海渡翼:「ブルーロック」でテレビアニメ初レギュラー 蜂楽廻役に真摯に向き合う

「ブルーロック」に出演する海渡翼さん
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「ブルーロック」に出演する海渡翼さん

 「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の金城宗幸さん原作、ノ村優介さん作画のサッカーマンガが原作のテレビアニメ「ブルーロック」が、テレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation(ヌマニメーション)」で10月8日深夜1時半から放送される。原作は累計発行部が1000万部を突破し、第45回講談社漫画賞の少年部門に選ばれた話題作で、人気キャラクターの蜂楽廻(ばちら・めぐる)の声優を務めるのが、新人声優の海渡翼(かいと・たすく)さんだ。海渡さんがテレビアニメにレギュラー出演するのは初めてで、人気キャラクター役に抜てきされた。海渡さんは、抜てきに「まさか自分が!?」と驚いたというが、収録の中で先輩の演技に刺激を受けながら、日々成長しているという。海渡さんに、同作への思い、収録の裏側について聞いた。

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 ◇サッカー経験者から見た魅力

 「ブルーロック」は、「週刊少年マガジン」で2018年から連載中。日本をサッカーW杯優勝に導く“絶対的エースストライカー”を誕生させるための国を挙げたプロジェクト“ブルーロック(青い監獄)”プロジェクトがスタートし、集められた300人の高校生が戦いを繰り広げることになる。

 ストライカー300人の生き残りをかけたバトルロイヤルを描くという斬新な設定、個性的なキャラクターが人気を集めている。

 「青春、友情とは全く違うサッカーマンガだと思いました。個の力を大事にしていて、そこが魅力だと感じました。こういう状況に追い込むことで、きっと彼ら自身の一人一人の個性が光り、欲が出てくる。それぞれの個人の生い立ち、どういうプレーが得意なのか?と気になり、彼らをどこに置いたら能力が発揮されるのか?とゲームメークの流れを見ようとするんですね」

 海渡さんは中学、高校でサッカー部に所属していた。

 「高校3年生でリタイアしちゃったので、サッカー経験は5年くらいですね。サイドハーフ、ウイングと呼ばれるポジションでしたが、高校になってからは、いろいろなポジションを試しました。監督がそれぞれの適性のポジションを探そうとしていたようで、『ブルーロック』に少し似ているのかもしれません。僕も蜂楽のように走る選手でした。僕のドリブルは『なんかいつの間にか抜けているよね』と言われたことがあったんです。結果的に隙間を抜けて走ってるみたいな感じだったんです。そんな大層なものでは全然ないんですけど。ただ、これが僕の武器なのかな?と思ったことがありました。

 サッカー経験者として「ブルーロック」の魅力をどう感じているのだろうか?

 「サッカーを経験していて思うことですが、肉体には限界があるけど、思考することには限界がないんですよね。走らない選手がいたとしても、このタイミングで動けば!という思考と一瞬を見逃さない本能で動くことで活躍できます。『ブルーロック』とリンクしているところがあると思います」

 ◇本能で動く蜂楽を楽しむ

 海渡さんが演じる蜂楽は、自由奔放なプレースタイルを好む。武器は、センス抜群のドリブルだ。発言も自由なキャラクターということもあり「オーディションを受けたときは、どうやって演じたらいいのかな?と本当に悩んだのですが、悩むのをやめました(笑い)」と明かす。

 「蜂楽は本能的に動いてるので、多分、考えても無駄じゃないかな?と思っちゃうところがあったんです。本能で動いてる人の考えを読むことは難しい。もちろん蜂楽の性格のことを考えますが、本番になった瞬間に忘れます。じゃないと多分、蜂楽に付いていけない。蜂楽は、好きなことを純粋に楽しむところが魅力です。思ったことをすぐに行動に移します。高校生なのに、行動、言動が子供っぽいところもあるキャラクターです。『高校生という年齢に捕らわれなくてもいい。ただ、純粋に楽しむ子供のような気持ちでやってみてください』とディレクションをいただき、そこは僕も考えていたことなので、楽しい気持ちを前に出していこうとしました」

