梅原裕一郎:「魔王学院の不適合者」第2期 魔王アノスの圧倒的な強さを模索 2023年は「強みを確立したい」

「魔王学院の不適合者II ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」に出演する梅原裕一郎さん
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「魔王学院の不適合者II ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」に出演する梅原裕一郎さん

 小説投稿サイト「小説家になろう」で人気のライトノベルが原作のテレビアニメ「魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」の第2期「魔王学院の不適合者 II ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」が1月7日からTOKYO MXほか放送される。同作の主人公で、絶対的な力を持つ暴虐の魔王、アノス・ヴォルディゴードを演じるのが人気声優の梅原裕一郎さんだ。梅原さんは、人間、魔族はおろか神にすら屈しない「とにかく強い」アノスを演じるべく、表現を模索したという。収録の裏側やアノスの魅力を聞いた。

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 ◇「自然体だけど強い」アノスを表現するために

 「魔王学院の不適合者」は、秋さん作、しずまよしのりさんイラストの電撃文庫(KADOKAWA)のライトノベル。暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴードは、2000年の時を経て転生し、魔王学院に入学するも、その力が測りきれず不適合者の烙印(らくいん)を押されてしまう……というストーリー。テレビアニメ第1期が2020年7~9月に放送された。第2期では、原作でも人気の高い「大精霊編」が描かれる。魔族と人間の戦争を阻止したアノスの前に、暴虐の魔王を滅ぼす“神の子”が現れ、新たな戦いが始まることになる。

 同作は、伏線が張り巡らされたストーリーはもちろん、アノスの圧倒的な存在感がファンの心をつかんでいる。梅原さんはアノスを「自然体だけど強い」と表現する。

 「アノスは、見下しているともとれるようなせりふ回しが多いキャラクターではあるのですが、彼自身は決して周りを見下しているわけではなくて、どちらかというと、人間的な懐の広さが、ほかの人たちよりも上に行ってしまっているというか。だから、彼自身は自然体でしゃべっていることのほうが多い。ディレクションでも『決して嫌みなキャラクターにはしてほしくない』と言われました。彼が自然にしゃべっているだけで、強い印象であったり、ほかのキャラクターよりもおのずと上に立ってしまうというところを気を付けてほしいと。なので、悪役ではないということに気を付けながら、圧倒的な力の差を感じさせるようなせりふ回しにすることを意識しました」

 アノスのようないわゆる“チートキャラ”が登場する作品はほかにもあるが、梅原さんは「アノスは迷いがない。答えに至るまでの道筋ができていて、それに向かって迷いなく行動する。それによって周りの人たちを引っ張っていく力がかなり強い」とアノスならではの“強さ”を感じているという。

 「アフレコが始まってからは、アノスならではの強さを表現するのに苦労しました。どうしても強いところを見せようとすればするほど弱く見えるというか(笑い)。自然体だけど強い、自然にしゃべっているけど、圧倒的な力量の差があるという部分をどう表現したらいいか?と。第1話では、少し高めのトーンで作っていったのですが、そうすると、やはりどこか作ったような、虚勢を張っているようなせりふ回しに聞こえてしまうということが、アフレコのAパートで判明しまして。Bパートでは、自分が気持ち的にも出しやすいところで演じたらOKが出たんです。自分に無理のない、安定しやすいトーンで演じたほうが、アノスの自然な強さが出せるんだろうなと感じました」

 梅原さんはアノスを演じる上で難しさを感じながらも「爽快感もある」と話す。

 「アノスは圧倒的に強いのですが、敵が弱いわけでもないんですよね。アノスが強い敵のさらに上をいって勝つという展開に爽快感があるなと感じますし、『殺したぐらいで、俺が死ぬとでも思ったか?』とか『~~すると思ったか』という決めぜりふが出てくると、『勝ったな』みたいな(笑い)。見ている方はそういう楽しさがあると思いますし、僕自身も『きっとアノスなら大丈夫だろう』と思いながら演じていましたね」

 ◇アノスの素が見えるヒロインたちとの会話

 「魔王学院の不適合者」は、アノスと彼を取り囲むヒロインたちとの掛け合いも魅力の一つだ。第2期でも、楠木ともりさんが演じるミーシャ・ネクロン、夏吉ゆうこさんが演じるサーシャ・ネクロンといったヒロインたちが活躍する。

 「ミーシャとサーシャは全然違う性格なので、アノス自身も会話する時にテンポ感が変わっていて。例えば、アノスのことを理解しているミーシャとは、あうんの呼吸のようなやり取りが多かったですね。サーシャとは、ギャグ寄りなやり取りが多くて(笑い)。でも、アノスとそういうやり取りができるということは、それだけ心が通じ合っている証なのかなとも思います」

 梅原さんは、ミーシャ、サーシャらほかのキャラクターとの日常会話に「アノスの素の部分が出ている」とも感じるという。

 「面倒見がよかったり、愛情深いところが出てるせりふが多いので、演じていて楽しいです。アノスの人となりがより分かりやすいのは、やはり日常会話ですね。ただ、難しいのは、アノスの優しさは、猫かわいがりするような優しさではないこと。アノスに堂々とした包容力があるがゆえに、より優しく感じるというか。分かりやすい甘いせりふとか、優しさを向けるせりふというよりは、『アノスについていけば大丈夫だろう』みたいな安心感を与えさせるような、優しさが見えるせりふが多かったですね」

 ◇ようやく仕事に慣れてきた 2023年の抱負は?

 圧倒的に強く、懐が深く、優しいという多面的な魅力を持つアノスに真摯(しんし)に向き合う梅原さん。2022年は数多くの人気作に出演し、ファンを魅了してきた。

 「2022年は、いろいろな作品に出させていただく機会が本当に多くて、とても楽しかったです。アフレコの時期がかぶって大変だった時もあったんですけど、何とか乗り越えられたのは良かったなと。昔だったら多分パンクしていたんだろうなと思いますが、そんなに疲れ果てず乗り越えられたので、ようやく仕事に慣れてきたんだなと感じた年でした。良い意味で、力の抜き方がようやく身に付いたというか、そんな気はします」

 最後に2023年の抱負を聞いた。

 「いろいろな作品に関わりたいという思いはもちろんあります。『魔王学院の不適合者』もそうですが、最近は、どっしり構えるような役が増えてきて、演じるキャラクターの年齢も少しずつ上がっているので、そこを一つの強みとして確立できたらいいなと常々思っています。もちろん役の幅を広げることも大事だと思うんですけど、まずは自分の強みを確立するところかなと思っています。年齢を重ねたんだなというところを見せられたらいいなと思っています」

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