ちいかわ
第347話 散切り頭(2)
5月29日(金)放送分
人気アニメ「マクロス」シリーズの「マクロス7」の4Kリマスター化企画が始動したことが話題になっている。「マクロス7」は、シリーズ第1作「超時空要塞マクロス」から約11年を経て、1994年に制作された続編。「俺の歌を聞け!」は、主人公・熱気バサラを象徴する名ゼリフだ。バサラが、歌によって戦争を終わらせようとするという熱い生き様が強烈なインパクトを残した。アニメを手掛けたアミノテツロ監督に制作当時を振り返ってもらいつつ、リマスターを担当するクープのテクニカルコーディネーターの庄司光裕さんと共に4Kリマスターについて聞いた。
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「歌」「三角関係(恋愛)」「可変戦闘機(メカ)」は「マクロス」シリーズの三大要素と呼ばれている。「マクロス7」はその一つの「歌」を全面に押し出した。バサラ率いる劇中のバンド「FIRE BOMBER」が主題歌や劇中歌を担当し、大ヒットした。アミノ監督は「当時のことは忘れてしまっているのですが」と前置きした上で「歌の力が大きかった」と振り返る。
「曲は当時としても先進ではなかった。少し上の世代は聴きなじみがあって、若い人には逆に新鮮に聴こえたのかもしれません。ノリやすかった。ビクターの佐々木(史朗)さんに頑張って、楽曲を作ってもらいました。バンドが主役だから歌があって当たり前だと思っていたけど、あれだけの楽曲があるのは、当時としては珍しかった。バサラは、あんまり物事を考えていないとも言われたけど、僕はやりやすかった。『マクロス』は歌、三角関係、メカとよく言われますが、三角関係は微妙かもしれません。バサラに振り切ったんです。『マクロス』の歌姫のイベントでもなぜか男が一人ですし、特別です。それがよかったのかな」
アミノ監督は、中学生が楽しめるアニメを目指していた。
「中二病ってあるじゃないですか。自分のことを思い出すと、中学1、2年生の頃。洋画が好きになって、それが自分に影響を与えています。どんな作品でも中学生が見て、面白くないと負けたかと意識していました。中二病は大事ですよ。いろいろな思いをして、肥やしにしてほしい」
今でもダビング作業が特に印象に残っているという。ダビングは、音素材を映像と組み合わせる作業だ。
「レコーダーはトラック数も多かったけど、テープでした。巻き戻さないといけないし、とにかく時間が掛かりました。歌も合わせないといけないですしね。音響さんがよくやってくれました。テレビシリーズの最終回のダビングは、劇場版の作業でてんてこ舞いだったから参加していないのですが、24時間くらい掛かりました」
今でこそ1クールの放送のアニメが一般的だが、当時は1年放送のアニメが多かった。1990年代、アミノ監督は毎年のように1年放送のアニメを手掛けてきた。
「『マクロス7』はヒット作ですし、いい経験になりました。面白かったですね。ある程度のわがままも言ったけど、ファンもついてくれました。30年たって、こうやって続いているすごい作品です。最近は、『マクロス7』の世代ではない若いマクロスファンに『自分もやっていた』と言うのが何か恥ずかしかったんです。4Kになりますし、『やってたんだよね!』と言えるようになります(笑)」
4Kリマスターブルーレイディスク(BD)ボックス「マクロス7Re.MASTER FIRE!! 4K ULTRA HD Blu-ray BOX」には、テレビシリーズ全49話、未放送の「オンステージ」「どっちが好きなの?」「最強女の艦隊」の3話に加え、劇場版「劇場版マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!」、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)「マクロスダイナマイト7」の全4話が収録される。
オリジナルの35ネガフィルムをスキャンして4Kリマスターする。アミノ監督によると「当時、テレビシリーズは16ミリのネガによる制作が多かった。『マクロス7』は35ミリネガだったがテレビ局には16ミリで納品していた」という。「マクロス7」は当時のビデオ(VHS)やレーザーディスク(LD)商品を見据え高画質の35ミリネガフィルムで制作していた。
庄司さんは「テレビシリーズが50話近くあって、劇場版、OVAもあるので物量がすごい。30年前のフィルムだけど状態がよかった。傷も経年劣化もなかった。だからできるんです」と話す。庄司さんは、アミノ監督の意見を聞きながら「ファイヤーバルキリーの色が印象的でした。その色がずれないようにしようとしました」とリマスターの方向性を固めた。
ファイヤーバルキリーは鮮やかな赤が印象的で、アミノ監督は「30年前だから分からないところはあるけど、僕の印象では、本来はお願いした赤に近かった。赤いバルキリーは珍しくて独自のものですし、劇中でファイヤーバルキリーは目立ってくれないと困る」という思いがあった。
庄司さんは「ファイヤーバルキリーがキーとなる色で、各話の色が同じではないといけません。見た人が違和感を持たないように合わせていきました」と作業を進めた。
「存在するけど、見えにくいところをただ見せればいいわけではなくて、演出の意図をくみ取って、見せない選択もあります。フィルムの粒子にはカラーノイズがあります。それを消して、セルに近付けていくのが最近のトレンドでもあります。フィルムの粒子に含まれるカラーノイズは色を濁らせるため、これを除去し、セル画のようなクリアな色に近づけるのが最近のトレンドとなっています。デジタル世代が見てもキレイに見えます。粒子が悪いわけでもないのですが、監督と話して、今回はない方がいいという方向性でリマスターしています。結果的に最新のアニメのようになりました。『マクロス7』は派手で熱い印象がありますし、ハマると思います」
最新技術で現代によみがえった「マクロス7」を見て、アミノ監督は「クリアになった! 今のアニメだ!」と感じたという。
「フィルムは撮影するし、現像などでも変わります。撮影素材はセルで、背景は紙に描いていました。セルの美しさがダイレクトに出ていると思います。フィルムは粒子もあって、それはそれでよさもあるけど、セルそのままでやるとこうなるのかな、と感じました」
庄司さんは「フィルムの情報量、セルの色を再現できる技術が出てきたからできたことです。透過光もきっちり見えてきます。新しい『マクロス7』を体験できると思います」と自信を見せ、アミノ監督は「新作だから! ノスタルジーで見るな! 今を見ろ! つべこべ言わず見ろ! ノスタルジーで見るんだったら、ビデオを見たらいいわけですしね。洗練された感じがしますし、新しい発見をしていただければうれしいです」と呼びかける。
4KリマスターBDボックスは、バンダイナムコフィルムワークス公式ショッピングサイト「A-on STORE」、バンダイナムコグループ公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」でリクエスト販売を実施している。6月30日まで注文を受け付けており、目標数を達成すると、2027年10月16日に発売される。仕様(封入特典)は、予約数に応じて追加される。(阿仁間満/MANTANWEB)
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