南勝久さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「ザ・ファブル」が、日本テレビ系で4月6日から放送される。コミックスの累計発行部数が2400万部以上の人気作で、興津和幸さんが主人公の“殺さない”天才殺し屋・佐藤明の声優を務める。興津さんはキャスト発表された際、佐藤明のことを「よく分からない男です」と表現していた。「よく分からない男」をどう演じるのか? 興津さんに聞いた。
ウナギノボリ
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「ザ・ファブル」は、2014年11月に「ヤングマガジン」(講談社)で連載を開始。天才的な殺し屋として裏社会で恐れられる通称ファブルが、ボスから「1年間殺し屋を休業し、大阪で一般人として普通の生活を送る」という指令を与えられ、佐藤明という偽名で普通の生活を始める……というストーリー。第1部が2014年11月~2019年11月、第2部「ザ・ファブル The second contact」が2021年7月~2023年7月に連載された。岡田准一さん主演で実写映画化されたことも話題になった。
興津さんは、仕事とは関係なく同作を愛読していたという
「知人から『めちゃくちゃ面白いから』と言われ、僕はその人のことを信用しているので、第1部の全巻を大人買いしました。読み出したら、本当に止まらなくて一晩で全部読んでしまいました。仕事とは関係なく、こんなに一気読みしたのは何年ぶりだろう? それくらい面白かったんです」
佐藤明は「よく分からない男」だ。幼少期から殺し屋としての英才教育を受けてきた“組織の最高傑作”で、何を考えているのか読めないところもある。原作を読んでいて、声がイメージできない……と感じる人もいるかもしれない。
「声がイメージできない……とよく言われます。自分がマンガを読む時、仕事じゃなくて先入観が何もない場合は、自分の声で読むんです。自分が主人公になり、感情移入しながら読みたいタイプでして。だから『ザ・ファブル』も自分の声で想像して読んでいました。自分の声で読んでいるけど、やっぱりよく分からない。相手によって、態度が変わるし、そもそも殺し屋としてのプロフェッショナルなわけですから、素性が分かってはまずいというのが染み付いている。本性を出すことはなく、怪しまれないようにしようとしている。そういうイメージで読んでいました」
アニメは「装甲騎兵ボトムズ」「太陽の牙ダグラム」などの高橋良輔さんが監督を務める。高橋監督から説明はあったのだろうか?
「オーディションの時、各キャラクターに『こういう声をイメージしています』というメモをいただいたのですが、佐藤だけは『ちょっとイメージがつかめないので、苦労するかもしれません』と書いてありまして……。え!? じゃあ好きにやろう!となりました(笑い)。佐藤はやっぱり分からないんです」
怪しまれないようにする佐藤がコミカルに見えることもある。
「違和感があってはいけないと考えています。佐藤の中には、一貫した“何か”がある。よく分からないことが、この作品の面白さなので、やりすぎずに、“何か”を少し感じていただけるようにしようとしています。だから、僕ができることはあんまりないのかもしれませんね。よく分からない人間だけど、心は通っていて、プロでもある。そこをじわじわと印象づけたり、自然ににじみ出るようにしようとしています」
佐藤は普通の生活をする中で少しずつ変化していく。変化は“少しずつ”ということもあり、微妙な表現、ニュアンスが大事になりそうだ。
「本当に微妙に変化するんですよ(笑い)。ちょっとしたグラデーションを出そうとはしています。つかめない人にすることが大きいと思っています。すごく頭を使っています!」
沢城みゆきさんが“明の妹(仮)”の佐藤洋子を演じる。洋子は、圧倒的に酒が強く、超人的な記憶力を誇り、格闘能力も高い美女だ。
「沢城さん、すごいですよ。『私とは全然、似てない』と言うけど、美人ですやん!ってツッコんだり(笑い)。使命感がない人を演じることは難しいと思うのですが、すごく楽しそうなんですよね。洋子が出てくるとミュージカルを見ているみたいになって、空気が変わる。変なことを言っているけど、自然に聞こえるんですよね。美人の『ヒヒヒヒ』という笑いもすてきです」
大阪・太平市を縄張りとする真黒組の若頭の海老原役の大塚明夫さん、海老原の弟分・小島役の津田健次郎さん、明の育ての親・ボス役の小村哲生さんら豪華声優陣も注目される。お笑い芸人・ジャッカル富岡役の福島潤さんの演技も注目される。
興津さんは、福島さんを「最高です! 毎回出てくるだけで大爆笑です。福島さんが振り切って演じられていて、とても可愛らしく、面白いんです」と絶賛する。
個性豊かなキャラクターを演じる豪華声優陣と共演する中で、興津さんは「そのまま佐藤としていることに徹しています」と収録に臨んでいる。興津さんは「よく分からない男」をどう演じるのか? ぜひ注目してほしい。
※「高橋良輔さん」の「高」は「はしごだか」。
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