名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
武内直子さんの人気マンガ「美少女戦士セーラームーン」の最終章を描く劇場版アニメ「美少女戦士セーラームーンCosmos」(高橋知也監督)の前編が公開中で、後編が6月30日に公開される。最終章は、謎のプリンセス・火球皇女(かきゅうこうじょ)役の水樹奈々さん、新たなセーラー戦士・セーラースターライツのセーラースターファイター/星野光(セイヤ・コウ)役の井上麻里奈さんら豪華声優陣が新キャラクターを演じることも話題になっている。水樹さんと井上さんは、子供の頃から「美少女戦士セーラームーン」の大ファンで、特別な思いで収録に臨んだという。水樹さんと井上さんに「美少女戦士セーラームーン」への愛、収録の裏側を語ってもらった。
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井上さん ファンとしては、これが平均的な反応ですよ(笑い)。星野光の声は、声優・井上麻里奈ではない……とと自分自身が一番思っていながらも、オーディションでは、あふれんばかりの愛をただ込めることしかできませんでした。本当に光栄です。ただ、合格のご連絡をいただいても実感が湧かなかったのが事実でして、台本いただき、香盤表で自分の名前を見た瞬間、ようやく実感が湧いてきました。うれしかったんですけど、事実ではないような不思議な感覚だったんです。実感が湧かないというのが、率直な感想です。
水樹さん お話しを聞いた時、私でいいんだろうか!?とびっくりして、光栄で震えました。ファンの皆さんの愛が深い作品ですし、皆さんに納得していただけるそのキャラクターを作れるのか?と喜びと同時にプレッシャー、緊張が走りました。皆さんからの反響が怖くて最初は見られませんでした。
井上さん 怖いですよね!
水樹さん そうなんですよ!
井上さん めちゃくちゃありました。発表された時、びっくりするくらい、たくさんの反響をいただき、皆様の愛情の深さに、さらに気後れしてしまいました。それだけ愛されたキャラなんだなと……と改めて目の当たりにすることによって、大きなプレッシャーになりました。愛が強い!と言われることもありますが、ファンはみんなそうなんです!
水樹さん 最初は反響を見るのが怖くて、皆さんから「すごく楽しみにしています!」「ぴったりですね!」「既に脳内で再生しています」という声をいただき、すごく応援、お祝いしていただけて、うれしかったです。
水樹さん 私はセーラーヴィーナスになりたかった。「コードネームはセーラーV」から好きで。
井上さん 分かります!
水樹さん うさぎちゃんが世界を救うために立ち上がる前から、活動していたと思うと、より応援したくなります。普段はちょっとミーハーなところがあるけれど、実は男前なんですよね。仲間のためには命をかけて戦うという覚悟が強い。ちょっときゃぴきゃぴしたところもありますが、セーラー戦士たちのリーダーですし、誰よりも大人なのかもしれません。格好いいんです。推しです。
井上さん セーラージュピター推しです。まず、バラのピアスに一目ぼれしました。パワフルですが、家庭的で誰よりも乙女なところが可愛いです。推しは、まこちゃん(木野まこと)と(土萠)ほたるちゃんです。
水樹さん うんうん、分かる! 可愛いよね。
井上さん 影のあるキャラが気になるんです。ほたるちゃんは黒い瞳にひかれました。みんなが大好きなウラヌス、ネプチューンも好きですが、この二人は好きになるとかじゃなくても、二人の世界でいてほしいもので……。
水樹さん 分かる!
井上さん 奈々さんはヴィーナスっぽいです。
水樹さん あんなに男前かな?
井上さん 男前ですよ!
