俳優の竹中直人さんが、10月3日から上演されるミュージック「のだめカンタービレ」に出演することが6月22日、分かった。2006年に放送されたテレビドラマ、09、10年の劇場版で演じたミルヒー・ホルスタインことフランツ・フォン・シュトレーゼマンを、ミュージカルでも演じる。
あなたにオススメ
“あの頃”のジャンプ:実写ドラマ化も話題「ウイングマン」 1983年を振り返る
ミルヒーは、ドイツからやってきた世界的に有名な指揮者。「のだめ」こと野田恵や千秋真一が通う音楽大学の理事長からの依頼で来日し、のだめと千秋に音楽の本質を伝える。一方で、合コンやキャバクラが大好きで、単なる“エロじじい”になる瞬間もある。
「のだめカンタービレ」は、2001~10年にマンガ誌「Kiss」(講談社)で連載されたマンガ。落ちこぼれながら天才的なピアノの才能をもつ音大生の野田恵と、同じ大学に通うエリートで指揮者を目指す千秋真一が出会い、仲間たちと共に音楽家として成長していく姿を描く。
テレビドラマ、劇場版では、上野樹里さんと玉木宏さんがダブル主演を務めた。ミュージカル版では、ドラマ版、劇場版と同じく上野さんが野田恵役を、三浦宏規さんが新たに千秋真一役を演じる。
10月3日から10月29日までシアタークリエ(東京都千代田区)、11月3日、4日にサントミューゼ(長野県上田市)で上演される。
僕は、どんな仕事もスケジュールさえ合えば決して断らずに今までずっとやってきました。「仕事を選ぶ」と言うことがとても偉そうで、あまりにも照れくさすぎるからです(笑い)。
でも唯一、お断りした仕事があります。それは、テレビドラマ「のだめカンタービレ」のミルヒーの役でした。当時、のだめのプロデューサー、そして監督から「ぜひ、竹中さんにミルヒーを演じていただきたい」とお話しをいただきました。
僕は驚いて「え???! ミルヒーはドイツ人ですよね」と言いました。「ええ、でも僕たちは竹中さんなら出来ると思っています」「そんな……、だって僕は日本人ですよ」「ええ、それは分かっています」「いやぁ……無理です。それは……。だってドイツ人です。ぼくは日本人です……」「はい。でも竹中さんなら出来るんじゃないかと」「いやぁ、無理です。それはどうしようもなく無理です。本当に申し訳ございません。出来ません」そして僕は打ち合わせ場所を去ろうとしました。
ふり返るとプロデューサーと監督がどこかさみしそうにうなだれている姿が目に入りました。僕は思わず言いました。「カツラなどをつけて、後は特殊メークで鼻を高くしたら出来るかも知れませんね……。あっ、いや! それじゃあコントになってしまいますものね。やっぱり無理です! ごめんなさい!」すると……「竹中さん、それで行きましょう!!」と言う答えが返ってきたのです。
「えーー?!?!」なんと、ミルヒーを演らざるをえない状況になってしまったのです。まさか、そのミルヒーを、再び舞台で演じることになろうとは! お断りする勇気が僕にあったのか、なかったのか……。僕は「やります」と言ってしまったのです。上野樹里さんは、こののだめが初舞台になると聞きました。そんな樹里さんの姿を静かに見つめながら演じるしかない……と僕は思いました。これは一大決心です。いくつになっても、やる時はやる人間でいたい……と、思ったのかもしれないし、そうじゃないかもしれません。舞台「のだめカンタービレ」にて、この竹中直人、ミルヒーを再び演じるしかないでしょう!! ただただその思いです。どうか、何とぞ、よろしくお願いいたします。