パリピ孔明:春アニメのダークホース 映像、音楽に妥協なし プロデューサーが語る制作の裏側

「パリピ孔明」の一場面(C)四葉夕卜・小川亮・講談社/「パリピ孔明」製作委員会
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「パリピ孔明」の一場面(C)四葉夕卜・小川亮・講談社/「パリピ孔明」製作委員会

 「ヤングマガジン」(講談社)で連載中のマンガが原作のテレビアニメ「パリピ孔明」。孔明がパリピ!? インパクトが大きく、出落ち感もあるタイトルだが、内容は意外にも骨太で、2022年春アニメのダークホースとの呼び声も高い。見てみれば、ふざけているのか?という先入観が払拭(ふっしょく)されるはず。映像が美しく、キャラクターの成長、心の動きが丁寧に描かれ、音楽も本格的だ。原作が面白いのはもちろんだが、アニメの映像、音楽の全てが素晴らしく、随所にスタッフの本気を感じる。アニメを手がけるDMM picturesの藤野麻耶プロデューサーに制作の裏側を聞いた。

 ◇原作がすごい! 逆異世界転生が新鮮

 「パリピ孔明」は四葉夕トさん原作、小川亮さん作画のマンガで、ウェブマンガサービス「コミック DAYS」(同)で2019年に連載を開始。2021年に「ヤングマガジン」に移籍した。 2020年に「次にくるマンガ大賞」のウェブマンガ部門「U-NEXT賞」に選ばれるなどアニメ化の前から話題になっていた。

 三国志の英雄にして天才軍師・諸葛孔明が渋谷に転生し、歌手を目指す月見英子の歌に心を打たれ、自ら軍師になることを申し出ることになる。英子が歌手、人間として成長していく姿が丁寧に描かれ、英子がひたむきに頑張る姿を見ていると応援したくなる。

 「異世界転生ものが流行している中、現代日本からファンタジーの世界に転生するのではなく、三国志という過去の世界から現代の日本に転生する“逆異世界転生”とも言える設定が新鮮でした。主人公の英子ちゃんも魅力的です。普通の渋谷のギャルなのですが、歌いたいのにくすぶっている中、孔明と出会い、成長していきます。応援したくなるんですよね。三国志を知らなくても、英子ちゃんを応援したくなる気持ちが芽生え、孔明と共に勝ち進んでいくところを楽しめる作品なんです」

 藤野プロデューサーは「元々、三国志が好きで、三国志ものがやりたかった」という。「パリピ孔明」はタイトルから想像できないかもしれないが、しっかりした“三国志もの”だ。一方、三国志の知識がなくても楽しめる間口の広さがある。もちろん、三国志を知っていれば、より楽しめる。

 「深夜の放送ですし、仕事で疲れて帰ってきた時、気軽に見て、元気が出るアニメにしようとしました。三国志は諸説がありますし、それを知らなくても、何となく分かるようにしたかったんです。三国志を説明するようなアニメにはならないようにしました。毎回、三国志のエピソードを挟んでいますが、シナリオ会議で、三国志の詳しいスタッフが案を出し合い、孔明と英子ちゃんの物語が際立つように、三国志がエッセンスとしてあるくらいの感覚で作ろうとしました」

 「英子が可愛い!」というファンの声も多い。アニメになることで、キャラクターがより魅力的になったようにも見える。

 「キャラクターデザインの関口可奈味さんには、本当に可愛らしく描いていただきましたし、(英子役の声優の)本渡楓さんの演技は、まさに英子ちゃん!となります。本渡さんには『美少女キャラクターになりすぎないように』『渋谷のギャルっぽくしてください』とお願いしました。シナリオ会議の時は、英子ちゃんが嫌われないように、応援したくなる、前向きに見えるようにしようとせりふ回しに気をつけたところもあります。孔明はあくまでも策を授ける軍師で、壁を乗り越えるのは英子ちゃん自身じゃないといけないという芯があります。何でも孔明が解決していたら、英子ちゃんの成長物語にはなりません。英子ちゃんが自分で気付いて、自分で乗り越え、孔明はこっそり見ているという見え方になってほしかったんです」

 ◇映像がすごい! P.A.WORKSの細部のこだわり

 アニメを手がけるのは「true tears」「SHIROBAKO」「白い砂のアクアトープ」などのP.A.WORKSだ。P.A.WORKSがマンガ原作のアニメを手がけるのは初めて。繊細な心情描写などに定評がある制作会社ということもあり、“パリピ”なのか!?と意外に感じたアニメファンもいたかもしれない。