井上さん 星野はやっぱり格好いいです。本当に大切な人を探しながら、それでも今そばにいるうさぎちゃんというひかれる存在も守ろうとする。戦士として格好いいところです。
水樹さん 私はやっぱりメイクアップシーンですね。セーラー火球として戦い、彼女の感情が爆発します。普段は物静かで、奥ゆかしいプリンセスなんですけど、戦士として毅然(きぜん)と敵に立ち向かいます。愛が深く、強い部分をぜひ見ていただきたいです。
水樹さん 一ファンとして大きな愛があり、愛がある故にキャラクター作りにブレが生じてしまってはいけません。ファンとしての気持ちは一度置いておいて、純粋にシナリオ、原作を読んで、感じたものをキャラクターのフィルターを通してどう出していくのか?と冷静に考えました。火球は大切な人を失ったという過去がありますが、そこで悲しみに暮れるのではなく、踏み出していく強さ、愛の深さをキャラクターとしてしっかり落とし込めるようにしました。
井上さん 1990年代のアニメの星野さん、原作で描かれている星野さんは、同じ人物でありつつも、描かれているシーン数も違います。ファンの方が思い浮かべる星野さんは、いろいろなイメージがあり、少しずつ違う部分みたいなものをどうしようかな?と考えました。皆様が思い描く星野さんを少しでも取り入れることも模索しつつ、演じる時は集中するのですが、そのことを頭の片隅に置きながら演じました。
井上さん 火球様という我々の大切なプリンセスを思いながらも、うさぎちゃんという新たなプリンセスに寄り添うシーンも描かれています。星野は、うさぎちゃんに対して特別な感情を抱きます。この気持ちは、私が三石さん(エターナルセーラームーン/月野うさぎ役の三石琴乃さん)に抱いている気持ちと一緒なんです。私にとって三石さんはプリンセスなんです。この方がプリンセスだと思って育ってきたので、その方を隣にして、特別な思いを抱くのは当然のことで、自分の状況ともリンクしたので、変に意識しないで演じることができました。
井上さん 三石さんの声を聞きながら演じさせていただき、耳元でうさぎちゃんの声を聞くだけで、自然と「プリンセス!」となります。
水樹さん 私は完成した映像を見て、感動しました。シリアスなストーリーなのですが「美少女戦士セーラームーン」ならではのコミカルな要素、日常シーンが随所にちりばめられていて、三石さんの演技にずっと鳥肌が立っていました。シリアスなシーンの中にあるコミカルなシーンも絶妙なバランスで演じていらっしゃって、本当にすごいんです。
井上さん 子供の頃はうさぎちゃんたちがふざけ合ったり、楽しくはしゃぐ日常シーンや爽快に闘う場面が好きだったのですが、大人になって見直すと、当時とは見る場所や感じ方が全然違って、より戦士達の友情や絆に感情移入しました。「Moon Revenge」を聴いただけで涙が出てくる体になってしまいました。愛や絆、人とのつながりなど作品のストーリー、メッセージは壮大だけど、すごく素朴なところもあって戦士たちも完璧ではないからこそ、より身近に感じられて好きになるのでしょうね。
水樹さん より胸にグッとくるようになりました。子供の頃は、深いところまで読み込めていなくて、改めて見ると、こんなメッセージが込められていたんだ!と気付き、泣いてしまいます。
井上さん 大前提の話になってしまうのですが、変身にひかれます。子供の頃、日常生活を送っている中で、自分じゃない何かになれたらいいな……と非日常に憧れていました。普通の女の子がメイクアップで変身するという衝撃がすごく大きかったんです。自分ではないものに変身して、力を得て、大切なものを守るというのが、すごく魅力的ですし、憧れなんです。それは大人になっても同じです。
水樹さん ごくごく平凡な女の子が世界、未来も過去も全てを救う存在になれるっていうことが魅力的ですよね。子供の頃は、何をやっても大人にはかなわないけど、うさぎちゃんは特殊な力を手に入れて、たくさんの仲間を得て、苦境に立ち向かっていきます。すごく勇気をもらえるんです。大人になっても悩んだり、壁にぶつかったりすることがあります。うさぎちゃんたちが、どんなピンチの時も諦めず、立ち向かう姿を思い浮かべると、勇気がわいてきます。キラキラしたところに目がいきがちですが、私はド根性ものでもあると思っていて、そこが世代を超えて支持されているところなのかもしれません。
水樹さん 本当にそうですね。
井上さん 「美少女戦士セーラームーン」に育てていただきました。
井上さん 一ファンとして完成版を見て「美少女戦士セーラームーン」の世界に自分が入れているという感動がありました。うさぎちゃんの孤独な戦いも描かれていて、感情移入しながら、泣きながら見ました。
水樹さん 自分が声を当てているシーンはどうしても素になって、ドキドキしました。それ以外は、一ファンとしてディープに作品の世界に入って、ますますうさぎちゃんラブ!頑張れ!という気持ちでした。
井上さん 「星野は初恋の相手」というお声をたくさんいただき、非常にプレッシャーを感じつつ、それでもファンの方に寄り添いたいという思いで、精いっぱい演じさせていただきました。少しでも皆様の好きな星野に近づけていたらうれしいです。うさぎちゃんの戦いを存分に見ていただいて、うさぎちゃんの選択を見守っていただければと思います。
水樹さん 先が見えず、不安を抱えながら生活する中で、今だからこそ皆さんに響くメッセージがたくさん込められています。分断されてしまった社会で、つながりの大切さを改めて感じています。うさぎちゃんは孤独な戦いに身を投じ、その中でもつながっている仲間がいるから、未来に向かって進んでいけます。一歩踏み出す勇気は、現実世界においてもとても大事なことです。そのメッセージをセーラー戦士たちの戦いを通じて感じていただけたらうれしいです。
※高橋知也監督の「高」ははしごだか。
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