海に眠るダイヤモンド
第5話 一島一家
11月24日(日)放送分
2022年4月期のおもなドラマ主題歌を紹介。今年の春ドラマは、あいみょんさんの新曲をはじめ、miletさんやUruさんの書き下ろし楽曲、2人組ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraさんとしても活躍する幾田りらさんの書き下ろし曲といった女性シンガーの楽曲がそろった。そのほか、ロックユニット「B’z」の新曲など春ドラマで注目の主題歌をピックアップした。
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広瀬アリスさんが主演する「恋なんて、本気でやってどうするの?(恋マジ)」(カンテレ・フジテレビ系、月曜午後10時)の主題歌は、あいみょんさんの新曲「初恋が泣いている」(5月11日配信開始、6月8日CDシングル発売)。初恋の苦い思い出に縛られて先に進めない状況を、「初恋が泣く」と擬人化して表すと同時に、よどんだ心を打ち砕くような、新たな風を感じさせる楽曲に仕上がっている。
ドラマは、「恋なんて人生のムダ」と豪語し、恋愛への興味も経験もゼロの桜沢純(広瀬さん)が、ふと訪れたフレンチビストロでギャルソンの長峰柊磨(松村北斗さん)と出会い、恋のときめきを知っていく、というストーリー。純が「恋はいらない」と語る理由=自身の生い立ちや、柊磨の二股疑惑も絡み合い、今後の2人の関係に目が離せない。また、純の高校時代の同級生、清宮響子(西野七瀬さん)と真山アリサ(飯豊まりえさん)のそれぞれの恋模様も同時進行で描かれる。
同曲は、純が“推し”として憧れていた先輩・坂入拓人(古川雄大さん)に失恋し、柊磨の胸で泣きじゃくるシーンや、失恋から立ち直るために、恋愛刹那(せつな)主義の柊磨から提案された「お試しの恋」に臨むことを決心し、彼の部屋を訪ねる、といったシチュエーションで流れた。バンドアレンジを基調としたすがすがしいサウンドで、徐々に進展していく2人の恋を一層盛り上げている。
土屋太鳳さんが主演を務める「やんごとなき一族」(フジテレビ系、木曜午後10時)の主題歌は、miletさんの書き下ろし楽曲「Walkin’ In My Lane」(配信中、5月25日CDシングル発売)。リズミカルな言葉の響きが印象的なナンバーだ。
ドラマは、下町の庶民の家庭で育った篠原佐都(土屋さん)が、莫大な資産を有する上流社会の名家の御曹司・深山健太(松下洸平さん)にプロポースされ、一族に嫁ぐところから始まる。佐都が理不尽な一族の掟(おきて)や親族内の争いに翻弄(ほんろう)されながら、健太と共に立ち向かっていく“アフター・シンデレラ・ストーリー”。
力強さと軽快さを併せ持つ同曲は、どこかコミカルさを醸し出す物語にマッチし、策略や欲望にまみれた一族の鬱屈した空気を吹き飛ばすような痛快さがある。また“私は私の道を行く”という前向きなエネルギーにあふれ、一族の古いしきたりに物申し、挑んでいく佐都の背中を押す役割を担っている。
二宮和也さん主演の「マイファミリー」(TBS系、日曜午後9時)の主題歌は、Uruさんの新曲「それを愛と呼ぶなら」(配信中、6月1日CDシングル発売)。ドラマへの書き下ろし楽曲で、“再生”や“再起”をテーマにしたラブソングだ。
ドラマは、鳴沢温人(二宮さん)、鳴沢未知留(多部未華子さん)夫婦の娘・友果(大島美優さん)が誘拐され、2人が警察の力を借りずに娘を救おうとする……という事件をきっかけにしたファミリーエンターテインメント。その過程で、お互いに今まで目を背けていたものや知らなかったことに気づき、壊れかけていた家族の絆を見つめ直していくという、“再起”を懸けた物語だ。第4話以降は、友果は無事に救出されたが、温人の大学時代の友人で弁護士・三輪碧(賀来賢人さん)の娘・優月(山崎莉里那さん)が誘拐され、連鎖する事件に対峙(たいじ)する家族や人間関係にも焦点を当てている。
