、その三つが一度にかなって、すごくうれしいのと同時に、頭が一瞬、混乱して……。最初にそのお話を聞いた時は、キャパオーバーしてフリーズしてしまいました」と笑顔で明かす。
「pARTs」は、伸びやかなボーカルとスケール感のあるメロディーが印象的なミディアムナンバー。「境界戦機」の主人公・椎葉アモウが、人型特殊機動兵器AMAIM(アメイン)と共に、隷属国となった日本を取り戻すための戦いに身を投じていく、という物語の内容にもリンクしている。Natumi.さんは「アモウくんがさまざまなことを乗り越えて成長していく姿や、戦う時の心情など、アニメの情景が浮かぶ壮大な楽曲」とコメントしつつ、背中を押すような前向きな歌詞が「自分自身、いろんなことがあって今のこの活動をしたいという決心につながったという意味で、重なる部分があって、すごく刺さるし、好きです」と語り、曲への熱い思いをにじませる。
同曲のMVは、海岸線を見渡す断崖絶壁での歌唱シーンが壮観な仕上がりで、初のMV撮影に臨んだNatumi.さんは「境界線が広がるような、空も海もすてきな場所で。絶壁なんですけど、怖いというよりは楽しかったですね。レース素材の衣装で、1月の撮影だったのでとても寒かったんですけど、ワクワクしている自分がいて。内心すごくうれしくて、楽しく撮影させてもらいました」と声を弾ませる。
土日もレッスンに通っていたアクターズスクール時代は、「友達がみんな土日に遊んでいるのがすごくうらやましくて。そういう普通の生活をしてみたいと思っていた時期もあった。“夢のために頑張る”というのがなければ、地元で普通に就職していたかも」と当時を思い返す。2020年に上京した後は、ボイスレッスンを受けながらデビューを目指していた。
レッスンや仕事以外は「家で過ごすのが好き」だといい、「ゲームをしたり、アニメを見たり、電子書籍でマンガを読んだりしています」とリフレッシュ法を語る。自炊もするといい、「皿うどんは得意料理かもしれないです」と笑顔を見せる。
待望のCDデビューが6月1日に決まり、「自分としてはまだまだスタートライン。いろんな方に私の歌を好きになってもらえたら」といい、デビューを前にして「ちょっとの不安もありつつ、ドキドキワクワクで、すごく楽しみ」と現在の率直な心境を語る。
将来は「『ライブで聴きたい』と思ってもらえるような、歌声で伝えられる、心に響くようなアーティストになりたい。目標は武道館でのワンマンライブ」と意気込みを語り、さらに10年後の未来には「アリーナツアーや、海外でライブができるようになっていたいです」と目を輝かせた。
(取材・文/水白京)
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