SONGS:「楽曲」への思い大切にし、“ワンアーティスト”深掘り 15周年を迎えた音楽番組の「使命感」

大泉洋さんが“責任者”を務めるNHKの音楽番組「SONGS」
1 / 1
大泉洋さんが“責任者”を務めるNHKの音楽番組「SONGS」

 2007年の放送開始から今年の春で15周年を迎えたNHKの番組「SONGS」(総合、木曜午後10時)。時間帯を含めて、変遷を重ねながらも、そのタイトル通り、各アーティストの「楽曲」への思いを長年にわたって大切にしてきた音楽番組だ。毎回、ワンアーティストにフォーカスを当て、魅力を深掘りすることで、「楽曲の意味合いや味わいがさらに増すように」と考えられ、制作されてきた。制作統括を務める篠原伸介チーフプロデューサー(CP)に話を聞いた。

ウナギノボリ

 現在は俳優の大泉洋さんが“責任者”を務め、アーティストとのスタジオトークとスタジオライブをメインに放送されている「SONGS」。2007年4月のレギュラー放送初回の記念すべきゲストはシンガー・ソングライターの竹内まりやさんだった。

 当初はアーティスト本人が語り部となって、自身の音楽性を語るという内容で、現在の対談形式とは異なっていたが、当時から「ワンアーティストにフォーカスを当てる」という部分は「SONGS」という番組の“イズム”として、変遷を重ねながらも受け継がれてきた。

 「番組側としても、そのアーティストとしっかり向き合わないとできないことですし、アーティスト側も、ほかの番組とは、また違う気持ちで出ていただけるというのはあると思います。アーティストの魅力をしっかりと深掘りして、『この楽曲にはこんな思いが込められていたんだ』と、ファンの方でも知らなかった部分を見せて、改めてその楽曲を聴かせることで、意味合いや味わいがさらに増す。そういったことを課せられている番組であると思っています」

 いろいろなアーティストを招いて、歌/演奏(またはトーク)を繰り広げる、同局でいうところ「うたコン」(総合、火曜午後7時57分)が「ある種のオムニバス」なら「SONGS」は、ワンアーティストをじっくりと楽しむための番組で、そこに存在意義がある。

 現在は“責任者”の大泉さんとゲストアーティストとのトークが番組の「看板」となっている。大泉さんといえば、「NHK紅白歌合戦」で、2年連続で司会に抜てきされるなど、いまや「NHKの音楽番組の顔」。「SONGS」での自身の役割には自覚的で、「大泉さんというフィルターを通すことで、アーティストを知ることができるなら見てみようという視聴者もいるはず」と篠原CPは推測。その上で、「通底していることはワンアーティストの魅力を深掘りしつつ、曲に隠された思いや意外なエピソード、さらに知られざる素顔を引き出すこと。そこは大泉さんと思いを一つにしてやっています」と語っていた。

 音楽の楽しみ方は人それぞれだが「楽曲」に限っていえば、Apple Music、Spotifyなどサブスクリプション音楽配信サービスが主流となり、各アーティストのYouTubeチャンネルも含めて、「結構なものがスマホで手に入る時代」。その中で、「テレビの音楽番組として何ができるのだろうかってことは、日々考えてはいる」と明かす。

 「音楽番組でしかできないことはあると信じているし、それは『SONGS』という番組のアイデンティティーにもなっていると思います。ネットメディアでは深掘りできない、テレビならではの楽しさや面白さを大切にしていきながら、照明や美術にもこだわって番組を作ってはいますので、今後も、いまや『NHKの音楽番組の顔』となった大泉さんを通して、『好きなアーティストを増やす扉』になっていければいいなと思っています」と語っていた。

テレビ 最新記事