村瀬歩:「時光代理人」第2期インタビュー(1) 双子の兄妹を一人で演じる 幼少期、妹に扮した兄までも

「時光代理人 -LINK CLICK- II」に出演する村瀬歩さん
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「時光代理人 -LINK CLICK- II」に出演する村瀬歩さん

 中国の動画配信サービス「bilibili(ビリビリ)」で配信された中国のオリジナルアニメ「時光代理人 -LINK CLICK-」の第2期「時光代理人 -LINK CLICK- II」。日本語吹き替え版が、4月からフジテレビ「B8station(ビーハチステーション)」で放送されており、声優の村瀬歩さんが双子の兄妹、李天辰(リー・ティエンチェン)と李天希(リー・ティエンシー)を一人二役で演じていることも話題になっている。村瀬さんは、兄妹の幼少期、さらには妹ティエンシーになりすました兄ティエンチェンも演じ分けている。収録の裏側を聞いた。

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 ◇男女の双子役にびっくり! “つながり”を意識

 「時光代理人 -LINK CLICK-」は、繁華街の一角の時光写真館を経営する程小時(トキ)と陸光(ヒカル)が特殊な能力で、過去を引きずるクライアントからの依頼を解決する姿を描く。2021年4月からbilibiliで配信され、約4カ月で世界総再生回数が1億6000万回を突破するなど人気を集めている。アニメ第1期の日本語吹き替え版が、2022年1~3月に放送された。

 トキは写真の世界に“ダイブ”し、撮影者の精神に乗り移る能力、ヒカルは写真の世界で12時間以内に起きた出来事を把握する能力を持ち、二人は“ダイブ”中に意思疎通ができる。村瀬さんが演じる双子の兄、ティエンチェンにも人の体を乗っ取る能力があるようで、トキたちの脅威となる。

 村瀬さんは、男女の双子を一人で演じることが決まった際は驚いたという。

 「びっくりしました。これまで兄と弟を一人二役で演じたことはあったのですが、男女の双子を演じるのは初めてじゃないかなと思います。双子の友達に話を聞くと、やはり自分の半身というか。多分血とはまた別のつながりを感じているところがあるだろうから、そこはすごく意識してお芝居しないといけないなと感じました」

 第5、6話では、双子の兄妹の幼少期の凄惨(せいさん)な過去が描かれた。嫉妬深い父親が、母親やティエンチェンたちに暴力を振るう場面が描かれ、詳細は明らかになっていないが、その事件で両親は共に死亡している。

 「ティエンチェンは、元々正義感が強くて、お母さんや妹のティエンシーを『自分が守らなきゃ』とか『幸せになってもらいたい』という思いで動く。過去の事件から大人の男に対して、あまり良い印象を持っていなくて、自分がどれだけ思いや正義の心を持っていてもかなわないというコンプレックスも結構あって。そこに暴力という手段を持って対抗しようとしたことでまた悲劇が起こる。そんなキャラクターだなと思います」

 兄に対して妹のティエンシーは、兄が失ってしまった正義の心を持って「お兄ちゃんを助けたい」という気持ちが強いと感じているという。

 「過去のトラウマで心を閉ざしてしまっていて、言葉が話せなかったりと、コミュニケーションの手段はすごく限られているんだけど、きちんと他人に頼るとか、感情を持って人と接しようとか、人間の原始的なところをすごく大事にしているというか。そういうところに兄妹ですごく差があるなと思いました」

 ◇喉を整え“ド根性”で 幼少期から兄と妹の違いを演じ分け

 双子だが、考え方や性格にはかなり違いがあるティエンチェンとティエンシー。村瀬さんは、どのように演じ分けているのだろうか。

 「最初にお話をいただいた時は『大丈夫かな……』と思いました(笑い)。ただ、せっかく自分を指名してくださって、演じられるという可能性を見つけてくださったのであれば、『もうやるしかない』とド根性で臨みました。収録の前日はかなり早い時間に寝て、お酒は絶対に飲まないようにしていました。収録の朝は6、7時ぐらいに起きて喉の調子を整えたりとか」

 1日の収録で兄と妹の両方を収録することが多いため、喉が消耗しないよう気をつけているという。

 「妹のティエンシーから録(と)ることが多かったのですが、ティエンシーは話が進むにつれて、だんだんハードモードになってきて『うう……』とうなったり、泣いたり、怖がったりするシーンが多くなるんです。そういうシーンは喉をグッと締めるのですが、『これは結構、喉の消耗量がすごいな』と思って、気をつけていました」

 同い年の双子だが、幼少期を演じる際は、兄のティエンチェンの「早く大人になりたい」という気持ちを大切にしたと語る。

 「お兄ちゃんのほうが、妹と比べて、声に芯があるというか。幼少期でもしっかりしているというか。『妹のために僕が頑張らなきゃ』『大人になりたい』という気持ちが前に出てたので、そこはすごく大事にしました。妹と比べて、ちょっと成長してるかな?くらいの印象が声に乗るといいかなと思ってお芝居させていただきました。逆に妹のティエンシーの幼少期は、可愛らしい、あどけない感じを意識しました。見ている皆さんにも、悲劇に遭う前の可愛くて純朴な頃のティエンシーの印象がより残るようにチューニングするというか」

 インタビュー(2)に続く。

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