ワンピース エッグヘッド編
第1151話 父と描いた夢!ボニーの自由な未来
11月30日(日)放送分
「先生!」「高校デビュー」「青空エール」などで知られる河原和音さんのマンガが原作のテレビアニメ「太陽よりも眩しい星」が、TBS系で10月2日から毎週木曜午後11時56分に全国同時放送される。平均より頑丈な女子・岩田朔英の初恋を描く。朔英は小学生の頃、神城光輝に一目ぼれする。細くて小さかった神城は、中学生になると、爽やかイケメンに成長し、遠い存在になってしまったが、心の奥にしまってきた初恋が動き出すことになる。監督を務めるのは、「山田くんとLv999の恋をする」「キャプテン翼シーズン2 ジュニアユース編」などに参加してきた小林彩さんで、初監督作品となった。小林監督とTBSの白石容子プロデューサーに制作の裏側を聞いた。
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ーーアニメ化しようと思ったきっかけは?
白石さん 元々、河原先生の作品を読ませていただいて、今作も新作ということで読み始めました。少女マンガは、主人公の女の子と相手役を中心にカメラがいきがちではありますが、「太陽よりも眩しい星」はそれ以外のキャラクターにもきちんとカメラが向いていて、恋愛だけではなく、高校生ならではの友情、日常生活もきちんと描かれています。それぞれのキャラクターが魅力的で、朔英ちゃんと神城以外のキャラクターの見せ場がしっかりありますし、そこをしっかり描きつつ、朔英ちゃんの恋愛模様を見せることができれば、映像として魅力的になると考えました。
ーー小林監督が参加することになった経緯は?
白石さん スタジオKAIさんに制作をお願いしたのですが、私自身は少女マンガのアニメ化の経験値があまりなかったので、相談したところ、小林監督を紹介していただきました。「太陽よりも眩しい星」とは別ジャンルなのですが、小林監督が手掛けられた作品を見て、心理描写がとても上手な方だと感じました。モノローグの描写は映像があまり動かないことが多いのですが、小林監督の描く心理描写はすごく動くんです。映画を見ているような印象でした。
ーー小林監督は初監督作品となりました。
小林監督 私は河原先生の作品を折に見て触れてきていました。高校時代は「高校デビュー」が流行っていた世代であり、その後に連載されていた「素敵な彼氏」は監督依頼される前から大好きで個人的に買わせていただいてました。「太陽よりも眩しい星」は、地に足がついている主人公が、どう考えて行動するのか?をしっかり見せていて、やっぱりすごいなと思いながら読みました。ずっと仲の良かった男の子が成長して、手の届かない存在になってしまうという展開が分かるところもありました。私も小学校の時に仲が良かった子が転校して、高校で再会する経験があって、その思い出がよみがえりました。その子が好きだったわけではないのですが(笑)。その経験を踏まえて自分なりに解釈して映像化しようとしました。
ーーモノローグ、回想シーンなどをどう表現しようとした?
小林監督 小学校の時、中学生の時……と回想するエピソードがとても多く、ありふれたエピソードが朔英ちゃんにとって大切であることが大切だと考えていました。朔英ちゃんが神城との思い出を振り返る“回想処理”はほかにはないものにしようとして、色味や撮影処理を突き詰めました。朔英ちゃんの特別な回想だけ、手描き風の撮影処理を加えていて、そこをポイントにしています。ほかのキャラクターの回想は、そういう処理をしていないんです。
ーーキャラクターの数が多いわけではないのですが、どのキャラクターも個性的です。
白石さん 原作よりも早く登場させていますよね。
小林監督 原作を読んでいない人でもどういうキャラクターが登場するか分かりやすくするために、早めにチラ見せさせたりしています。
白石さん 小林監督はシリアス、コメディーのどちらも全力で、遊び心がすごくあるんです。モノローグが多い作品で、マンガと映像は表現方法が違うので、そのまま映像化すると物足りなくなってしまうかと思います。第一話で映画のスクリーンを見ているように表現するなど見せ方やこだわりがとても素敵です。井沢のラップシーンも映像が凝っていて、しっかり描いていて、コメディーも全力なので、テンポのいい映像になっています。
小林監督 ラップのシーンは実際の原作だと「神城含めた男子が楽しそうにしゃべっているシーン」のみですが、アニメでは膨らませています。深夜の放送ですし、飛び道具を使って、視聴者の方の目を覚ませたいと思っていました(笑)。いい子ばかりですし、朔英ちゃんは道を外さない子なので、ちょっとスパイスを入れています。
ーー藤寺美徳さんが朔英を演じます。藤寺さんは収録時、高校生だったという若手です。起用の理由は?
