豊嶋花:名子役から着実に成長 15歳が抱く夢 「いつか日本アカデミー賞を」

映画「ちひろさん」に出演する豊嶋花さん
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映画「ちひろさん」に出演する豊嶋花さん

 有村架純さん主演の映画「ちひろさん」(今泉力哉監督)が2月23日に動画配信サービス「Netflix」で世界配信され、劇場公開された。同作で、本音が言えない女子高生・瀬尾久仁子(通称・オカジ)を演じているのが豊嶋花さんだ。幼い頃からNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)や大河ドラマに起用され、名子役として活躍。2021年の連続ドラマ「大豆田(おおまめだ)とわ子と三人の元夫」(カンテレ・フジテレビ系)では、主人公の娘を演じて話題となった。現在15歳。着実に作品を重ね、成長を続ける日々を送り、「今の一番の夢は、いつか日本アカデミー賞を受賞することです」と話す。そんな豊嶋さんが映画を振り返った。

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 ◇演じる上で、意識したのはオカジの「ダサさ」

 「ちひろさん」は、2013~18年にマンガ誌「Eleganceイブ」(秋田書店)で第一部が連載された安田弘之さんの同名マンガが原作。とある海辺の町の弁当店で働くちひろが、心に傷や悩みを抱える人たちと交流し、彼女の言動がそれぞれの生き方に影響を与えていくという物語だ。完成した映画を見て、豊嶋さんは「本当にすてきなお話だなって思いました」と明かす。

 「劇中では、みんながちひろさんに心を動かされていく様子が描かれていて、映画を見た方たちも、きっとちひろさんに会いたくなるだろうなって思いました」

 豊嶋さんが演じたオカジは、自由にイキイキと生きているちひろの姿に心惹(ひ)かれ、ちひろと出会うことで次第に自らの殻を打ち破っていく高校2年生。現在、高1の豊嶋さんにとって決して遠くはないキャラクターとなった。

 「自分を取り繕ってしまったり、友達の前で素ではいられなかったり、そういった部分は女子高生の“あるある”だなって思いましたし、私自身も少しイエスマンなところがあるので、周りに合わせてしまうところは似ているのかなって感じました」

 演じる上で、意識したのはオカジの「ダサさ」だという豊嶋さん。

 「特に原作のあるシーンは読み込んで、なるべく原作のオカジを役に投影できるように意識はしましたし、なんかダサいんですよ、オカジは(笑い)。そのダサさをどう表現するのかは結構、考えました。走り方とかは、私自身、もともとダサいのですが、もっとダサくしてみたり。あとは海辺で水に入るときのスカートを上げる仕草もダサくするようにはしました」

 オカジは、ちひろと出会い変わっていく主要キャラクターの一人。オカジの「変化」をどう演じるのか。今作での豊嶋さんの大きな課題にもなっていた。

 「その変化は、ちょっとだけ表情が明るくなっているとか、じっくり見ていないと気がつかないくらいの差異で。それでも作品の雰囲気が変わると思ったので、演じているときはすごく意識はしました。とても難しかったのですが、今泉監督が一緒になって考えてくださって。オカジが少しだけ前向きになっているなって、行きたいように生きているなってことが皆さんに伝わるといいなと思っています」

 ◇「ちひろさん」「どうする家康」で共演 有村架純の印象 

 オカジに大きな影響を与えるちひろを演じた有村さんとは、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」でも共演しているが、出会いは「ちひろさん」の現場が先となった。

 「有村さんは個人的にミステリアスな印象があったのですが、お話をしたらすごく優しくて、俳優として、女性としても尊敬できる方になっていました」

 さらに有村さんの印象について「皆さん、ご存知とは思うのですが、声と笑顔がとにかく優しいんですよ。一緒にいて、元気になるような声と笑顔で、現場を明るくしてくださいあました」と明かす豊嶋さん。

 「撮影中、本当にちひろさんにしか見えなかったですし、私にとって有村さんがちひろさんで、ちひろさんは有村さんしかいないって思えるような、すてきなちひろさんを演じられていて。オカジが、ちひろさんに憧れる役でもあったので、ちひろさんが有村さんで本当によかったなって思っています」

 2013年の「八重の桜」以来10年ぶり、2回目の出演となった大河ドラマ「どうする家康」では、有村さん扮(ふん)する瀬名の頼れる侍女・たねを好演するなど、女優として成長を続ける豊嶋さんの「今の一番の夢は日本アカデミー賞を受賞すること」。

 「同じお仕事をしている仲のいい子といるときに、一緒のタイミングで新人賞を受賞できたらいいねって話もしていて、それで燃えているのもありますし、やっぱり夢の第一歩といいますか、『演技を認めていただいた』という称号がもっと自信にもつながると思うので、それが今の目標です」

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