ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、月刊マンガ誌「ゲッサン」(小学館)で連載、高校野球を題材にした不朽の名作マンガ「タッチ」の世界から26年後を舞台に「明青学園」に通う2人の兄弟の活躍を描くあだち充さんの野球マンガ「MIX(ミックス)」です。
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明青学園中等部で野球部に所属する中学2年生の立花投馬と立花走一郎。そして2人の妹の立花春美が同校に入学する。野球部で投馬は三塁手、走一郎は捕手を務めており、3年生にはエースの二階堂がいる。そこへエースを目指す新入生・夏野一番が入部する。
26年前、東武伊勢崎線の五反野駅前で僕はぼうぜんと立ちすくんでいた。書店で購入した週刊少年サンデー。待ちきれずに駅前で読んでしまった「タッチ」最終回。12歳だった僕の人生で初めての大きな喪失(そうしつ)感は今も忘れられない。あの喪失感は何だったのか。今は明確にわかる。僕は、あだち充が紡いだ「明青学園が存在する世界」が永久に続いてほしいと思っていたのだ。その後の人生で、あだちワールドを愛する人たちと話をする時、皆同じ喪失感を味わっていることに気づいた。僕たちはあの時「母校」の廃校が決まった悲しみを味わっていたのだ。最終回を読んだ後も長い間、僕は「明青学園は今もどこかにあるのではないか? だって学校は代が入れ替わってもそこにあるはずなんだから」という気持ちを捨てられずにいた。青春時代を過ぎ、社会に出て、現実と格闘する中でも、あだち充が紡ぐ世界のことを忘れることはなかった。
今、僕はあだち充の担当編集者だ。あだち充の仕事場を出て深夜3時半のタクシーの中で、その事実にぼうぜんとすることが今もよくある。12歳の五反野駅前から26年。自分の運命にぼうぜんとするのだ。
そして僕は全あだちファンの代表でもある。今、僕たちの「夢」は再び動き出した。僕たちの青春の舞台「明青学園が存在する世界」の物語が始まったからだ。新連載予告発表以来、編集部に寄せられる熱狂的な大反響。コミックス第1巻は発売わずか5日で累計50万部を突破した。勢いは増すばかりだ。僕にとってそのすべてのファンは「お客様」ではない。同じ夢を見られる「同志」だ。僕たちの「夢の時間」はまだ始まったばかり。10代のファンもいるだろう。50代のファンもいるだろう。あらゆる世代に存在する「明青学園」を自分の第二の母校だと感じる人たち。その全員と僕は夢を見たい。
「上杉達也以来の明青学園の甲子園出場」という夢を。
そして、あだち充が紡ぐ世界は全ての人に思い出させてくれる。
人生が一番輝く時代のことを。
夏休みといえば、必ず再放送されていた大人気アニメであり大人気コミックスの「タッチ」。 その作者であるあだち充先生が、タッチのキャラクターたちが通っていた明青学園を舞台に、新たなるベースボールストーリーをいよいよプレーボールさせた。訳あり兄弟に妹の3人組、そして可愛い愛犬パンチと、何となくタッチを彷彿(ほうふつ)とさせる設定も憎い演出です。「今後タッチのキャラクターはかかわってくるのか?」「ニュージェネレーションの主人公たちは甲子園に行けるのか?」などなど、興味はつきません。タッチを知っている方も初めてあだち充作品に触れる方も、どちらでも楽しめるつくりになっていますので手に取ってみては。ああ、MIXを読んでいたら久々にタッチも読みたくなってきました!
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