名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
車田正美さんの人気マンガ「聖闘士星矢」の3DCGアニメ「聖闘士星矢:Knights of the Zodiac」の第2シーズン「聖闘士星矢:Knights of the Zodiac バトル・サンクチュアリ」が1月1日、ABEMA、U-NEXT、アニメ放題、Hulu、dアニメストア、アニメタイムズほかで配信をスタートした。同作は、アニメ「聖闘士星矢」をリメークした3DCG作品で、現代を舞台に聖闘士(セイント)たちの戦いを描く。キャラクターデザインを手がける西位輝実さんは「聖闘士星矢」が「自身の血肉となっている」というほどの大ファンで、キャラクターの魅力を3DCGアニメでも表現しようとした。西位さんに車田さんのキャラクターデザインの魅力、3DCGアニメのデザイン秘話を語ってもらった。
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「聖闘士星矢」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1985年12月に連載をスタートしたマンガ。ペガサス星矢ら“小宇宙(コスモ)”という特別な力を持った戦士・聖闘士たちの戦いや仲間との友情が描かれた。1986~89年にテレビアニメ化され、2012~14年に続編「聖闘士星矢Ω(オメガ)」も放送された。3DCGアニメ「聖闘士星矢:Knights of the Zodiac」は、第1シーズンのパート1が2019年7月、パート2が2020年1月にNetflixで配信がスタートした。第2シーズンはファンの間でも人気の「聖域(サンクチュアリ)十二宮編」を描き、星矢率いる青銅聖闘士(ブロンズセイント)と黄金聖闘士(ゴールドセイント)が死闘を繰り広げる。
西位さんは、アニメ「輪るピングドラム」で初めてキャラクターデザインを担当。アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」のキャラクターデザイン、「呪術廻戦」で総作画監督を務めるなど人気作に参加してきた。西位さんが「人生で最初にハマったアニメ」が「聖闘士星矢」で、「原作もアニメも定期的に見返してきた作品なので、自分の血肉になりすぎている」と語る。
「原作のキャラクターは独特の色気があるんですよね。キャラクターの目力も強くて、少女マンガっぽいウエットなところが大好きでした。当時の少年マンガは、『もっと強いやつと戦いたい!』というような荒々しいキャラクターが多かった中、『聖闘士星矢』のキャラクターは戦いたくて戦っているわけではないところに魅力を感じました。いろいろな状況に巻き込まれて、戦わなければいけないから戦うというところで、どのキャラクターもウエットで、色気がある。みんな号泣もするし、強い人間になりたいわけじゃない。そこが昔から好きでした」
キャラクターたちの色気、ウエットさが車田さんのデザインにも表現されていると感じているという。
「3DCGアニメでは設定が変わっていますが、原作では星矢は児童養護施設育ちであったり、戦う理由も全然明るくない。車田先生の絵は、キャラクターたちが裏で抱える薄暗さのようなものが表現されていて、伏し目がちであったり、ウエットなところがある。それを今回の3DCGアニメでも、ぜひ表現したかった」
アニメ「聖闘士星矢」シリーズは、荒木伸吾さん、姫野美智さんがキャラクターデザインを手がけた1986~89年放送のテレビシリーズに始まり、これまでさまざまな展開をしてきた。3DCGアニメでは、荒木さんらが手がけた初期のキャラクターデザインをベースにしているという。
「過去のシリーズへのリスペクトが強く出ているんじゃないかと思います。私の中では『ポセイドン編』の絵がすごく好きで、影響を受けてよくまねをしていたんです。3DCGアニメでは、その頃の星矢たちを目指しました。『ポセイドン編』には独特のシャープさがあるというか。細かいところでいうと、『ポセイドン編』の後の『冥王ハーデス編』では、星矢のもみあげがふっさりとしてくるんですけど、私的には『ポセイドン編』のしゅっとした感じがいいなと思っていて、そこは私の好みでやらせていただきました(笑い)」
車田さんの描くキャラクターを表現する上で、3DCGならではの制約もあったという。
「髪などの“揺れもの”を控えてほしいという要望があって、イメージを壊さない範囲で、キャラクターたちの髪の毛を短くしています。首に髪の毛が干渉しすぎると、CGの作業が大変になってしまうんです。また、顔立ちが似ているキャラクターも、CGでは本当に同一人物に見えるので、目をつり気味にしたり、細めにしたりと、微細に差を付けています。まつげも過去シリーズのアニメでは、顔からはみ出る勢いなのですが、CGアニメでは小さくしましょうと。元々あるデザインをCGの都合上、作業が大変にならないように、かつ元の印象から離れないように、ちゃんと立体に収めるという感じでした」
インパクトあるキャラクターの魅力を損なわず、3DCGのキャラクターに落とし込む作業は大変なものだったのではないだろうか。
「ベースにした『ポセイドン編』の絵と、CGの都合とで行ったり来たりして、迷った時には原作に戻るという感じでした。原作とアニメでどちらがCGの表現に合うかを選ぶこともありました。自分自身が長らく『聖闘士星矢』のファンなので、自分がファン目線で見た時に『これであれば大丈夫かな』というところには落とし込めたのかなと思います」
キャラクターデザインには細やかなこだわりがあり、その一つが鼻であるという。
「CGアニメでは、鼻の穴の膨らみを付けるのが普通らしく、最初はそれが付いた状態でデザインが上がってきたのですが、それはさすがに……と思いまして。どの作品もそうなのですが、キャラクターの造形で鼻と口を変えてしまうと別物になってしまうんです。今回も鼻の膨らみは削ってもらって、鼻の穴も軽く掘ってもらう程度にして、過去のシリーズのようにしてもらいました」
さまざまな作品でキャラクターデザインを手がける西位さんは、「“記号”としてキャラクターが分かることが大事。表情はもちろん、『このキャラクターはこういうことはやらない』ということも含めてデザインかなと思っています」と語る。
原作とこれまでのアニメシリーズへのリスペクト、作品愛を持って形作られた「聖闘士星矢:Knights of the Zodiac」のキャラクターデザイン。西位さんが「アニメでキャラクターたちが動いているのを見るのが楽しみです」というように、聖闘士たちが躍動する姿に注目したい。
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