画業50周年を迎えたマンガ家のわたせせいぞうさんと、レトロモダンな世界が人気のイラストレーターのマツオヒロミさんがコラボすることが明らかになった。2人の“夢のコラボ”によって生まれた短編マンガが、10月18日発売の季刊誌「イラストレーション」(玄光社)12月号で短期集中連載をスタートする。わたせさんがストーリーを構築し、ネームを作り、マツオさんが作画を担当する。
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マツオさんは、わたせさんのファンであることを公言しており、わたせさんの代表作の一つ「菜」に特に強く影響を受けているという。わたせさんもマツオさんの作品を見て、和を基調としたレトロで美麗な世界観と色彩感覚に感銘を受けといい、わたせさんの1980年代の作品を復刻した「チョーク色のピープル Complete Edition」にマツオさんが寄稿したことがきっかけに、コラボすることになった。
わたせさんは「僕が考えた物語世界の中にマツオさんが描く女の子が登場したらどんなに素晴らしいか」と話している。マツオさんはマンガ家を志した時期もあったが、ネーム作りに苦労したのと一コマの絵を描くのに時間がかかりすぎるため、イラストレーションの道に進んだ経緯がある。自著で短編を描き下ろすなど、マンガへの意欲はずっと持っていた。コラボマンガでは、わたせさんのネームを基に、自身の世界観とすり合わせてキャラクターを考え、画面を構成していった。
2人で物語のキーワードを出し合った中から、「Telephone box」が選ばれた。スマホ全盛の時代にあえて電話ボックスを登場させることで、「ここではないどこか」というパラレルワールド的な世界を表現する。マツオさんは普段、時代設定に基づき綿密に資料を調べて描くが、わたせさんの発案で時代性を曖昧にすることで、資料探しの手間を軽減すると共にマツオさんの新しい一面を引き出した。フルカラー4ページのフォーマットは、わたせさんの代表作「ハートカクテル」と同じく、短いエピソードの中に心地よい余韻を残す。吹き出し内の書き文字はわたせさんが手掛けた。
マツオさんの個展「西洋館の記憶 マツオヒロミ × 旧尾崎テオドラ邸」が旧尾崎テオドラ邸(東京都世田谷区)で10月8日まで開催中。わたせさんの個展「画業50周年記念『わたせせいぞう展~ハートフルKOBE~』」が10月2~14日に神戸阪急(神戸市中央区小)本館9階 催場で開催される。
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