あんぱん:第94回の注目度 やはり強いヤムおんちゃん 姿を見せなくても視聴者をクギヅケ

連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合・月~土曜午前8時ほか)の第94回(8月7日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」の1分ごとの推移を調べたところ、最も注目度(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)が高かったのは、健太郎(高橋文哉さん)が“ヤムおんちゃん”こと草吉(阿部サダヲさん)に似た人物を目撃したと語る午前8時13分の71.6%だった。

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 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

 ◇最高値は午前8時13分 グラフは三つの山を描き、終盤にピーク迎える

 第94回の「注目度」は、主題歌が流れるオープニングの後、順に頂が高くなる三つの大きな山状のグラフを描いた。

 最初の山はオープニング直後の午前8時2分の66.3%。嵩(北村匠海さん)は思い切りマンガを描きたいと、会社を辞める意思をのぶ(今田さん)に伝え、のぶも全力で応援すると答える。翌朝、「来年には漫画家、柳井嵩になってみせるよ」と嵩が誓うあたりがちょうど2分。直後に物語は5年後に飛ぶが、嵩は相変わらず三星百貨店で働いているようだ。

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 二番目の山は午前8時7分の69.4%。副業の稼ぎが安定してきたものの、いざ辞めるとなると不安が募る嵩はある日、いせたくや(大森元貴さん)と偶然再会する。その場面がまさにその時間に当たる。たくやと話すうちに勇気づけられた嵩は、マンガ一本でやっていくことを決意する。

 そして最大の山は午前8時13分の71.6%。妊娠中のメイコ(原菜乃華さん)と健太郎が、幼い娘・愛を連れて柳井家を訪れた場面だ。雑談中、メイコが「久しぶりにヤムおんちゃんのあんぱんも食べたいなぁ」と切り出すと、健太郎は「そういや、あの人ん似とる人ば、こないだ見かけたばい」と明かす。健太郎は、その人物を新橋あたりで見かけたが、とても急いでいる様子だったため、声をかけることができなかったという。

 その人物が大きな壺(つぼ)を抱えていたと伝えると、のぶ、蘭子(河合優実さん)、メイコは「ヤムおんちゃんや!」と口をそろえた。嵩も「ヤムさん、東京にいるんだな」とつぶやいた。この辺がちょうど13分に入って間もなくだ。

 草吉は、のぶと嵩が子供のころ、どこからともなく高知にやって来た風来坊のパン職人。第80回(7月18日放送)で6年ぶりに朝田家に姿を現し、亡くなった釜次(吉田鋼太郎さん)のために、弔いの“あんぱんもどき”を焼いたが、その後は消息不明となっている。再び登場する兆しなのではと、視聴者の関心が一気に高まったのが「注目度」にも反映したと思われる。

 実は、「あんぱん」における“ヤムおんちゃん”の人気はすさまじく、前半の第1回から第65回までで注目度が高かった回を抽出したところ、憲兵から乾パンの製造を命じられ絶体絶命の朝田家に、当初は乾パンづくりをかたくなに断っていた草吉が戻ってきて乾パンを焼く第45回が男女13〜49歳の「コア視聴層」で1位になったほか、個人全体や女性でも5位までにランクインした。

 また、ヤムおんちゃんが、のぶの頼みを受け、1回だけの約束であんぱんを焼く第8回も、「個人全体」「男性」「女性」「コア視聴層」の4区分とも5位までに入った。登場人物の中で最も人気が高いともいえるヤムおんちゃんは、姿を見せない場面でも強烈な爪痕を残した回だった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。

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