今秋、駅や街角でその顔を見た人は多いはず。警察庁「犯罪被害者等支援」広報ポスターに起用された、俳優の松永有紗さん。山田裕貴さんと共演する、日本生命のテレビCMでも存在感を放っている。来年公開の話題映画「教場 Reunion(前編)/Requiem(後編)」にも出演する注目の27歳に話を聞いた。
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松永さんが芸能活動を始めたのは、中学2年生の時。スカウトされたことがきっかけだったが、「もともと芸能活動に興味はなかったんです」と話す。「幼稚園の年中さんからずっとバトントワリング一筋の人生だったので、スカウトいただいたときに新しいことに挑戦したいと思ったことがきっかけでした」
バトントワリングの所属チームでは、全国大会で金賞に輝いた実力派。毎日学校終わりに練習し、休日も朝から晩まで12時間練習する日々だった。「練習も厳しかったので辞めていく子も多かったんですけど、私は負けず嫌いなので厳しいほど燃えるタイプ(笑)。結果が出たときの達成感も大好きで、やり切れました」
その経験は今の仕事にも生きている。「見た目やしゃべり方で“フワフワしてる”と言われがちなのですが、『体力と根性あるね』と言ってもらえることも多くて。体力と根性には自信があります。(当時の)先生には感謝でいっぱいです」と笑う。
芸能活動はアイドルとしてスタートし、モデル、俳優として活動の幅を広げた。転機は2017年の舞台「四月は君の嘘」でヒロイン役を務めたこと。「自分の実力の無さをすごく痛感しました。でもお客さんの反応を見て“もっと演じたい”と思ったんです」。生来の負けず嫌いもあり、俳優一本に舵(かじ)を切り、現在の所属事務所に移籍した。
今回、木村拓哉さん主演の人気作「教場」シリーズに初参加する。「教場」はフジテレビ系で放送されたドラマが話題となった作品で、警察学校を舞台に木村さん演じる鬼教官・風間公親と生徒たちの緊迫した対峙(たいじ)を通して成長を描く。ドラマの続編となる映画前編「教場 Reunion」が1月1日からNetflixで配信、後編「教場 Requiem」が2月20日に劇場公開される。
松永さんが演じるのは、町の安全を守る警察官を目指して警察学校に入校した井口亜衣。オーディションを勝ち抜いて、出演をつかんだ。「初めて経験する五次審査ぐらいまであるオーディションだったのですが、家族で見ていた大好きな作品だったので、とにかく受かりたい、参加したいという思いが強かった。合格の連絡を受けたときは本当にうれしかったです!」
訓練シーンのため、撮影前から準備期間があったといい「生徒全員で動きをぴたりと合わせる点検作業という訓練はすごく集中力が必要でしたし、7キロくらいある装備をつけて走る訓練もありました……本当に濃い期間でした」と振り返る。
中でも特に印象的なのは、木村さん演じる風間と対峙するシーン。「失敗できない緊張感があって……そんな時に木村さんが『練習はしなくていいよ。何とかなるから大丈夫』と声をかけてくださったんです。肩の力が抜けて、本当に救われました」
初共演の木村さんの存在感には圧倒された。「対峙していなくても、同じ空間にいるだけで緊張感があるんです。靴音から違うんです。マンガの表現にあるコツコツコツみたいな 、すごく響き渡る音。廊下から聞こえる靴音だけで“木村さんが来た!”とすぐに分かるんです」
井口は教場の前列に座るため、自然と目に入る役どころ。「まだ私も完成版を見ていないのでドキドキしていますが、どう仕上がっているのか楽しみです」と期待する。
「教場」への出演を機に、来年はさらなる飛躍を誓う。「一つ一つの作品に最大限向き合って作品に貢献しながら経験値を積み、“しっかりと立てる”女優になりたいです」。バトントワリングで培った運動神経の良さは折り紙付きで、アクション作品にも意欲的だ。「動いてる映像を見てもらうと『え!こんなに動けるの』と驚かれることが多いので、そういうギャップをもっと知っていただける1年にしたいです」と力を込めた。(MANTAN/金巻健一朗)
まつなが・ありさ 1998年8月8日生まれ。東京都出身。最近の主な出演作にドラマ「ビリオン×スクール」(2024年)、「あやしいパートナー」(2025年)、Vシネクスト「仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング」(2024年)など。ドラマ「プロパガンダゲーム」(MBS・TBS)に石川役で出演中のほか、来年放送予定のドラマにも出演。今春にはカレンダーが発売予定。オフィシャルファンクラブ「松永有紗のありのまま。」も。