王立宇宙軍 オネアミスの翼:「ものすごい人が集まってすごい熱量で作った」 山賀博之監督、渡辺繁プロデューサーが伝説のアニメを振り返る

「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の4Kリマスター版の初日舞台あいさつに登場した(左から)山賀博之監督、森本レオさん、渡辺繁プロデューサー
1 / 1
「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の4Kリマスター版の初日舞台あいさつに登場した(左から)山賀博之監督、森本レオさん、渡辺繁プロデューサー

 劇場版アニメ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の4Kリマスター版の初日舞台あいさつが10月28日、新宿バルト9(東京都新宿区)で開催され、山賀博之監督、渡辺繁プロデューサーが登場した。貞本義行さんがキャラクターデザインを担当したほか、庵野秀明さん、樋口真嗣さんらが参加した名作で、1987年の公開から35周年を記念して4Kリマスター版が制作された。渡辺プロデューサーは当時の制作現場の様子を「ものすごい熱量だった。コップ一つのデザインでものすごく議論をする。その熱はほかで見たことがなかった。企画書をいただいて、2年半で公開している。ものすごい人が集まって、すごい熱量で作った」と振り返った。

あなたにオススメ

 「王立宇宙軍 オネアミスの翼」は、ただ漠然と毎日を過ごす王立宇宙軍の兵士シロツグが、ある少女との出会いをきっかけに初の宇宙パイロットに志願し、いくつもの壁を乗り越え、宇宙を目指す……というストーリー。豪華クリエーターが作り上げた“伝説”のアニメではあるが、公開当時、24歳だった山賀監督をはじめ、参加したスタッフの多くは知る人ぞ知る存在で、一般的には無名だった。彼らはその後、「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」などアニメ史に残る名作を生み出すことになる。

 当時、バンダイの社員だった渡辺プロデューサーは企画が動き出した経緯を「入社4年目の平社員だったので、僕が決めたわけではないんです。社長が山科誠さんに変わり、新規事業にトライをして、映像事業に手を染めた。岡田斗司夫さんが『ガンダム』の『MSV』のアニメを作らせてほしいと企画書を持ってきた。その半年後くらいに劇場の企画を持ってきました。飛行機の絵を見て、ピンときたんです。どこかで誰か止めてくれ!という気持ちもあったんだけど、企画が通ったんです」と説明した。

 山賀監督は「大学生だったし、アニメ業界にも入っていない。だから、その時のスタンダードを知らない。作るのは初めてだし、論理的にやったらこうなった」と話した。

 公開当時は大ヒットしたわけではないが、根強い人気の作品ということもあり、4Kリマスター版が制作された。山賀監督は「4Kが高画質とは分かっていましたが、想像以上でした。監修して、見てみると、当時、作業していた素材をそのまま見られました。業界関係者だけど、すげえな!と感動しました。フィルムはどうやってもボケるんですよ。当時は聞こえない音もあった。美術もすごいところまで描き込んでいて、それが当時のまま出ている。制作していた37年前に、こんなことがあったな……とよみがえってきました」と自信を見せた。

 渡辺プロデューサーは、今後の展開について「この作品は制作記録、設定が膨大に残っています。まとめて本に残せないか?とやっています。クラウドファンディングをしようと思っています」と語った。

 舞台あいさつには、主人公・シロツグを演じた俳優の森本レオさんも登壇した。

アニメ 最新記事