機動戦士ガンダム 水星の魔女:新規ファン開拓に手応え ガンダムらしく奥深さも

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のビジュアル(C)創通・サンライズ・MBS
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「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のビジュアル(C)創通・サンライズ・MBS

 人気アニメ「ガンダム」シリーズの新作テレビアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」。アニメが放送される毎週日曜は同作に関連するワードがSNSをにぎわせている。同シリーズは、40年以上の歴史を誇るが、「水星の魔女」では、従来の「ガンダム」シリーズファンだけでなく、これまで「ガンダム」を見てこなかった新規ファンの開拓を目指して“新しいガンダム”を作ろうとした。「ガンダム」シリーズを手掛けるバンダイナムコフィルムワークスの小形尚弘エグゼクティブプロデューサーは、大きな反響を受けて「手応えを感じています」と話す。

 ◇高い共感性

 「水星の魔女」のキャッチコピーは「その魔女は、ガンダムを駆る。」。あまたの企業が宇宙に進出し、巨大な経済圏を構築した時代のA.S.(アド・ステラ)122が舞台となる。モビルスーツ産業最大手・ベネリットグループが運営するアスティカシア高等専門学園に、辺境の地・水星から主人公の少女スレッタ・マーキュリーが編入してくるところから物語が始まる。「ひそねとまそたん」「キズナイーバー」などの小林寛さんが監督を務め、「コードギアス 反逆のルルーシュ」などの大河内一楼さんがシリーズ構成・脚本を担当。MBS・TBS系の日曜午後5時のアニメ枠“日5”で放送中。

 シリーズ第1作「機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)」がスタートしたのは1979年で、40年以上前だ。“21世紀のファーストガンダム”とも呼ばれ、新規ファンを開拓した「機動戦士ガンダムSEED」がスタートしたのも約20年前の2002年までさかのぼる。テレビアニメシリーズが放送されるのは、2015年10月に第1期がスタートした「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」以来、約7年ぶりだ。歴史のあるシリーズということもあり、初心者には敷居が高いイメージがあるのは否めない。

 小形さんは、これまで「ガンダム」を見てこなかった新規ファンの開拓が「一番の命題でした」と話す。「水星の魔女」は、テレビアニメシリーズとしては初めて女性を主人公として、舞台を学園にするなどさまざまな新しい挑戦を試みている。

 「新しい方にどうやったら入っていただけるかということを考えつつ、これまでの『ガンダム』のよかった要素を織り込み、『ガンダム』として丁寧に作っています。キャラクターのドラマをきちんと描き、表現することで、共感性が高まっています。若い人に、自分たちの『ガンダム』であると思っていただきたかった。そこが明確になっています。監督、脚本らスタッフの手腕が大きいと感じています」

 ◇富野監督から受け継がれるもの

 「共感性」は大きなキーワードになっている。「水星の魔女」を手掛けるバンダイナムコフィルムワークスの岡本拓也プロデューサーに取材した際に「10代の人たちからお話を聞くタイミングがあって、その時『ガンダムは、僕らのものじゃない。僕らに向けたものではない』という言葉があったんです。その言葉が刺さったんです」と話したことがあった。「水星の魔女」の第7話「シャル・ウィ・ガンダム?」で、ミオリネ・レンブランは「私たちの世代は、ガンダムなんて知らないし」と言い放つ。ミオリネの父・デリングの「お前が考えている以上にガンダムの呪いは重い」という言葉も印象的だった。ミオリネの言葉は、「ガンダム」シリーズを知らない若い層の思いを代弁しているようにも聞こえる。

 「これまでの『ガンダム』シリーズ作品も若い女性に見ていただいていましたが、『水星の魔女』は若い女性の活躍を前面に描いていることもあり、より多くの方に応援していただいていると感じています。先日、ニューヨークのアニメイベントに出席した際、『こういう作品を待ち望んでいた』というリアクションもあって、すごくうれしかったですね。『ダイバーシティー(多様性)な作品だ』という声も聞きました」

 「水星の魔女」は“ガンダムらしさ”もある。「ダイバーシティーな作品だ」とも評価されているようだが、「ガンダム」シリーズは、これまでも多様性を描いてきた。シリーズの生みの親である富野由悠季監督が、ロボットアニメの常識を覆してきた歴史がある。

 「時代に合わせてとってつけたようにダイバーシティーな作品になったわけではありません。富野監督は女性の活躍も描いてきましたし、これまで当たり前のようにやってきたことなんです。『ガンダム』とは何か?という定義は難しいところもあるのですが、これまでも、それぞれの時代にさまざまな世代がチャレンジしながら、作品を作ってきました。若い世代の新しいチャレンジを包容するくらい広い定義なんです。それが『ガンダム』シリーズの強みだと思っています。原点を作った富野監督は我々の20年、30年先を生きているような人ですしね。私も日々、富野監督の作品の全てを理解するには、人生経験がまだまだ足りないな……と感じています。本当に奥深いんです」

 入りやすさを意識したからといって多くの人に受け入れられるわけではない。ただ、「水星の魔女」は「ガンダム」シリーズの奥深さも内包している。シリーズを次の世代につなげる大きな役割を果たしているようだ。

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