名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
芳文社の4コママンガ誌「まんがタイムきらら」が11月に独立創刊20周年を迎えた。1990年代後半頃から注目を集め始めた“萌え系4コマ”を初めて専門的に扱ったマンガ誌で、1981年創刊のファミリー向け4コママンガ誌「まんがタイム」の増刊として2002年5月に誕生し、2003年11月に独立創刊した。「まんがタイムきららキャラット」「まんがタイムきららMAX」などの姉妹誌も誕生し、「ひだまりスケッチ」「けいおん!」「ご注文はうさぎですか?」「ぼっち・ざ・ろっく!」など“きらら系”とも呼ばれる数々のヒット作を送り出してきた。「けいおん!」「ぼっち・ざ・ろっく!」のようにアニメ化をきっかけに社会現象になった作品もあり、10月からは大熊らすこさんの「星屑テレパス」のテレビアニメがTOKYO MXほかで放送されている。「きらら」が20年以上愛され続けている理由とは? 同誌編集部の末永雅弘さん、大熊さん、テレビアニメ「星屑テレパス」や2013年放送のテレビアニメ「ゆゆ式」も手掛けたかおり監督に、魅力を語ってもらった。
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末永さん 1981年に創刊された「まんがタイム」をはじめ芳文社は4コママンガに強い出版社でした。「きらら」誕生当時、秋葉原を中心に美少女キャラクターの文化が広がっていて、そこに強い編集者が、芳文社が元々持っている強みと美少女を組み合わせて雑誌が生まれたと聞いています。
末永さん マンガだけでなく、ゲームなどさまざまなエンタメで美少女という文化が隆盛していた時代でした。
末永さん 可愛い女の子たちの日常、青春を描くことで、癒やしを与えられたり、それだけではなく前向きに明日を生きる活力になるところだと思っています。ただ、作品の根底に流れるものというのを説明するのは難しく、それぞれの作家さんの“きらら観”があり、必ずしも共通していないんです。「ドキドキ☆ビジュアル4コマ誌」というキャッチコピーがありますが、それを魅力的に見せることは共通しているのですが、各作家さんの感覚によって幅広い作品が生まれています。
大熊さん 作家目線ですと、その世界で生きるキャラクターたちをより身近に、より魅力的に見せたいという思いがあります。可愛い女の子が何人かいて、その子たちが主体的に何かをするというパブリックイメージがあるかもしれないですが、表面上は共通していても、一皮めくった根底には、キャラクターたちの多種多様な生き様に触れられるところが魅力だと私は感じています。
かおり監督 いろいろなキャラクターがいますが、みんな同じじゃないところが魅力だと思います。可愛いという共通認識がありつつ、身近にいたらいいな、友達に似ているな……と距離の近さも魅力です。アニメにする時も実存感と言いますか、地に足がついていて、こういう子がいて、こういうことを言いそう……と感じていただきたいという思いがあります。突拍子もないキャラもいますが、フィクションですし、スパイスや味になっているんですよね。
末永さん 誕生時は「まんがタイム」の増刊だったので、4コマを長年描いていた作家さんもたくさんいらっしゃいましたが、初めて4コマを描く作家さんも増えていますし、雑誌の中身も変化しています。変化が積み重なり、今の形になっています。雑誌の中身以外の変化もあります。以前は、萌えは揶揄(やゆ)される時代もありましたが、今はそういう空気がなくなりつつあります。私は男子校出身なので、そういう経験があまりないのですが、きららマンガを隠れてこっそり読む時代もあったと思います。それが今では多くの人に受け入れられていると感じます。
かおり監督 「けいおん!」は、アニメの歴史を変えたと思います。美少女アニメを見る層を広げ、土壌を作りましたしね。すごく丁寧に作られていて、美少女アニメと言えば、顔の半分が目!みたいなイメージもあったかもしれませんが、少し落ち着いた等身大の女の子を描いていましたし、可愛らしく魅力的に動かしているところも素晴らしかったです。
大熊さん 最近ですと「ぼっち・ざ・ろっく!」ですよね。「けいおん!」のように、きらら系のアニメを浸透させた作品だと思います。
末永さん どちらもキャラクターが使用している楽器が売れたり、社会に影響を与えた作品ですね。
大熊さん 私は元々4コマ自体が好きで、ゲームアンソロジーもずっと読んでいました。きらら系で最初に読んだのは「ひだまりスケッチ」で、それまでの4コマと全然違って、ほろ苦いし、温かいし、これも4コマなんだ!と感動しました。マンガは趣味の範囲で描いていたのですが、4コママンガを本格的に描こうとしたのは、持ち込みをしようと思ってからです。
大熊さん 「スロウスタート」の篤見唯子先生も同じことを別の媒体でおっしゃられていたのですが、きらら系のオチはギャグじゃなくてもよくて、可愛い!で終わってもいいんです。雰囲気がいい感じ、エモい感じのオチでもよくて、自由度が高いのですが、それが難しいんです。作家さんの個性によってオチが違っていて、そこを意識すると難しくて……。プロットを描く時は、オチを意識しすぎずに、基本的に一つの物語として描くようにしています。過激なギャグは作品のテイストから外れてしまう場合もあるので。
末永さん 「星屑テレパス」はドラマチックな作品なので、4コマとしては正しくないのかもしれませんが、オチのギャグを削っていただくこともあります。
かおり監督 「まんがタイムきらら」が創刊された時には、既にアニメ業界の人間でした。そもそも4コママンガが好きで「まんがタイム」を読んでいたのですが、「まんがタイムきらら」が創刊されたのは知らなくて、「けいおん!」「ひだまりスケッチ」が盛り上がっているのを知り、4コママンガ誌はおじさんが読むイメージもあったので、こんな雑誌があるんだ!と驚きました。
かおり監督 基本的には難しいですね。4コマは起承転結があり、オチがあります。それをそのままにしてしまうと、コントの羅列のようになってしまいます。縦軸を考え、オチを使うか、使わないかの取捨選択が必要になってきます。
-ー原作を解体して再構築する?
かおり監督 そうですね。「星屑テレパス」は、ドラマチックな作品なので、そういう点ではあまり苦労していません。「ゆゆ式」は会話が中心なので、どう縦軸を作るのか?を考えていました。「星屑テレパス」は、緩急を付けて、ドラマチックなところ、ギャグ、可愛いところを交互に見せていこうとしています。
大熊さん 監督は、私の作品のちょっとしんどい部分、可愛い部分のバランスを考えてくださって、すごく見やすい形でアニメとして落とし込んでくださっています。その配慮がすごくありがたかったです。
かおり監督 ギスギスするところもありますが、一生懸命に生きていて、コミュニケーションを取ろうとしている子たちの話だから、見終わった後によかった!と思って、気持ちよく終わるようにしようと作っています。
末永さん 出版不況の中でも雑誌が残り続けているのは、読者の皆様のおかげです。これからも愛される雑誌であり続けたいです。
大熊さん 読者視点ですと、いろいろな4コマを読みたいです。こんな4コマあったんだ!となるような。
かおり監督 可愛い作品が大好きなので、末永く続いてくれるとうれしいです。これもきららなの?となるものも出てくると面白いですよね。また、作品に携われるように頑張ります!
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