ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
赤坂アカさんの人気ラブコメディーマンガが原作のアニメ「かぐや様は告らせたい」の新作「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」。2022年12月17日から劇場で特別上映され、人気を受けて、今年1月20日からは北海道から沖縄までの全国45館が追加された。「かぐや様」はこれまでテレビアニメ第1~3期が放送されてきた人気作で、ラジオ、特番、イベントなどで独自の仕掛けでファンを楽しませてきた。特番だけ見ても、声優陣がカニを食べる「鈴木、蟹を食べる。」、リアリティーショー風の演出の「TOKYO ROMANTIC NIGHT」などアニメの特番としては異質のアプローチを繰り広げてきた。「何をやっているんだ?」と驚かされることも多いが、なぜか“かぐや様らしさ”を感じるところもある。アニメを手掛けたアニプレックスの石川達也プロデューサー、宣伝プロデューサーの田中瑛さんに、新作、独自のアプローチについて聞いた。
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石川さん まず、シンプルに第3期が終わり、続きを作りたかったんです。我々もそうですし、現場、スタジオも同じ気持ちでした。ただ、第3期の続きは、シリーズにするほどの長さではありません。テレビアニメの4、5話くらいの長さです。クリスマスの話ですし、クリスマスにデートで見るように上映したかったんです。間に合うのか……ともなったのですが、第3期が終わってから半年かけて、4、5話分を作ろうとしました。6月くらいにはコンテが何本かできていましたし、畠山(守)監督にすごく美しくまとめていただき、第3期の流れから主要スタッフがそのまま参加していただけました。クリスマスに上映しよう!という気持ちが我々、現場にありました。
田中さん クリスマスに見ていただきたいという気持ちが強かったです。
石川さん 「ラブ・アクチュアリー」というクリスマスの群像劇としてとても面白い映画があり、そんなふうになれば……とは思っていました。スクリーンで見ていただきたかった。
田中さん 第3期でキレイに終わってはいるのですが、まだ告白はしていなくて、新作ではその後のモヤモヤした気持ちが描かれています。「かぐや様」にしては、しっとりしていて、ドタバタラブコメディーではありません。ちょっと大人な世界観があると思っています。クリスマスの時期、世間は浮かれているけれども、みんながみんなそうじゃない。その空気感を劇場で味わえるのがいいと思っていました。デートじゃなくても、一人で見に行く楽しみもあります。男性目線で見ると「ファーストキッス」は、白銀に感情移入するところがあるけど、女性目線ではまた違うでしょうし、それを劇場で、みんなで共有するのが面白いと思っています。
田中さん 10、20代が6割くらいですかね。舞台あいさつに高校の制服で来てくださる方もいらっしゃいました。ラジオのメールも中高生が多いですね。
石川さん もちろん30、40代以上のファンの方もいますが
田中さん 学生はこんな学生生活を送りたい、大人はこんな学生生活を送りたかった……という気持ちがあるのかもしれません。口コミの広がりは、学生が多いようです。
石川さん 女性ファンも結構いますしね。
田中さん 昨年、秋葉原で開催したイベント「奉心祭 in AKIHABARA」で「LOVE STREAM」(Spotifyオリジナルポッドキャスト)の公開収録をした時は、ほとんど女性ファンでしたしね。古川慎さん、鈴木崚汰さん、ゲストの八代拓さんの人気も大きいのですが。
石川さん 熱いファンの方もいらっしゃいますが、ライトに楽しんでいる方も多い。だから読めないところもあって……。
田中さん 「奉心祭」は苦労しました。定期的に告知をしていたけど、ちょっと反響が薄かったんです。そこで急きょ、生配信したら、多くの人に見ていただきました。その後の告知も反響が薄くて、大丈夫かな?と思ったのですが、蓋(ふた)を開けたら、すごくたくさんの方に来場していただけました。
石川さん 何でやろうと思ったんだろう(笑い)。古賀さんは人気声優ですが、当時は今ほど知られていなかったと思います。この子をヒロインにしないといけない!と思っていた。魅力的な方ですし、この子をまず好きになってもらいたかった。畠山監督、赤坂先生から「かぐや役は古賀さんで!」という声もありましたし、とりあえず特番を撮ってみようとなったんです。放送前から原作は既に有名でしたし、特番で作品を説明しても、アニメを見るという行動につながりにくいかもしれません。何か変なことをやっている、面白いと思っていただきたかった。そんなに立派な考えはなかったのですが、自分たちが面白いと思ったからやってみた感じですね。
田中さん 根本は誰もやっていない面白いことをやろうとしていて、それを続けています。キャラ紹介をして、声優さんが語る……というのは、作品を知っている方には伝わりますが、知らない人に見ていただくのは限界があるかもしれません。何だこれ!?と話題にしていただけますし、ほかがやっていないことをやろうとしています。
田中さん 僕らも何やっているんだろう?となりますけど(笑い)。でも楽しんでいます。作っている方も楽しんでいるので、皆さんも楽しんでいただているとうれしいです。
石川さん 基本的に僕からブレーキをかけることはないですね。田中が面白いと思っていることは「かぐや様」のファンも面白いと思ってくれるはず。本当にたまにいきすぎることもあるけど。それは、田中自身も「これは止めてほしい」と思っている時ですね。
田中さん 第3期のキービジュアルで……。これ、言っていいのかな?
石川さん いいんじゃないの。
田中さん 第3期で描かれる奉心祭のキャッチコピーに「伝われ燃える想(おも)い! ハートtoハート」とあるのですが、「心」と書いて「ハート」と読ませて「心(ハート)を燃やせ」にしようとしたんです。「鬼滅の刃」のビジュアルのように、かぐやと白銀がラブバトルを繰り広げるというラフを描いたのですが……。
石川さん ダメです!となりました。「かぐや様」が乗っかる理由があまりにもないので(笑い)。
田中さん 僕もダメだろうと思いつつ、遊びを挟んでから本題を出そうとしたんです。
石川さん 赤坂先生も面白いことをすごく喜んでくださります。アニメのチームは「やらなくていいことを一生懸命やってくれる人たち」と言っていただいています。我々ができるのはそういうことなので。原作のパワーがあるからできることなんです。
田中さん 「かぐや様」がイベントや特番で大事にしてるところは、突拍子もないことをやりつつ、真面目に締める。その後、小ボケで終わるんです。これは本編の構成と一緒だと思ってます。24時間生配信(昨年6月に配信された「24時間かぐや様祭り!『かぐやDAY』」)では、やらかしてしまいました。最後にすごくいい話をしている中、サンバダンサーが踊るという構成だったのですが、想像以上に皆さんが号泣していて……(笑い)。
石川さん 続けたいとは思っています。ただ、やるんだったら面白くないといけません。どうするのか?とずっと議論しています。
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