解説:「龍が如く」 どうして人気シリーズになったのか

「龍が如く」シリーズの初代主人公・桐生一馬(龍が如く7外伝 名を消した男から)(C)SEGA
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「龍が如く」シリーズの初代主人公・桐生一馬(龍が如く7外伝 名を消した男から)(C)SEGA

 実在の街をモチーフにした歓楽街を舞台に、男たちの熱い生きざまを描いて話題を呼んだゲーム「龍が如く」シリーズ(セガ)。11月9日に最新作「龍が如く7外伝 名を消した男」が発売され、来年にはナンバリングの最新作「龍が如く8」も予定されるなど、20年近く愛されている人気シリーズの魅力を解説する。

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 「龍が如く」は、「大人向けのエンタテインメント作品」というコンセプトで現代の日本を舞台に制作されたアクションアドベンチャーシリーズ。新宿の架空の歓楽街「神室町」を舞台にかつて「堂島の龍」の異名を取った元極道の桐生一馬の生きざまを描く内容で、2005年に第1作がプレイステーション(PS)2向けタイトルとして発売され、その後スピンオフなどを入れると20作以上が制作されており、海外でも「Yakuza」というタイトルで展開されている。なお「7」では、「ONLINE」の主人公だった元極道の春日一番が主人公を務めている。

 シリーズを通して一貫している「大人向けのエンタテインメント作品」というコンセプト。初期は歌舞伎町を舞台にしたノワール小説「不夜城」などで知られる馳星周さんがシナリオ監修を務めたほか、それまでゲームの世界ではほとんど描かれてこなかった現代日本の社会や風俗を描いたのはとても斬新だった。

 さらに新宿・歌舞伎町や大阪・道頓堀をはじめとした実在の街をモチーフにした歓楽街には「ドン・キホーテ」「松屋」といった実在の店舗が並び、「ライザップ」「三井のリパーク」をはじめとした実在の企業、「C.C.レモン」「ノザキのコンビーフ」など実在の商品もゲーム内に登場。物語や世界観にさらにリアリティーをもたらしたといえる。

 各作品に登場する個性的なキャラクターの声優に著名芸能人を起用したのも特徴だ。桐生の恩師、風間新太郎の声を故・渡哲也さん、弟分の堂島大吾の声を徳重聡さんを演じたほか、後のシリーズでは、成宮寛貴さん、北大路欣也さんをはじめ、声だけでなく顔まで再現したキャラクターが登場するようになり、スピンオフ作「JUDGE EYES:死神の遺言」では、木村拓哉さんの顔と声を再現したキャラクター、八神隆之が主役を務めるまでになっている。

 タイアップや著名芸能人の起用など現実世界と地続きとなったさまざまなリアルを盛り込んだ舞台で描かれるのは、愛や友情、裏切りといったドラマや映画で描かれてきた普遍的な人現模様だ。いわゆる“ヤクザ映画”やVシネマなどでも描かれてきた人間ドラマに、ゲームならではのダイナミックさや外連味(けれんみ)を加えたストーリーは、大人になってゲームを卒業していた幅広い一般層の心も掴んだ。ゲーム好きが集まる家電量販店や繁華街の路面店だけでなく、ロードサイド店での売り上げも高かったのは、ゲーマー以外の一般層の取り込みに成功したからだといえる。

 バッティングセンターをはじめとしたミニゲームや本編と直接関係しないサブストーリーなど、やり込み要素が満載なのもポイント。特にキャバクラ遊びは本シリーズならではのミニゲームとして定評があり、近年のタイトルではゲームセンターにセガの過去の名作ゲームも収録されている。

 他の大型シリーズと比べてリリースのペースが速かったのも特徴で、開発コストや期間が劇的に増加したプレイステーション2以降にスタートしたシリーズにもかかわらず、スピンオフやリメークを含めるとほぼ毎年のように新作をリリース。2000年代を代表する人気シリーズに成長した一因だろう。

 久しぶりに桐生が主人公を務める「名を消した男」の発売に続いて、来年1月26日には春日と桐生のダブル主人公によるナンバリング最新作「8」も発売と立て続けにリリースが続く「龍が如く」。2025年の20周年を前にさらなる盛り上がりが見られそうだ。

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