永久のユウグレ:編集 高橋歩インタビュー 作品に緩急をつける “表情”を見せる編集 “動き”を強調した編集

アニメ「永久のユウグレ」の一場面(c)Project FT/永久のユウグレ製作委員会・MBS
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アニメ「永久のユウグレ」の一場面(c)Project FT/永久のユウグレ製作委員会・MBS

 「true tears」「SHIROBAKO」などのアニメ制作会社「P.A.WORKS」によるオリジナルテレビアニメ「永久のユウグレ」が、MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズムTURBO」で放送されている。AIの技術が発展した未来の世界を舞台とした本格ラブストーリー。最愛の恋人・王真樹トワサと愛を誓い合った主人公・姫神アキラが長年にわたるコールドスリープから目覚め、戦争によって荒廃した街を目にする。アキラの前にトワサと酷似したアンドロイド・ユウグレが現れ、世界のどこかで生きているはずのトワサと再会できると信じて、共に旅をすることになる。編集の高橋歩さんに制作の裏側を聞いた。

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 ◇カットをどうつなぐかが編集のポイント

 --今作で担当したことは?

 編集を担当しています。アニメにおける編集の仕事は、絵コンテを元に作成されたカットごとの映像データをつないで番組の尺に合わせる工程です。この作品の場合は本編尺が20分40秒という長さでしたが、2分、時には5分以上オーバーしている話数もあり、セリフやシーンを監督と話し合ってカットしていく、といった作業が多くありました。その中でシリアスなシーンでは間を多く取り、コミカルな掛け合いはテンポ良くセリフの間を切っていく、といった編集で作品に緩急をつけキャラクターへの感情移入や物語の理解度を高めることを心がけました。

 --作品の印象は?

 P.A.WORKSさんとはたくさんの作品でご一緒させていただきました。その中でオリジナル作品も少なからずありましたが、現実の世界を舞台にしていることが多く、今回のようなファンタジックな世界を舞台にした作品は珍しいと感じました。未来の日本が舞台なので登場する地名は「ハコダテ」や「オーミヤ」といった現実の地名を元にしたものですが……。それでも未来の世界で目覚めた主人公・アキラが未来の価値観に戸惑いながらもトワサを求めて旅をする姿は、P.A.WORKS作品らしいキャラクターの感情を大事にしたものだな、と思います。

 --監督からのオーダーは?

 ありがたい話ですが、基本的にはこちらの編集を尊重してくれるスタイルでした。いくつかの重要なシーンを除き、会話やカットのテンポなどはこちらの編集のままということが多かったです。監督からのオーダーとしては、オリジナル作品ということで独自の設定も多く、「このセリフはカットせず残してください」など作品の強度を守るようなオーダーが多かったと思います。
 --作品のテンポをどのように表現しようとしましたか?

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 映像で描写されるキャラクターに寄せる編集を心掛けました。シリアスなシーンでは間をたっぷりとって“表情”を見せる編集。コミカルなシーンではキャラクターの“動き”を強調したような編集です。テンポはあくまでアニメーターや演出によるカットから生まれると思っているので、カットをどうつなぐかが編集のポイントになります。

 ◇最終話まで気の抜けない展開が

 --P.A.WORKSの映像の魅力は?

 未来の日本が舞台ですが、電子演算技術が禁止された世界で美しい自然や石造りの家、牛車や蒸気機関の乗り物など前時代的な舞台設定が印象的でした。「凪のあすから」や「天晴爛漫」などの作品で培われた美しい映像表現がふんだんに発揮されていると思います。その中で「ユウグレ」や「ヨイヤミ」のアクション表現も「CANAAN」や「クロムクロ」、「天狼 Sirius the Jaeger」で見たような魅力的なものでした。

 --最後にメッセージをお願いします。

 最近はマンガ原作のアニメ化作品が多いと感じます。もちろんそういった作品の魅力も分かりますし、自分の好きなマンガがアニメ化した時は楽しみになるでしょう。今作は完全オリジナル作品です。毎回「次回はどんな話しになるんだろう」とワクワクする気持ちはオリジナル作品ならではのものです。最終話まで気の抜けない展開が続くと思いますので、ぜひそこを楽しんでもらえたらと思います。

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