 無邪気で自由なキャラクターということもあり、瞬発力が大切になりそうだ。

 「蜂楽は、誰に何を言われても変わりません。その瞬間に思った言葉を発します。そこを意識しつつ、掛け合いで相手の言葉を聞いてから反応しようとしています。構築しすぎたら蜂楽ではなくなります。そこで起きたことを表現しようとしています」

 ◇浦和希の存在が緊張を和らげる

 蜂楽は個性的だが、ほかのキャラクターも個性的だ。小野友樹さん、斉藤壮馬さん、中澤まさともさん、松岡禎丞さん、千葉翔也さん、仲村宗悟さん、神谷浩史さん……と豪華かつ個性的なキャストが集まった。

 「埋もれそうで怖いです(笑い)。先輩の演技を見ることによって、学ぶことがたくさんあります。蜂楽は周囲に影響を与えるけど、僕は皆さんから影響を受けています。話数を重ねる中で僕も変化しています。蜂楽のようにテンションが変わるのが若干速くなりました。少し成長している部分が見えてきていますし、楽しいです」

 主人公・潔世一(いさぎ・よいち)役の浦和希さんも新人声優で、テレビアニメで主演を務めるのは初めてだ。海渡さんは、浦さんに助けられることも多いという。

 「浦さんは自分のことを『新人』と言うのですが、僕にとっては先輩です。本当に優しくて、いいお兄ちゃんのようです。僕は緊張してしまうけど、浦さんがいることで緊張が和らぎます。浦さんは『助けてもらっている』と言ってくれるんですけど、全然そんなことなくて。僕は対人スキルがあんまり高くないのですが、浦さんと共演する中で、人と話す時の垣根がだんだんなくなっていくのを感じています。作中では蜂楽が潔に影響を与えますが、僕が浦さんから影響を受けています」

 ◇楽しむことを忘れちゃいけない

 テレビアニメ初レギュラーにして話題作の人気キャラクターを演じる海渡さん。「もっと頑張りたい!」という思いで難役に挑んでいる。

 「まさか自分が!? 僕で大丈夫?というプレッシャー、気負いもあります。収録の時はそういうことをあまり感じませんが、始まる前、終わった時にプレッシャーを感じますし、完成した映像を見て、自分の未熟さが見えた時、もっともっと頑張らなきゃ!となります。ただ、マイナスに捉えるのではなく、プラスに考えようとしています。みんなで一緒に作品を盛り上げていこう!という雰囲気があって、僕としても作品にもっと貢献したいと思うんです。僕にとっても大事な作品なので、一つ一つ真摯(しんし)に向き合っていくしかない!という思いがあります」

 課題もあるかもしれないが「楽しむこと」を大切にしている。

 「現場経験が少ないので、一つ一つの経験が貴重ですし、その中で勉強しつつ、楽しむことを忘れちゃいけないと思っています。キャラクター自身も楽しんでるし、僕も楽しまなきゃいけません。皆さんがそういう空気を作ってくださっているので、本当にありがたいですね。ハードな内容が多い作品だけど、収録現場での僕らの会話は男子高校生みたいで、ギャップがすごく面白いんです。ただ、収録が始まるとスイッチが入ります。皆さん切り替えが本当にすごいんです」

 「ブルーロック」の出演をきっかけに「僕と蜂楽は性格が正反対です。天真爛漫(らんまん)さや無邪気さを表現するのが最初は難しかったのですが、収録を重ね、皆さんと掛け合わせさせていただく中で、僕の中で何かが変わり始めている感触があります」と成長を実感している。

 最後に、今後の目標を聞いてみると「今は胸を張って、これができます!とは言えないのですが、先輩は、この人だったら任せられる!という個性を持っている人ばかりです。僕もいつか、このキャラクターだったら任せたい!と思っていただける声優になりたいです」と笑顔で話していた。海渡さんの今後の活躍も期待される。


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