緊急取調室 (2025)
第7話 赤い殺意
12月4日(木)放送分
今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第105回(8月22日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」の1分ごとの推移を調べたところ、けんかした嵩(北村匠海さん)と、のぶ(今田さん)のその後が注目された第105回で最も注目度(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)が高かったのはドラマ終盤にあるイラストが登場した午前8時14分の72.9%だった。
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「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。
第105回は、のぶと嵩の“近距離”別居生活のその後が描かれた。終盤には「アンパンマン」誕生の瞬間も登場した第105回は、おそらく「あんぱん」全体を通して最重要な回の一つとスタッフは考えていたのだろう。主題歌が流れるオープニングはカットされ、終盤に出演者の名前をテロップで流す変則的な構成の形が取られた。こうしたドラマの基本的な構成をあえて崩すのは、多くの場合、スタッフに特別な回だという意識があるからだ。
ただ、テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を示す「注目度」は、最初から最後までずっと高止まりしていたわけではない。最近、あまりなかったのではないかと思うほど、激しく乱高下し、グラフはいくつもの山や谷を描く形になった。
ドラマが始まると、注目度は伸び始め、最初の山は午前8時4分の70.8%。登美子(松嶋菜々子さん)から嵩の名前の由来を聞いたのぶは、一人山へ。4分台は山を登り始めたのぶが下山する親子とすれ違ったあたりから、頂上に着く直前までだ。「山って、どうして?」とその行動を心配する嵩のように、視聴者もその後の展開を注視していたのかもしれない。
ただ、続く午前8時5分台以降、注目度は急降下する。
頂上に立ったのぶは、周囲の山々に向かって「ヤッホー」と叫ぶ。はたして、のぶは何をするのだろうか? 続いて「手のひらを太陽に」を歌ったかと思うと、「たかしーー、ボケーー」と絶叫した。その声、思いが、自宅の仕事場にいる嵩に届いたのだろうか。久しぶりに絵を描こうと紙を取り出す。そして、高知でのぶや、「ヤムおんちゃん」こと屋村草吉(阿部サダヲ)のアンパンに出会った頃を思い出したあたり、午前8時6分台で61.5%まで落ちると、反転し、嵩が没頭して鉛筆を動かし、何かアンパンのようなものも描き始めた7分台で67.9%とやや小さいが二つ目の山を築く。
暗くなった部屋で絵に取りかかる嵩のもとに帰ったのぶは。「うちは何者にもなれんかった。教師も、代議士の秘書も、会社勤めも、何一つやり遂げれんかった。嵩さんの赤ちゃんを産むこともできんかった」と自身の胸をうちを明かす。この薄暗い部屋での2人のやりとりのあたりは注目度は60%台半ばをうろちょろするが、「嵩さんの赤ちゃん」に触れ始めた午前8時11分から再び急上昇を始める。
嵩は「そんなこと、誰のせいでもないよ」とのぶの手を握り、「僕たち夫婦はこれでいいんだよ」と優しく語りかけた。のぶは大粒の涙を流して「けんど、ときどき思うがよ。うちは何のために生まれてきたがやろうって」「そんな自分が情けなくて、世の中に忘れられたような、置き去りにされたような気持ちになるがよ」と打ち明けるが、嵩は「のぶちゃんは、ずっと誰かのために走ってた。いつもいつも全速力で。のぶちゃんがいなかったら、今の僕はいないよ。のぶちゃんはそのままで最高だよ」と伝えると、のぶは「ありがとう」と感謝した。
「嵩さん、何、描いたの?」。のぶがそう言いながら、嵩の机の上の絵に視線を落とすと、「たまるか! この太ったおっちゃん最高やね」「あんぱん、配りゆう」とたちまち笑顔になる。このあたりからの午前8時14分台が第105回の最高値72.9%だ。
そこには、丸顔の男性が両手にあんぱんを持ち、マントをつけて空を飛んでいる姿が描かれていた。「この太ったおじさんが、のちに子どもたちに大人気の『アンパンマン』になるのですが、それはまだ先の話。ほいたらね!」。ナレーションでその絵が説明され、第105回はエンディングを迎えた。
のぶが「叫び」「涙を流し」「笑顔になる」と、その感情が激しく揺れ動いた第105回。最終的に2人の関係はより深まり、いよいよ「アンパンマン」への流れが見え始めた。視聴者の画面への注目も、のぶの感情同様に乱高下したが、最終的に嵩のイラストに無事引き付けられたようだ。
活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)
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