 P.A.WORKSはこれまでも「SHIROBAKO」などの“お仕事シリーズ”で、仕事を頑張るキャラクターが葛藤、成長し、キャラクターを応援したくなるような作品を制作してきた。「パリピ孔明」はこれまでの作品とも通じるものがあるのかもしれない。藤野プロデューサーも「P.A.WORKSのプロデューサーの方も『英子ちゃんを見て応援できるし、元気が出る作品』とお話していました」とうなずく。

 「パリピ孔明」もキャラクターの成長、人間ドラマを丁寧に描いている。

 「作画、演出が素晴らしいんです。『パリピ孔明』をアニメ化すると、ガチャガチャしたらギャグになってしまうかもしれませんが、キャラクターをきちんと描いていただいています。英子ちゃん、KABE君らは過去にいろいろなことがあります。そんな細やかなところが伝わる描き方をしていただいています」

 ライブシーンも本物のライブのような臨場感がある。実際に英子が歌っているような説得力のある映像になっている。

 「全く妥協がないんです。英子ちゃんが歌うシーンも実際に歌っているダンサーを撮影して、参考にしています。英子ちゃんは踊るわけではないのですが、そこもしっかり見せようとしています。第1話で英子ちゃんがギターを演奏するシーンもすごくこだわって描いていただきました。第2話のMIAのライブシーンもすごいんです。最初にコンテから覚悟を感じました。終盤になるとAZALEAのライブもありますし、英子ちゃんが説得力のある歌を聴かせるシーンもあります。最高の映像を作るために一切妥協をしないので、。もう、どこまでいっちゃうの!?とどんどんすごくなっていきます」

 ◇音楽がすごい! 本物が本気で

 オープニングテーマは、「FAKY」のAkinaさん、Takiさん、「lol」のhibikiさん、mocaさん、「GENIC」の金谷鞠杏さんのスペシャルユニット「QUEENDOM」によるパーティーソング「チキチキバンバン」のカバーで、YouTubeの再生回数が1000万回に迫る勢いだ。歌手の96猫(くろねこ)さんが、2006年の大ヒット曲で音楽ユニット「mihimaru GT」の「気分上々↑↑」をカバーしたエンディングテーマも話題になっている。

 劇中で英子たちが歌う楽曲、KABE太人のラップなども本格的で、映像だけではなく、音楽も一切妥協していない。

 「マンガでは音楽を表現しきれないところもあるので、映像になった時に真価を発揮する作品だと思っていました。日本でクラブシーンを引っ張ってきたエイベックスさんに相談させていただきました。英子ちゃんやKABE君のラップバトルもある中で、音楽を“本物”にしたかったんです。本物の方々に本気で作っていただいています。原作にもラップバトルがありますが、アニメならではの表現を目指して、韻の踏み方を少し変えています。『HOME MADE 家族』のMICRO(ミクロ)さんに監修していただきました。MICROさんは収録現場で、KABE君役の千葉翔也さんらのラップのディレクションもしていただきました。音楽を“本物”にしていただいたのは、エイベックスさんお力です」

 英子はダブルキャストで、本渡さんが声優、96猫さんが歌唱を担当する。本渡さんの演技、96猫さんの歌が違和感なくつながり、化学反応が起きることで、英子というキャラクターが魅力的に見えている。「96猫さんには、アフレコのスタジオに来ていただき、鼻歌、発声練習、掛け声のシーンなどを収録していただいています」と細部まで作り込んでいるから、違和感がないのだろう。

 英子の親友の久遠七海は、山村響さんが声優、Lezel(レゼル)さんが歌唱を担当。英子と同じく違和感がない。Lezelさんは新人で「ななみん(七海)の歌手はどうする?となった時、YouTubeでLezelさんの歌ってみた動画を見て、『この歌声はななみんだ!』となったんです。プロの方ではないので、誰かは知らなかったですし、未知数だったのですが」とスタッフが発掘した。

 「パリピ孔明」は、妥協なしで生まれた最高の映像、最高の音楽が融合した。

 「『パリピ孔明』が好きな人たちが集まり、みんな愛をもって本気で作っています。見ていただければ、絶対楽しんでいただけると思っています。最後には、ライブバトルもあり、まだまだ盛り上がります。ぜひご覧ください。9月のイベントでは、生のライブもあります。こちらも絶対に楽しめるイベントにします!」

 最終回、イベントも妥協なしで最高のエンターテインメントを見せてくれそうだ。

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