田鎖ブラザーズ
ep.03
5月1日(金)放送分
志田未来さんが主演を務めるTBS系の火曜ドラマ「未来のムスコ」(火曜午後10時)。主題歌「ポケットに魔法を入れて」を手がけたのは、シンガーソングライターの秦 基博さんだ。原作と脚本を読んだ上で主題歌を書き下ろしたという秦さんに、楽曲制作の裏側を聞いた。
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ドラマは、阿相クミコさん作、黒麦はぢめさん画の人気マンガ「未来のムスコ~恋人いない歴10年の私に息子が降ってきた!」が原作。恋も仕事も夢も中途半端な未来(志田さん)が突然、母親になる。子育てを通して誰かと生きて支え合うことを知り、生き直す姿を描く。志田さんは2006年のドラマ「14才の母」(日本テレビ系)以来20年ぶりの母親役だ。
物語としては、SFといいますか、少しファンタジーの要素もありつつ、でも人間の心情の細かな機微にしっかりフォーカスされている作品だと感じました。そのバランスがとても面白いなと。
オファーをいただいて打ち合わせをした時に「人間くささ」みたいなものがキーワードとして挙がっていたんです。どうすれば、そういうリアリティーというか、人がそこに生きている感覚を表現できるのか。それがドラマの世界を描く上で大切だと思いました。もちろんメロディーや歌詞全体で表現しているのですが、例えば始まり方。エレキギターと歌だけで始まる部分や、歌声で、生々しさや温度、肌触りのようなものを感じてもらえたらと。この世界を自分なりにどう表現するか、ということを考えて作りました。
具体的にこの言葉というよりは、主人公の未来がなかなかうまくいかない日々の中でも諦めずに向き合っていく、そのひたむきな姿からインスピレーションを受けました。
あとは未来の地元・富山弁の「だんない(大丈夫)」という言葉ですね。この言葉が最終的にタイトルにもつながっていくキーワードになったと思いますし、そこは自分にとってすごく大事でした。
ドラマの主人公である「未来」と重なりつつも、楽曲の主人公としても描いています。近いけれど全く同じというわけではなく、僕自身とも重なっていく感覚で書いています。
この楽曲の主人公は、少し負けず嫌いなところがあるんです。そういう部分を全体に散りばめていて、特に冒頭の「ぽつりとこぼれた雫は雨ってことにしておいてよ」というフレーズにはこだわりました。泣いていることや負けそうな気持ちを素直に認めたくない。でもぐっとこらえている。その姿が、見る側からするといじらしく映る。そういう部分を言葉にできたらと思っていました。
(楽曲の)主人公がもう一度前を向いて、「頑張ってみよう」と歩き出そうとする時の足音を想像しました。「よし!」と思った時の一歩って、きっとかかとが鳴るんじゃないかと。その踏み込みの力強さを表現したくて入れました。
どこか自分に言い聞かせながら立ち上がっている主人公なので、サビの「とりあえず今は」という言葉も、何かが解決したわけではないけれど、とりあえず今、という気持ちを込めて。その「よし、やるしかないか」という踏み込みが表現できていたらうれしいです。
少し落ち込んで、悲しくなって、へこんで、それでもほんの少し前を向くというような、心の動きを描いているこの楽曲の世界観。楽曲としてどう表すか、どのフレーズをタイトルにするべきか、ずっと悩んでいました。
最終的には「大丈夫って君の魔法をポケットに入れて」という歌詞から取りました。このフレーズ自体も最後に浮かんできて、そのままタイトルになりました。
ドラマの中には落ち込む瞬間もあれば、幸せそうな時間もある。颯太くん(天野優くん)と一緒だったり、お母さんと一緒だったりと、さまざまな場面がありますよね。その中で、どうやって楽曲がハマっていくのかを意識していました。同じ言葉でも、シーンによって違う意味を帯びる。そんなふうに響いてくれたらという気持ちで書いていました。
物語の最後に流れる、くらいの認識で、具体的なタイミングは分からないまま作りました。ただ、それぞれがつらいことを越えた先にあるものだったり、その先での感情とリンクする歌詞になればいいなとは思っていました。
最初のAメロが書けた時です。しゃがみこんでいる主人公の気持ちや、「泣いてないよ」というような強がりが書けた時に、楽曲がそのまま動き出しそうな感覚になりました。
今回はAメロから順番にできました。脚本を読ませていただいたことでシーンが浮かんできて、そこから自然に動き出した感じです。
普段からどういう場面からこの楽曲が始まるのかなとイメージすることが多いんです。そこにシーンやフレーズが重なっていくことで、キャラクター像や楽曲の輪郭が少しずつ定まっていった感じがありました。それで「書けそうだな」と思えたんです。「最後の最後はうまくいくと強がってる」というフレーズも、わりとパッと出てきて。そのあたりが楽曲の温度を決めた気がしています。
しんどくて、動けなくなってしゃがみこんでしまった人。その前後の時間をイメージしました。そんな人がうつむきながら帰る姿が浮かんできて。楽曲は、そのしゃがみこんだ瞬間から書き始めた感覚です。
「こんなふうに流れてほしい」と思っていた場面で流れたので、すごくうれしかったです。第1話はどこで流れるか意識しながら見ていましたが、第2話以降は楽曲のことを忘れて、作品に見入っています。楽曲は関係なく、毎回グッときています。
脚本を読んでイメージしていた未来像はありましたが、志田さんの演技には、そこに本当に存在しているようなリアルさがありました。演じているというより、その世界を自然と受け止めているように見えて。それがすごいなと感じました。
今回、「未来のムスコ」というドラマと出会えたことで、自分自身もこの「ポケットに魔法を入れて」という楽曲が生み出せたと思っています。ドラマと一緒にこの楽曲も楽しんでもらえたらうれしいです。
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