ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
プロ野球・日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」を含む「北海道ボールパークFビレッジ」(北海道北広島市)が、アニメファンの間で注目を集めている。ゴールデンウイークには大型イベントが行われたほか、劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」とのコラボイベントも話題を呼んだ。「Fビレッジならではのポテンシャルがある」と分析するアニメコラムニストの小新井涼さんが解説する。
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北海道は新千歳空港と札幌の途中、北広島にある「北海道ボールパークFビレッジ」をご存じでしょうか。“エスコン”こと、プロ野球「北海道日本ハムファイターズ」の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」を擁する北海道の新名所です。
…と、これだけ聞くとアニメとは無縁にも思える施設ですが、実は他の球場ではなかなかできないようなアニメイベントを可能にする、独自のポテンシャルが秘められていました。
先月GW中に開催された「FビレッジへGO!GO!STVアニメ祭り」内で「ルパン三世トークショー」に登壇させていただいた筆者の実体験も交えて分析していきます。
Fビレッジでのアニメイベントが持つ独自のポテンシャルとして真っ先に実感したのは、野球やアニメファンに止まらない幅広い人々が気軽に参加し、楽しめる点です。その要因としては、本施設が他の多くの球場施設と違い、“スタジアム”ではなく“ボールパーク”と呼ばれる施設であることが大きいと思います。
多くのスタジアムと呼ばれる球場は、当たり前ながら試合と観戦がメインとなるので、それ以外の施設は飲食店やグッズの売店がある程度です。一方、このFビレッジには、飲食ひとつとってもカフェからベーカリー、海鮮やラーメン、ニッポンハムならではのブランド肉が味わえるグルメ施設がショッピングモール並みにそろい、グッズのショップもちょっとしたテーマパーク並みの規模と充実度となっています。果てはアスレチックやホテルにサウナといったアクティビティーまで完備された、まさに試合以外も楽しめるパーク(遊園地)となっており、ここ札幌でも、これまで球場に足を運んだことがないような人たちにも親しまれているのです。
こう聞くと、東京ドームシティのような空間が思い浮かぶかもしれませんが、球場とそれ以外の施設が集まって形成される東京ドームシティと比べ、Fビレッジは上記施設の多く、ホテルやサウナまでもがエスコン、つまり球場内に設備されている特徴があります。加えて、試合のない日であればFビレッジだけでなくエスコンへの入場も無料のため、主に観戦やライブといった“目的がある人のみ”が訪れる他の球場と違い、近所のモールや公園並みに、誰でも気軽に球場内まで足を運べるかなりオープンな空間となっているのです。
そんな空間で行われるアニメイベントは、主に野球や作品ファンに向けて行われてきた他球場でのアニメコラボや声優さんによる始球式と比べ、例えば極端な話、札幌で開催される雪まつりのような、より不特定多数に開かれた間口の広いものにもなり得ます。実際に今回のイベントも、入場料制ではあったものの、休日に遊びに来た親子連れやおじいちゃんおばあちゃんをはじめ、従来のアニメイベントではあまり見かけない層も多数来場し、Fビレッジそのものが持つアクティビティーも含めてイベントを満喫していました。
また、Fビレッジやエスコンと、アニメイベントとの親和性をさらに高める要素としては、昨今のアニメ作品の更なる一般化の流れも大きいと思います。今回のイベントでも、エスコン内の大型ビジョンで今期放送中のアニメ「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」や「転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます」が上映されていたことに個人的に驚き、その流れを強く感じました。
恐らく今のアニメブームが訪れる以前、5、6年程前であったならば、上記のような幅広い客層のイベントで取り上げられるのは、誰もが知る「ルパン三世」や「名探偵コナン」ぐらいまでにとどまっていたのではないでしょうか。以前は主にアニメファンをターゲットとしていた深夜アニメまでが広く一般化した今、そんな従来のイメージも覆り、幅広い層が集まるイベントが、アニメファン以外も分かる作品だけでなく、参加者が新しい作品と出会える場にもなってきている様子が窺えたのです。
あまり取り扱われてこなかった幅広い作品にまでスポットが当たり、アニメや野球ファンにとどまらない幅広い層に届く。今回のイベントを通して、そんな他の球場ではなかなかみられないアニメイベントを可能にするポテンシャルを、Fビレッジから感じました。
劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」とのコラボも話題を集めましたが、そのポテンシャルをフル活用して、今後もここでしかできないアニメイベントがどんどん開催されることを、札幌在住者としてもアニメ好きとしても期待せずにはいられません。
こあらい・りょう=KDエンタテインメント所属、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約10年前から継続しつつ、学術的な観点からもアニメについて考察・研究し、大学や専門学校の教壇にも立つ。アニメコラムの連載をする傍ら、番組コメンテーターやアニメ情報の監修で番組制作にも参加している。
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