キングダム:原作者・原泰久が明かす羌カイ誕生秘話 実写化に不安も清野菜名に太鼓判

「キングダム」作者の原泰久さん
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「キングダム」作者の原泰久さん

 原泰久さんの人気歴史マンガの実写映画「キングダム2 遥かなる大地へ」(佐藤信介監督)。2019年に公開された実写映画第1作の続編で、原作でも読者投票で1位になるなど人気キャラクターの羌カイ(きょうかい)が初登場し、女優の清野菜名さんが演じることも話題になっている。原作者の原さんが脚本に携わり、原作にはない羌カイのオリジナルシーンも描かれており、原さんは「羌カイの実写化って難しいと思っていたのですが、清野さんが演じる羌カイは素晴らしかったです」と語る。原さんに、羌カイの誕生秘話、映画について話を聞いた。

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 ◇羌カイが女性キャラクターになった理由

 「キングダム」は、2006年からマンガ誌「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中の人気歴史マンガ。コミックスが第65巻まで刊行されており、累計発行部数は9000万部以上を誇る。中国の春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍を目指す戦争孤児の信と、後に秦の始皇帝となる秦王・エイ政たちの活躍を描く。 実写映画版は、山崎賢人さんが信、吉沢亮さんがエイ政をそれぞれ演じ、2019年に公開された第1弾が興行収入は57億3000万円を突破。同年に公開された邦画実写作品の興行収入で1位になった。

 清野さん演じる羌カイは、1000年を超える歴史を持つ伝説の暗殺一族・蚩尤(しゆう)の一人。特殊な呼吸法で自身の身体能力を向上させる巫舞(みぶ)という戦闘術を操る。秦と隣国の魏が激突する蛇甘(だかん)平原の戦いで、信と出会い、共に戦う。

 史実では羌カイという武将は存在するが、女性だったかは分かっていない。「キングダム」の羌カイはどのようにして誕生したのか? 原さんは「作品に強い女性がほしかったんです」と語る。

 「『キングダム』は、戦場中心の物語のため、どうしても男性キャラクターが多くなってしまいます。女性キャラクターがほしいと考え、登場させたのが、羌カイと楊端和(ようたんわ)でした。2人とも史記に名を残していますが、必ずしも『男性だった』という記述があるわけではないので、女性とさせていただきました(笑い)。2人とも、滅ぼした国を平定した将軍と書いてあるんです。国を平定するというのは、武力だけではない特別な能力がある人でないと難しい。だから女性が合っているのでは?と考えたんです。当初から、羌カイは人気キャラになるだろうなと思って描いていた部分もあって、ある程度は“くるな”と思っていました」

 ◇「信と羌カイの関係性が深まった」映画オリジナルシーン

 公開中の映画「キングダム2 遥かなる大地へ」は、原さんが脚本に携わり、原作では蛇甘平原の戦いの後に描かれる羌カイの過去のエピソードをオリジナルシーンも交えて挿入した。

 「プロデューサーさんから、蛇甘平原の戦いを描くとなると、2時間の間ほぼ戦場が舞台になる……という話があって、ドラマ要素が少ない点が課題として挙がりました。羌カイの過去のエピソードを入れれば、信との関係性に新たなドラマが生まれると思い、オリジナルシーンとして構成することになりました」

 オリジナルシーンは、原さんが自らネームを描いたといい、「絵コンテに慣れていなくて。結局ネームを50ページくらい書いて提出して」と笑う。「闇の中でその先が見えていない羌カイが、信と出会い、光を見いだして……と良いエピソードが生まれたなと思います」と自信を見せる。

 「原作以上に信と羌カイの関係性が一気に深まるエピソードになりました。原作だと、信は、河了貂(かりょうてん)を通して羌カイの過去を聞いています。羌カイから直接、聞くことによって、2人の関係が近くなったのではないでしょうか」

 原さんは、映画の信と羌カイのシーンを見て感動したといい、清野さんの演技を絶賛する。

 「清野さんの演技が素晴らしくて! 少ないセリフの中で、羌カイの細やかな感情の変化を見事に演じられていました。ラストシーンは号泣しましたね。羌カイの実写化って難しいなと思っていたのですが、清野さんに演じていただけてとてもよかったです!」

 原さんも太鼓判を押す清野さんの演技に注目してほしい。

※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」

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