楠木ともり:アニメ「ツンリゼ」 悪役令嬢役の挑戦 力強く華やかに ギャグも

「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん」に出演する楠木ともりさん
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「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん」に出演する楠木ともりさん

 小説投稿サイト「小説家になろう」などで人気の“悪役令嬢”ライトノベルが原作のテレビアニメ「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん(ツンリゼ)」がMBS、TBS、BS-TBSの深夜アニメ枠「アニメイズム」ほかで1月6日から放送される。同作でヒロインのリーゼロッテ・リーフェンシュタールを演じるのが人気声優の楠木ともりさんだ。楠木さんは、目まぐるしく表情が変わる難役に挑戦した。楠木さんに「ツンリゼ」の収録について聞いた。

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 ◇ここまで目まぐるしいのはすごく新鮮!

 アニメの舞台となるのは、乙女ゲーム「マジカルに恋して(まじこい)」の世界。神の声により婚約者のリーゼロッテがこのままでは破滅を迎えるという衝撃的な事実を知った王太子のジークヴァルト・フィッツェンハーゲン(ジーク)が、バッドエンドを回避するために奮闘する姿を描く。実は、神の声は現実世界でゲームの実況をする高校生の遠藤くんと小林さんで、ジークが彼らの実況と解説という“神託”を頼りに婚約者を救おうとする。中村悠一さんがジーク、石川界人さんが遠藤くん、花澤香菜さんが小林さんをそれぞれ演じる。

 “悪役令嬢もの”が人気を集める中、実況と解説が入るというのが斬新だ。楠木さんは原作を読んで、驚いたという。

 「オーディションではなく、お話をいただいたので、まずは原作を読ませていただきました。本当にいい意味でテンポがすごく速く、いろいろな展開があって、どんどん次の巻に読み進めてしまうような面白さがありました。悪役令嬢ものは、人気コンテンツですが、ツンデレ要素もあり、それがゲームの世界で実況と解説がいて……というのがすごく新しいし、面白いんです。ギャグっぽいことが起きても、実況と解説がいるので、俯瞰(ふかん)して読めるのも面白くて、一気読みしました。これまで幼い役、物静かな役を演じさせていただくことが多く、リーゼロッテのようにパシッと怒る、圧をかけるみたいな役、ツンデレな役をあまりやったことがありませんでした。お芝居するのがすごく楽しみでした」

 楠木さんが演じるリーゼロッテは、美少女で文武両道、超ハイスペックな悪役令嬢。ジークの婚約者で小さな頃から彼が大好き。真面目で努力家だが、実は自分の気持ちを素直に言えない、ただの“ツンデレ”だ。

 「お姉さんめのお芝居がいいのかな?とも思ったのですが、学園に通っていますし、年齢自体はそんなに高くないんですよね。悪役令嬢のツンの時は怖くて、圧のある印象がありましたが、年相応に可愛いところもあります。令嬢としての立ち振る舞い、おしとやかさを意識しつつ、無理に大人っぽくしようとしませんでした。大人っぽさは、声質というよりも、お芝居で出していけたらいいのかな、と。ギャグシーンもあり、実況と解説がいる中での物語ということもあって、ツンの部分とのギャップをより大きくした方が面白いかもしれないと考えていました。ギャグ顔もあるので、その時は、思いっきりギャグに振り切って演じようとしたんです」

 リーゼロッテは、感情の振り幅が大きいキャラクターだ。楠木さんは「ジークが大好き!」という軸を大切にしながら、難役を演じきった。

 「いろいろなお芝居の要素が求められる役です。可愛らしいし、ギャグもありますし、シリアスなところもあって、戦ったりもします。力強さ、華やかさも必要なので、同じ役なんですけど、振り幅が大きいんです。しっかりした敬語を使いますし、それがすごく難しかったです。ギャグのテンポが速い中で、普段はしゃべり慣れていないかしこまった敬語ではっきりしゃべらないといけないので、よく噛(か)んでいました(笑い)。一人のキャラクターですが、いろいろな属性を行き来しないといけなかったんです。今までもそういう役を演じさせていただいたことはあったのですが、ここまで目まぐるしいのはすごく新鮮でした。ジークが大好き!という軸を大切にしながら、自分なりにどんなものを出せるかな?と常に挑戦でした。熱量、現場で生まれた空気感を感じ取っていただけたらうれしいです」

 ◇中村悠一との共演で引き出されたもの

 リーゼロッテと共に重要なキャラクターがジークだ。「まじこい」のメイン攻略キャラにして、リーゼロッテの婚約者。フィッツェンハーゲン王国の王太子で魔導学園の生徒会長という正真正銘の“王子様”だ。