楽曲は、緊迫感がある中にも、家族や仲間が手をつなぎ、抱きしめ合う、といったクライマックスに欠かせない要素としてシーンに溶け込んでいる。優しく包み込むような歌声で、温人や友人、その家族たちが心を通わせていく瞬間を彩り、温かみを添えている。
上野樹里さん主演の「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」(TBS系、火曜午後10時)の主題歌は、幾田りらさんの新曲「レンズ」(発売日未定)。自分なりの視点で大切な人を思い、深く見つめる心情を、“写真”や“レンズ”といったアイテムを用いてつづったバラードで、一人だからこそ「共に生きること」に思いを巡らせている主人公がリアルに描かれている。
ドラマは、ヨガインストラクターの沢田杏花(上野さん)が、妻に先立たれた父・林太郎(松重豊さん)とダブル婚活を始める、というラブストーリー。杏花たちが入会した結婚相談所のスタッフでバツイチのシングルファーザー・東村晴太(田中圭さん)と杏花の恋の行方が見どころだ。偶然再会した幼なじみ・不破颯(磯村勇斗さん)を交えた三角関係に発展する中、「誰かと一緒に生きること」に深く向き合うようになる杏花の姿と楽曲の情景がシンクロする。
お互いに気になる存在でありながら、タイミングを逃してなかなか踏み込めない杏花と晴太。もどかしさや切なさが、繊細なボーカルによってより増幅され、ドラマの世界にぐっと引き込まれる。
また、木村拓哉さん主演の「未来への10カウント」(テレビ朝日系、木曜午後9時)はB’zの新曲「COMEBACK -愛しき破片-」、高橋一生さん主演の「インビジブル」(TBS系、金曜午後10時)は「Dragon Ash」の自身初のドラマ書き下ろし曲「Tiny World」(配信中)、間宮祥太朗さん主演の「ナンバMG5(エムジーファイブ)」(フジテレビ系、水曜午後10時)は「WANIMA」の新曲「眩光」(デジタルシングル「あの日、あの場所/眩光」として配信中)と、話題のバンド勢もラインアップ。
さらに、黒島結菜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ちむどんどん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の主題歌は、歌手の三浦大知さんの書き下ろし曲「燦燦」(配信中、6月8日CDシングル発売)、山下智久さん主演の「正直不動産」(NHK総合、火曜午後10時)はシンガー・ソングライターの小田和正さんの書き下ろし曲「so far so good」(配信中、6月15日発売のアルバム「early summer 2022」に収録)、「NEWS」の増田貴久さん主演の「吉祥寺ルーザーズ」(テレビ東京系、月曜午後11時6分)は男女3人組グループ「Awesome City Club」の「ランブル」(アルバム「Get Set」に収録)、滝藤賢一さんと広瀬アリスさんダブル主演の「探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~」(読売テレビ・日本テレビ系、木曜午後11時59分)は7人組ダンス&ボーカルユニット「BE:FIRST」の「Betrayal Game」(配信中)。
今田美桜さん主演の「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ系、水曜午後10時)は韓国出身の歌手・ジェジュンさんとジュンスさんのユニット「J-JUN with XIA(JUNSU)」の「六等星」(配信中、6月22日CDシングル発売)、ディーン・フジオカさん主演の「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~」(日本テレビ系、土曜午後10時)は歌手としても活動するディーン・フジオカさんの「DEAN FUJIOKA」名義による「Apple」が採用されている。
豪華アーティストによるバラエティーに富んだ楽曲が並んだ今年の春ドラマ主題歌。その音楽性の豊かさで、それぞれの物語にどんな味わいを加えるのか。春ドラマ&主題歌にますます注目だ。(水白京/フリーライター)