山根綺：「女神のカフェテラス」　流星役でラブコメ初挑戦　感極まり涙も

　「君のいる町」「風夏」などで知られるマンガ家の瀬尾公治さんのラブコメディーマンガが原作のテレビアニメ「女神のカフェテラス」が、MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズム」で4月7日から放送される。カフェテラス・ファミリアで働く個性的な5人のヒロインが登場するアニメで、小悪魔系のイタズラっ子の月島流星（りほ）を演じるのが山根綺（やまね・あや）さんだ。ラブコメディーに本格的に挑戦するのは初めてで、苦労も多かったという山根さんに収録の裏側を聞いた。

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　◇流星は本当はものすごく繊細　共感するところも

　「女神のカフェテラス」は、東大現役合格の秀才・粕壁隼が、けんか別れしていた祖母の訃報を聞いて、3年ぶりに海辺の町の古びた実家カフェテラス・ファミリアに帰り、「おばあちゃんの家族」を名乗る見知らぬ5人の女性と共同生活を送ることになる……というラブコメディー。「週刊少年マガジン」（講談社）で2021年2月に連載をスタートした。アニメは、水中雅章さんが主人公・隼役として出演し、和氣あず未さん、山根さん、鈴代紗弓さん、瀬戸麻沙美さん、青木瑠璃子さんが5人のヒロインを演じる。

　山根さんが演じる流星はファミリアの最年長で、ムードメーカーとして皆を引っ張る。一方で小悪魔系のイタズラっ子な顔もある。山根さんはオーディションに臨む際「5人の中で一番自分の声がしっくり当てはまりそうなキャラクター」だと感じたという。

　「普段、演じるときは、そのキャラクターに寄せる形で声を作るようにしているのですが、流星の場合は作らずに、素の声のままでやれそうだなと思ったんです。そうしてまったく作らずにやりやすいトーンで勝負して、初めて採用されたキャラクターということもあって、非常に思い入れがあります」

　流星は、腹黒い一面もある。山根さんは流星の「繊細な部分」にも注目してほしいという。

　「本当はものすごく繊細で、皆のことをよく見ている女の子なんですよ。気配りもできて、どんな状況にも対応できて、そのせいで無理をし過ぎて、倒れてしまうようなこともあって……。小悪魔的な部分だけでなく、そういった一面があるのも流星の魅力だと思っています」

　山根さんと流星は性格が似ているところもあり、特に「他人に必要とされること」に固執してしまう部分に共感できたという。

　だからこそ、流星の言動を理解しやすかったようで「皆から必要とされたい、求められたいという気持ちが強くて、ついつい限界を考えずに行動しちゃうんですね。でも隼君や、ほかのメンバーの優しさに触れて、『頑張りすぎなくてもいいんだ』ということに気づいて、そこから少しずつ変わっていきます。そこは、ぜひアニメでご確認ください！」と語る。

　◇普段とは違う演技　感情の起伏を表現

　コロナ禍ということもあり分散収録となったが、そんな中で「実際に掛け合いをすること」の意義を改めて感じた。

　「5人そろっての収録と個別の収録、両方を経験しました。そろうと、やりやすさが全然違うんです。その場で実際に掛け合いをすることで、芝居もよりリアルになるので、また、皆でいっしょに収録ができるようになってほしいです」

　山根さんは意外にも本格的なラブコメディー作品への出演は初めてとなった。「ラブコメ要素のある作品に出演させていただいたことがあるんですけど、がっつりラブコメというのは今までなかったので、今回はすべてが初挑戦です」と語る。

　「普段のお芝居はナチュラル寄りといいますか、ごく普通におしゃべりをするようなお芝居を心掛けているんですけど、今回はそれだと絵に負けてしまいます。なので、意図的に、感情の振り幅を作るといいますか。意識してテンションを上げたり、下げたりして、感情の起伏を表現するようにしたんですけど、これがなかなか難しかったですね」

　監督からアドバイスをもらいながら収録に臨んだといい「なかなかコツをつかめず、納得のいくお芝居ができずにいたんですけど、監督にはずっと指導していただき、ようやくラブコメらしいお芝居ができたときは本当にうれしかったですね。収録後に『いい感じです』とポジティブなお言葉をいただいた時は感極まって、帰り道で泣いちゃいました」と明かす。

　「女神のカフェテラス」は、山根さんにとって新境地となった。繊細な感情表現に注目してほしい。

　（取材・文：ソムタム田井）