高橋留美子さんの大ヒットマンガ「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”の放送がスタートし、このほど、JR上野駅（東京都台東区）でコラボが始まった。巨大プロジェクターで映像が放映されるなど、利用者の目を楽しませている。主人公・早乙女乱馬を演じるのは、前回に続き、山口勝平さん。山口さんにキャスト再集結でも話題の同作について、話を聞いた。（前後編の後編）

あなたにオススメ

「豊臣兄弟！」では池松壮亮が！　大河ドラマ“秀吉俳優”史を振り返る

　◇乱馬とらんまは同一性がより色濃く　キャスト再集結でパワーアップ

　今作では山口さんをはじめ、女らんま役の林原めぐみさん、天道なびき役の高山みなみさん、天道かすみ役の井上喜久子さん、響良牙役の山寺宏一さん、シャンプー役の佐久間レイさんも前作から続投。長く業界のトップで活躍する面々がそろった。

　「続投メンバーは幼なじみのよう。前回の『らんま1/2』で出会ってからこれまで、いろんな作品でしょっちゅう顔を合わせてきましたから、幼なじみがいっしょに大人になってきたような、そんな感じがしています。アフレコの初日は、適度の緊張感と、懐かしさとがありましたね。なんかうちら大人になったね、みたいな（笑）」

　コンビネーションはと聞くと「もうばっちり。昔よりもパワーアップしていますね」と言う。

　「前作のときは、女らんまを演じた林原さんの突き抜けた芝居に、自分の表現が追いつけていないようなジレンマがありました。あれから時間がたって経験を積んだからこそ今回は、より二人で一人。早乙女乱馬と女らんまとの同一性を高く表現できていると思います。

　日高さんは、あかねを演じて以降、少年役や格闘する役をたくさんやってきている。だから『乱馬のばかーっ！』って言い方が、ものすごく力強くなっていますよ（笑）」

　◇実は不安も　続投キャストもボイステストをへて役をつかむ

　今回、キャストは続投メンバーも含めてボイステストをへて決定した。テスト前の心境を聞くと……。

　「続投メンバーは、まだまだやれるという気持ち半分、大丈夫かなって気持ちが半分だったと思います。僕は幸いなことに（乱馬と同じ）高校生役をずっとやらせてもらっていますが、人によっては、完全に大人のお芝居を要求されるようになっている。それぞれ不安のようなものはあったと思います」

　ボイステストはあかねとの掛け合い、良牙との掛け合いなど、それぞれの役で何パターンか行われた。

　「掛け合いだと、すっと役に戻れる部分もあるので、1人でスタジオに入って、自分だけで乱馬のせりふを演じる形だったら、もっと不安があったと思います。そういう意味で今回は個人戦というよりもチーム戦という感じでした。

　みんながボイステストをしていると思うと、家にいてもなんか悶々（もんもん）としてくるんですよ。だから、自分のテストではない時間もスタジオに行って。スタッフの皆さんには、プレッシャーをかけてしまったのかもしれないですけれども、なんだか落ち着かなかったんですよね（笑）」

　◇新キャストも加わり、令和の『らんま1/2』に

　そこに加わったのが新キャストの面々。九能帯刀役の杉田智和さん、九能小太刀役の佐倉綾音さん、小乃東風役の森川智之さん、三千院帝役の宮野真守さん、白鳥あずさ役の悠木碧さんが発表されている。

　「新しい声優の皆さんは前のアニメを見ていた世代。とてもリスペクトを持って前回に雰囲気を寄せてくれながらも、それぞれを新しいキャラクターにしてくれています。

　若手だった僕らが、それぞれのフィールドで経験を積み、みんなで『らんま1/2』に再会して、（高橋）留美子先生のドタバタラブコメディーをしっかり継承する。そこに新しいキャストの方たちが、新しい風を吹き込んでくれて、令和版の『らんま1/2』になっていますね。すごくいいバランスだと思います。

　前回を再現したくて新しい『らんま1/2』を作っているのではなく、今の僕らで、今の『らんま1/2』を新しく作ったらどうなるか。そういう部分をみんなが楽しんでいる。そんな感じがしています」

　「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”は日本テレビで毎週土曜深夜0時55分に放送中。Netflixで独占配信。JR上野駅のコラボは10月31日まで。13番線にある全長100メートルの巨大プロジェクターでスペシャル映像を放映しているほか、10月27日までは上野広小路口ビジョンでも映像を放映していた（現在は終了）。フォトスポットが設置され、複数のビジュアルが掲出されている。山口さんによる録り下ろしの構内アナウンスも聞くことができる。13番線の映像は放映を停止する時間がある。停止するのは月曜午前8～11時半、木曜午後4～7時、土曜午前8～11時半、日曜午後4～7時。