秦基博:新たな三つの物語を生んだ新曲「イカロス」 なぜ“喪失”がテーマなのか?

新曲「イカロス」について語った秦基博さん
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新曲「イカロス」について語った秦基博さん

 シンガー・ソングライターの秦基博さんの新曲「イカロス」が2月1日、配信リリースされた。テーマは“喪失”で、そこから新たに生まれた三つの物語(映像作品)が映画「イカロス 片羽の街」として、秦さんの最新ライブ映像とともに「U-NEXT」で配信されている。映画について、「三つとも物語の導入から帰結まで、それぞれが違う切り口の作品で、自分の曲から、どう発想したら、こういう物語が生まれるのかと驚きましたし、どの作品においても、景色や光の切り取り方が美しいなと思いました」と語る秦さんが、「イカロス」の制作エピソードなどを語った。

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 「イカロス」について、最初にメロディーが生まれたのは「おととし(2021年)の秋ごろ」だったといい、「じっくりと自分の中で熟成させながら最終的に形にした曲」でもあるという。

 “喪失”をテーマにした理由については、「大きなきっかけというのはないですが、メロディーやサウンドから曲を作るので、そのメロディーの世界観から生まれたテーマではあると思うし、日々の中で感じたものが湧き上がって形になった」と明かす。

 タイトルの「イカロス」は、楽曲「勇気一つを友にして」のモチーフとしても有名なギリシャ神話に出てくる若者の名前。「勇気一つを友にして」でも歌われているようにイカロスは、ロウで固めた翼を使い、空へと飛び立つも、太陽に近づきすぎたことでロウが溶け、翼を失い、命を落とす……。

 秦さんは、「イカロス」を曲タイトルに選んだ理由について、「空に憧れて、上を目指せば目指すほど、自分の持っている羽は溶けていく、求めるほどに、届かないというイカロスの姿や、そこにある悲しみや矛盾が“喪失”というテーマにもつながった」と説明。改めて、完成した楽曲について、「聴く方の経験や情景と結びつくような、そんな曲になってくれたらと思います」と話す。

 そんな「イカロス」にインスピレーションを受け制作された「トイレのハナコ」(児山隆監督)、「豚知気人生」(枝優花監督)、「十年と永遠」(中川龍太郎監督)で構成される映画「イカロス 片羽の街」についても、「『イカロス』から生み出された新たな三つの世界に浸っていただけたら」とアピールした。

 秦さん自身の今後に目を向ければ、「イカロス」も収録したアルバム「Paint Like a Child」を3月22日にリリースし、ツアーも予定している。

 「『Paint Like a Child』はより自由に、自分の欲求に従って表現できたらと思って作ったアルバム。それを引っ提げてのツアーもあるので、楽しみにしています」と期待を口にした。

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