 「中村さんなんだ!と意外だったんです。もちろん、いろいろな役を演じられていますが、私の中ではオラオラした役が多い印象で、この王子様を中村さんが演じられると、どんな感じなんだろう?とすごく楽しみでした。ジークは、すごく天然なんですよね。ツンデレや百合など知らない言葉を聞いてもすんなり受け入れます。器が大きいんです。天然なんだけど、誰もジークに突っ込まないですし。天然かと思いきや、ツンデレを理解した後は、リーゼロッテをちゃんと喜ばせようとします。そういうことをできるところが、やっぱり王子様なんですよね。すごく格好いい王子様で、リーゼロッテが好きになる気持ちも分かる!と思いながら読んでいました」

 ジークを演じる中村さんとの掛け合いも見どころになる。

 「すごく格好よかったです。優しい声色で、難しい言葉遣いも本当に柔らかく話されるので、リーゼロッテの気持ちも相まって、すてきだな!と思いました。いつもの中村さんがどうなのか分からないんですけど、ふとした時にジークのテンションのまま『あっ!』っておっしゃるんです。ギャップ!と思っていました。優しさ、器の大きさ、ちょっと天然なところをすごく繊細に演じられていて、たくさん勉強させていただきました」

 中村さんとの共演で刺激を受けた。

 「言葉でうまく言い表せないんですけど、空気の切り替え、現場の空気感をグッと引き込んでいただける印象がありました。リーゼロッテはテンションの上下が激しいので、切り替えがすごく大変で、さっきまで怒っていると思ったら、すごく照れたり、急にガラッと顔が変わることもあります。テンションを切り替えるのが難しかったのですが、例えば、中村さんが甘い雰囲気を作ってくださると、私もそっちに乗る……というように、引き出していただきました。どうやっているのかな、と勉強しようと思ったんですけど、なかなかそれを身につけるには至りませんでした……。共演させていただけてうれしかったです」

 ◇情報量がすごい!

 遠藤くん、小林さんによる実況、解説が入るのもツンリゼの見どころだ。

 「アニメを見ている人、リーゼロッテたちの世界につないでくれる橋渡し的な存在で、物語の中で物語が展開していくので、実況と解説が入ることで、すごく盛り上がるシーンなどがメタ的にすごく分かりやすく、見ている人も気持ちが乗っていけます。2人がいると安心します。実況の2人が先に収録していることが多く、聞いてると、気持ちが乗ってくるんです。すごく新鮮ですし、この作品になくてはならない2人です」

 遠藤くん役の石川さん、小林さん役の花澤さんの演技からも刺激を受けた。

 「花澤香菜さんは、私が声優になりたいと思ったきっかけ、憧れの方なので、まずご一緒できることがうれしかったです。その花澤さんの声で『可愛い!』と言っていただけるうれしさを常に感じていました。可愛いのは、リーゼロッテのことなんですけど(笑い)。花澤さんの叫び声が、いい意味で汚いんですよ。いい意味ですよ! すごく可愛いくて、気持ちを乗せていただきました。石川さんが演じられている遠藤くんの実況は、本当に実況感があって、すごく気分が盛り上がりました。実況の時以外は、別人かのようにうぶな感じがあって、その差もすてきです。やっぱり2人の声を聞くと安心します」

 「まじこい」の“正ヒロイン”はフィーネだ。庶民ながら魔法が使えるという理由から魔導学園に入学した美少女で、富田美憂さんが声優を務める。

 「同世代ですが、美憂ちゃんの方が先輩です。これまでも共演させていただきましたが、ここまでしっかり一緒に収録させていただいたのは初めてで、すごくうれしかったです。フィーネはサバサバしているけど天然系、底抜けに明るいところが、すごく可愛いです。ヒロインとしてのオーラもあります。もっと長く共演できたらいいのにな……と思っていました。フィーネに対して、空回りするリーゼロッテもすごく可愛いんです。フィーネとのやり取りは物語において大事なシーンが多いので、ぜひ注目してください」

 「ツンリゼ」には、個性的すぎるキャラクターが続々と登場する。見どころ満載なアニメになりそうだ。

 「それぞれのキャラクターの表情がすごく細かくて、リーゼロッテがツン全開の時、怒っているけど顔がすごく美しいんです。アップで唇がすごくウルウルしていたり。眼光、目のちょっとした開き具合などの表現もすごいので、細かな表情をぜひ見てください。ストーリーは、惜しみなく展開していきます。キスするの!?と引っ張るわけではなく、ストレスフリーに進んでいきます。テンポ感がすごくよくて、後半は怒涛(どとう)のように真実が明らかになって……と序盤と後半で印象が変わると思います。いろいろな要素があって、語りきれないくらいです! タイトルも情報量が多いですが、それ以上の情報量です。ぜひ最後まで見てください!」

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