ドラゴンボールDAIMA
第10話 ウナバラ
12月16日(月)放送分
若者向けの小説「ライトノベル」でアスキー・メディアワークスのレーベル「電撃文庫」が人気だ。若者の活字離れが進む中、ライトノベルは売り上げ減に苦しむ出版市場で唯一ともいえる成長市場。その市場でトップシェアを誇る人気の秘密を追った。(毎日新聞デジタル)
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■成長市場
ライトノベルは、10~20代の若者が中心の娯楽小説で、表紙や挿絵にアニメ調のイラストが描かれ、文体も話し言葉を多用するなど、若者が読みやすいようにしたのが特徴だ。起源は70年代の「ソノラマ文庫」とされる。そして06年にアニメ化された「涼宮ハルヒの憂鬱」(角川書店)でブレークし、以後ライトノベルの人気は定着している。
12年に発行された全国出版協会・出版科学研究所の「出版指標年報」によると、書籍・雑誌の推定販売金額は、96年の約2兆6563億円をピークに2011年は15年連続減の約1兆8042億円。厳しい分析が並ぶが、ライトノベルの市場規模は文庫本(1319億円)の2割強で、アスキー・メディアワークスはシェアの約3分の1を占める。現在人気の作品は「ソードアート・オンライン」で、1~11巻の累計発行部数は620万部を誇る。「出版指標年報」の分析では「まだまだ伸びしろのある成長市場」と期待をかけられている。
電撃文庫の特徴は、ほとんどの作家が、同社主催の新人賞「電撃大賞」からデビューしていることだ。新人重視は「新たな才能を見つけ出す」という編集部の方針で、他社が既存の人気作家を起用する中で、新人のヒット作家を生み出している。それに比例して、新人賞の応募者は増えており、今年は小説部門だけで6000人以上と他レーベルの数倍以上の応募がある。
■編集者に裁量権
もう一つの特徴は、編集者に大きな裁量権が与えられることだ。作品の編集会議が存在せず、すべてを任される代わりに、責任を一手に負う。「図書館戦争」や「狼と香辛料」などを担当したカリスマ編集者でもある編集長の徳田直巳さんは「私が『つまらない』と思ったものが売れることはありますから、上からダメと言うことはありません」と話す。
編集者の目利きの確かさの最たるものが、新人賞で最終選考に残らなかった人でも、担当の目にとまればデビューできることで、そこからヒット作家を生み出していることだ。「とある魔術の禁書目録」の鎌池和馬さんや、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の伏見つかささんらも、新人賞には落選したが、編集者に声をかけられ、その後見事に“売れっ子”となった。
■完成度より個性
副編集長の三木一馬さんは「新人の作家は、完成度より個性を見ています。良さは、作品全てに出ることもあれば、ワンシーンに出ることもある」と話す。電撃文庫の編集部は09年12月、大人向けにした新レーベル「メディアワークス文庫」を設立した。ライトノベルを“卒業”した層を狙って、売り先のチャンネルを増やすためで、表紙の絵からアニメ色を消したり、社会人を主人公にした“大人のライトノベル”を展開。すると今年、「ビブリア古書堂の事件手帖」が1~3巻で300万部を達成してミリオンセラーとなった。
担当編集は1人で最大20人の作家を担当し、より多くの担当を手掛けることで、ヒット作を次々と生み出している。ヒット作の証しとなるテレビアニメ化は、ここ5年で電撃文庫の原作は21作品にのぼる。
若者向けとして、一般小説とは区別されてきたライトノベル。直木賞の桜庭一樹さんや本屋大賞の冲方丁(うぶかたとう)さんら一般小説でも大ヒットを生む作家が続々と登場している。どんな作家が登場するか、今後も楽しみだ。
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