日本で暮らすベトナム人と日本人で構成するロックバンド「黒ック」(クロック)が、初のベトナムツアーを開始した。ホーチミンで開いたライブを皮切りに、年をまたいで3都市5回の公演を開く。帰国ツアーを実現したメンバーたちは「成長した姿を日本のファンにお見せしたい」と話している。
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黒ックは2020年10月に結成し、東京を拠点に活動を続ける6人組のグループ。東京・代々木公園で年に1回開かれる「ベトナム・フェスティバル」や、ライブ活動を通して実績を積んできた。当初は、リーダーのKJOさんらベトナム人だけの6人編成だったが、2021年11月に唯一の日本人メンバー、Daisukeさん(ドラムス)が参加した。今回のツアーは「ツアーをやりたい」というメンバーの願いをベトナムの音楽業界が聞き届け、会場確保やスケジュール調整をサポートした。
KJOさんら5人は、留学生などの資格で来日し、流暢な日本語を話す。今回、初めてベトナムを訪れたDaisukeさんは「この国のエネルギーに圧倒されています。どんな国なのか不安もありましたが、食べ物はおいしいし、メンバーたちの母国での演奏を楽しもうと思っています」と語る。
黒ックは2023年に楽曲のネット販売を検討中。ツアー中、ハノイ近郊のフンイエンで大みそかに開くカウントダウンライブで、ベトナムのトップアーティストと2万人の聴衆を前に共演し、新年のカウントダウンに臨んだ。
黒ックの楽曲は、女声ボーカルのHeatherさんと男性ボーカルのTrokさんのツインボーカルが特徴的だ。Heatherさんの透明感のある高音と、Trokさんの張りのあるハイトーンが絶妙にマッチし、ポップスやハードロックを自在にこなす。ライブでは、日本語、ベトナム語を織り交ぜたオリジナル曲「疼」「越」「贖」などのほか、Official髭男dismの「Pretender」や、あいみょんさんの「猫」など日本のヒット曲も披露。SNSを通し、在日ベトナム人(約48万人)だけでなく、日本人の中にも浸透し始めた。
帰国ツアーとは別に、KJOさんは来月7日、東京都内で開かれるベトナムの国民的シンガー、カイン・リーさんのコンサートでピアノ演奏を披露する。リーさんとのジョイントはこれが2回目で、実力は折り紙付きだ。KJOさんは「ツアーができて初めて、プロになった証明だと考えていた。自分たちがこんなにも早くベトナムでツアーができることを、すべての関係者に感謝したい。日本国内ツアーをぜひ実現したい」と語る。