芸人アニメ監督:ラランド・サーヤ、ゾフィー・上田航平、いおりがアニメ監督挑戦 異色のアニメ制作の裏側

「芸人アニメ監督」に出演する(左から)「ラランド」のサーヤさん、「ゾフィー」の上田航平さん、いおりさん
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「芸人アニメ監督」に出演する(左から)「ラランド」のサーヤさん、「ゾフィー」の上田航平さん、いおりさん

 お笑い芸人がアニメ監督となって、短編アニメを制作する様子に密着するバラエティー番組「芸人アニメ監督」が、フジテレビ(関東ローカル)で6月11日午後4時半から放送される。お笑いコンビ「ラランド」のサーヤさん、「ゾフィー」の上田航平さん、若手芸人のいおりさんが、アニメ監督として短編アニメの企画、キャラクターデザイン、絵コンテチェック、声優キャスティング、アフレコなどに挑戦。東映アニメーションがアニメの企画などに協力し、オレンジがアニメを制作する。

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 サーヤさんは、とある芸人の単独ライブ後、劇場の裏で人知れず起きるファン同士の“出待ちバトル”を描く「DEath MAtCH~リアルに恋してる~」を監督。上田さんが手がけた「うさぎ」は、童話「うさぎとかめ」をモチーフとしたアニメで、神様に呼び出されたうさぎが自身の世間の評判を知り、神様の力を借りて、世間からの評判を変えるため、かめとの競争をやり直す……という展開。いおりさんは「OVER THE RAINBOW」を制作した。人間と少し変わった動物たちが共存するとある星の日常を描く。番組では制作の過程を紹介するほか、完成したアニメを公開する。三者三様、個性的なアニメを作ったサーヤさん、上田さん、いおりさんに、制作の裏側を聞いた。

 ◇アニメを見る目が変わった!?

 --アニメを制作する中で意識したことは?

 サーヤさん 5分の中で、メッセージ、見せたい描写を入れていかないといけません。削らないといけないシーンもあったのが、苦しかったです。折り合いをつけないといけないのですが、やらないといけないという葛藤がありました。自分でお金を払ってでもあと2分ぐらい作りたかった気持ちもあります。でも、この時間内だったから、完結したところもあるんです。今回、参加させていただいてから、テレビでアニメを見ていると、今のシーンは、すごく時間かかってんだろうな……と考えるようになったり、制作側の努力を感じるようになって、ボーッとアニメを見れなくなってしまいました。

 上田さん 意識していたことが、意識できなくなっていたのかもしれません。こんなに悩んでいるんだ?と。紙1枚分くらいの台本だったのですが、それを何百倍も面白くしていただけたことが、すごいことです。感動的でした。中途半端なことはできないという気持ちもありました。

 いおりさん 「無」を主にテーマにしています。タイトルの扉が英語なのですが「無駄なものほど素晴らしい」「無知の知」とか「無」が入っています。無駄があるから、意味が生まれてくることがありますし、台無しって最高じゃないですか。だから最後は「台無し」になってたんです。何も考えずに見てください。

 --制作過程を紹介するドキュメンタリーパートを見て、感じたことは?

 サーヤさん ネタを見せることに慣れてるはずなのに、全く違いました。たった数分を見せるために、こんなに時間が掛かり、たくさんの人が関わっているんです。私、あんなにいろいろ注文していたんですね。最悪ですね……。でも、また別の作品も作ってみたくなりました。

 上田さん 密着映像を見て、自分の頭の中にあるものを人に伝えるために、思ってる以上に長い時間が必要で、いろいろな言い方をしているんだな……と思いました。自分の感覚では30分で説明したつもりでも、2時間くらい掛かっていたのかもしれません。いろいろな自分が見えました。

 いおりさん 何の偉業も成し遂げていないのに、こんな夢のような企画に参加させていただけるなんて! アニメを作るのは難しいことじゃないですか。難しいはずなのに、(スタッフが)全部くみ取っていただいて、すごくスムーズに進み、すごくいい経験でした。アニメーションを作るのは初めてで、テクニックも全部教えていただき、自分が思ってるよりもいい提案をどんどんしてくださったので、想像以上のものが出来上がりました。

 ◇個性的すぎる作品!?

 --監督と呼ばれて感じたことは?

 サーヤさん イヤでした。個人事務所なので、冗談で「社長」って言われることがあるんですけど、それもイヤなんですよね。学生時代もリーダーシップを取ることを避けてきましたし。でも、嫌われ役にならないといけないし、自分の意思を強く出さなきゃいけない。避けてきたものにぶち当たってる感じがして……。ちょうどそのタイミングで、やることにすごく意味があると思っていました。譲れない部分もあるけど、これを言ったら、いろいろな人が動くことになる……と考えたり。監督と呼ばれる人たちは、そういうところで戦ってきたんだろうな、と感じていました。

 上田さん 父親が野球部の監督でして、「監督」と呼ばれていたんです。自分がアニメで、監督と呼ばれるようになるとは思っていませんでした。不思議な運命ですね。監督家系なのかな? ずっと申し訳ない気持ちでした。収録の時、真ん中に座らせていただいて、いいのかな?と思ったり。監督だぞ!と思ったことはなかったです。

 いおりさん リーダーとか班長とか総理大臣とかに憧れてたんですよ。うれしかったです。経験がないのに、いきなり監督ってなって、皆さんに「監督」と呼ばれ、申し訳ない気持ちでした。「こいつが監督……」と思われないようにしようと心がけていました。

 --いおりさんは個性的な作風です。

 サーヤさん 個人的に好きですね。

 上田さん 今日、初めて会ったのですが、芸人でもシュールなのをやってやろう!とする普通の人もいるんですけど、それとは違って、全力で面白いと思ったものを表現した結果、シュールに受け取られるのかもしれません。計算がない。でも、ちょっとだけ強い理性を感じるんですよね。

 サーヤさん 芯が強いんですよね。

 上田さん 一貫性がちゃんとある。自分の中で筋が通っているけど、それを一切見せないんですよね。“いおりファン”として、この作品をより広めていくのが僕らの仕事なのかもしれません。

 いおりさん ありがとうございます。

 --最後にメッセージをお願いします。

 サーヤさん こびていない作品です。イヤな人はイヤかもしれません。応援してくださる人がいることが幸せで、それを表現できたかな?と思います。また、やりたいです。

 上田さん 普段、これできないな……となることもありますが、アニメは無限にやりたいことができます。子供に見てほしいです。コントとかでは、子供に見てほしいとは一回も思ったことがないのですが(笑い)。

 いおりさん 東映アニメーションさんとアニメを作ることが、夢のようでした。美術大学出身ですし、裏口から入学した気分でした。いつもは、フリップを使ってネタをやっているのですが、動けばいいのに!と思いながら、自分で手で動かしていました。本当に夢みたいでした。作品の中に「はひふへほ」が隠れています。見つけたら、ラッキー!と思っていただけたら、うれしいです。

(C)フジテレビ/東映アニメーション (C)東映アニメーション

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