小林監督 2次オーディションで、彼女の演技を見てびっくりしちゃったんです。朔英ちゃんは、声が高いか低いかでいうと、低いと解釈しているところもありました。ただ、原作にもあるように、背が高いところ以外は普通の子なんです。私自身、少し迷走していたところもあったのですが、藤寺さんの一言を聞いたら、ゾワッとしてしまいました。聞けば聞くほど、朔英ちゃんは普段、こういうものを食べて、何時に起きて、どういうルーティンで学校に行くのか……と考え抜いているように感じて、演技の解像度がすごく高かった。正直、聞いた瞬間、この子だ!と思っちゃいました。えっ、どうしよう!?とブースで叫んだことをすごく覚えています。
白石さん 度胸もありましたよね。
小林監督 そうなんです! ブースに立った瞬間に感じましたよね。
白石さん 優しさや繊細さを表現するために、声が高くなってしまう人はいたけど、なんていったらいいか表現が難しいのですが、藤寺さんは自然な声のトーンで、無理がなかったんです。藤寺さんのお芝居を聞いた瞬間に感じて、この子だ!と満場一致でした。
ーー挑戦になったことは?
小林監督 初監督ですし、全てが挑戦でした。原作で起こる全てを盛り込みたいと挑んだのですが、全部は入りきらないですし、調整が大変でした。朔英ちゃんはグイグイいくわけではなく、一歩下がっている子ですし、受け身になることも多いので、そこで尺を使ってしまいます。場面転換をいかにスピーディーにするかが課題でした。例えば、 教室から外のシーンに変わる時、ワイプなどを使って尺を省略して、朔英ちゃんの心情に尺をとるようにするなど工夫しました。朔英ちゃんの中で流れる時間は変えられないので、周りのスピードを調整しようとしました。
ーー本編に盛り込めなかった部分はどう消化した?
小林監督 削ってしまったところもほかに使えるところはないか?と考え、オープニングに入れたりしていました。原作を読んでいなくても、アニメを見ることで原作に興味を持ってもらって(原作に触れたら)2倍楽しいと思ってもらえる構成を心掛けました。
白石さん 朔英ちゃんが軸なので、心情をしっかり描かないといけません。一歩間違えると、朔英ちゃんは内向きな子に見えちゃうかもしれない。原作の河原先生はすごく絶妙なバランスで見せていますが、アニメでも監督がそこを上手に見せていただきました。簡単そうに見えて難しいことなのですが、原作と同じ印象で映像を見られると思います。
ーー初監督の手応えは?
小林監督 いろいろやりたいことはあったのですが、どうしても難しいところもあって、監督をやってみて感じたこともいろいろありました。ただ、スタッフの皆さんに「面白いです」「やっていて楽しいです」と言っていただけたことがうれしかったです。私なりに手応えになっています。今は放送を前にワクワクしています。
ーー最後に放送を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。
白石さん 少女マンガのアニメ化は最近増えていますが、男女、世代を問わず楽しめる作品に間違いなくなっています。シリアスがありつつも、コメディーもあって、朔英ちゃんと同世代の人は共感できますし、卒業してしまった世代の人も懐かしくなるはずです。最後まで見ていただけたら、この「太陽よりも眩しい星」というタイトルの意味が分かるので、ぜひ最後まで見ていただきたいです。
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