ウルトラマンデッカー:「ウルトラマンダイナ」のエッセンスとは? 挑戦も 武居正能監督に聞く

「ウルトラマンデッカー」のポスタービジュアル(C)円谷プロ(C)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
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「ウルトラマンデッカー」のポスタービジュアル(C)円谷プロ(C)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京

 特撮ドラマ「ウルトラマン」シリーズの最新作「ウルトラマンデッカー」(テレビ東京系)が7月9日から毎週土曜午前9時に放送される。1997~98年に放送され、今年25周年を迎える「ウルトラマンダイナ」のエッセンスを取り入れた作品で、新ヒーロー・ウルトラマンデッカーの活躍を描く。「ウルトラマンダイナ」のエッセンスとは?と気になっているファンも多いはず。メイン監督を務める武居正能監督に制作の裏側を聞いた。

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 ◇ダイナを引き継ぎつつ新しいものを

 「ウルトラマンデッカー」は、前作「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」の数年後、人類の未知なる世界への探求心・ネオフロンティアスピリッツが宇宙に拡大した時代が舞台。新たに再編されたエキスパートチーム・GUTS-SELECTの新人隊員・アスミ カナタが変身アイテム・ウルトラDフラッシャーを使い、ウルトラマンデッカーに変身する。2018年に「第31回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリに輝いた松本大輝さんが主人公のカナタを演じる。

 気になる「ウルトラマンダイナ」のエッセンスについて、武居監督は「ビジュアル的なところを取り入れていった。ウルトラマンのデザイン性だったり、スフィアが攻めてくるとかフロンティアスピリッツとか、そういった部分がダイナのエッセンスとしては大きいですね」と話す。

 武居監督は、ウルトラマンデッカーのデザインを「シルエットだけで見ればかなり“ダイナっぽい”」と話す。フラッシュタイプ、ストロングタイプ、ミラクルタイプの3形態にタイプチェンジできる点も「ウルトラマンダイナ」から着想を得た。

 「シルエットに“ダイナらしさ”を残した方がよいと思いました。戦い方もそうです。キャラクターとしてダイナを引き継ぎつつ新しいものを作ろうとしていて、ウルトラマンの象徴的なカラータイマーの位置を変えて“デッカーらしさ”を出しています。胸に宇宙の模様があるのも、斬新なデザインになったのでは」

 「歴代、格好いいものがありすぎて困るけど、今、結果的にはフラッシュタイプが一番好き」と自信を見せる。

 「シンプルさもあり、少しとがったところもある。動きもダイナを少し意識し、近年の人間に近い動きではなく平成初期の3部作の頃のイメージに戻しています」

 ◇未来、隊員の成長を描く

 前作「ウルトラマントリガー」の世界観を引き継ぎつつ、「ダイナ」とは違う切り口の新しい物語を目指した。

 「新しいチームが怪獣と戦いながら躍動し、成長していく物語を一つの基軸としていきたい。『トリガー』の世界から地続きなので、ストーリーを作る上で設定をかぶせている部分もありますが、あくまでストーリー自体は完全にオリジナルです。隊員たちの成長を描くことが一番大きなテーマで、そこを中心とした物語作りをしています」

 武居監督はこれまで「テーマは『未来』」ともコメントしていた。

 「未来に一歩一歩向けて歩んでいくことを見せていこうとしています。一歩一歩、物事を打開し、乗り越えていくことで未来が開けていく。今の積み重ねが結果として未来につながっていくところを描きたいと思いました。一足飛びにいきなり目の前のことが開けて打開されていく話ではなく、段階を追って着実に打開していくことが、等身大の主人公たちを描く一つの方法論ではあると思うので。個人的な印象として『トリガー』は、過去が現代に影響をおよぼし、過去に向かって戦いを挑む……というものでした。『デッカー』は、未来をどうするか?を描いていきます。シンプルに、起こってしまったことに対して順立て、どう一歩一歩打破していくのか?という話をメインにして、向かっている目線の違いを描いていこうと考えました。主人公自身の目線がどんどん開けていっているようなイメージで物語を作っています」

 「ウルトラマンティガ」「ダイナ」がそうであったように「トリガー」と「デッカー」もまた世界観は同じでも方向性やテイストが異なるようだ。

 「舞台が同じ作品ですし、やっぱりカラーを変えていかないといけない。踏襲する部分は踏襲しますが、『トリガー』のキャラクターとかぶらないようにキャラクターを設定していますし、テイストもだいぶ変わります」

 ◇若手キャストの必然性

 未来、隊員たちの成長を描く狙いもあり、主演の松本さんを含めメインキャストに若手俳優を抜てきした。

 「若手キャストである必然性、そうであるための理由もちゃんと描いていきたい。スペシャリストのチームなのに20歳くらいの人がいるのが気になる人もいるかもしれませんが、理由付けをしています。子供たちから見れば20歳ぐらいの人は大人ですから。身近な若者に憧れる方がいいとも思いますし、若手の主人公たちの物語を描こうとしています。今回、主人公は目の前のことをめげずに全力で一歩一歩乗り越えていくようなキャラクターを目指しています。子供たちにもそういう強い気持ちでへこたれず、一歩一歩成長していく姿を見せたい。悩み続けるより、明るく、人懐っこく、みんなに愛されるようなキャラクター、カラッとした主人公で描こうとしています」

 ヒロインのキリノ イチカ隊員を演じる女優の村山優香さんについては「見るからにたくましそうな人ではなくて、見た目とギャップのあるキャラクターという意味で彼女を選びました。彼女がみんなに負けないぐらい活躍をして、一生懸命成長していく姿を見せるのも一つ、面白みとしてあるなと思っています。そこも作品の魅力の一つになるのでは」と起用理由を説明する。


 ◇びっくりするような仕掛けも

 「ウルトラマン」シリーズの魅力を「若い俳優がキャリアを積んで成長していく過程、物語上でも新人隊員からスペシャリストになっていく姿が実際の状況とマッチしている。ある意味“青春物語”でそこが面白い。人間体の素早い動きもできるキャラクターが怪獣と戦う。しかも巨大であるところが唯一無二。厳密に言うと唯一ではないですが、ウルトラマンは超越した存在なので、非常に自由度が高い見せ方ができます」と語る武居監督。

 「ウルトラマンデッカー」では「若い世代の隊員が躍動するところを魅力的に各監督、各脚本家の皆さんと作り上げています。新しい監督もいますし、新しい撮り方、魅力もあると思う。主人公を描きつつ、隊員たちのキャラクターを浮き彫りにしようとしています。いろいろびっくりするような仕掛けをご用意していますので、お楽しみください」とさまざまな挑戦もあるようで、驚かせてくれそうだ。

(取材・文:遠藤政樹)

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