28カ国を巡る世界一周の旅をした経験を持つシンガー・ソングライターのナオト・インティライミさんの最新の旅の記録ともいえる音楽ドキュメンタリー映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー」が全国で公開中だ。17日にはニューシングル「恋する季節」がリリースされた。さらに、5月15日にはニューアルバム「Nice catch the moment!」の発売も予定されている。自称“旅人系シンガー・ソングライター”で、「旅をしているからこそ生まれる音楽がある」と語るナオトさんに、「旅と音楽」の関係や魅力について聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)
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−−公開中の映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー」で、アフリカのエチオピアや南米コロンビア、カリブ海の国トリニダード・トバゴの3エリアを訪れていますが、この3カ所を選んだ理由は?
ナオトさん:まずエチオピアは、普段とまったく違う生活文化に触れたくて選びました。コロンビアは、8年半前に世界一周の旅で出会ったアンドレス・セペーダ(現地の人気アーティスト)とその周りのミュージシャンにもう1回会いたいっていうのが目的で。カリブは、自分の音楽がけっこうカリブ海の音楽に影響を受けているので、その音楽を体験したかったというのがありました。
−−ご自身にとって初めてのエチオピアとカリブのトリニダード・トバゴの印象はいかがでしたか。
ナオトさん:アディスアベバ(エチオピアの首都)で、2畳くらいのところに8人ぐらいで住んでたりというのは衝撃でしたね。あと、カリブは突き抜けた開放感があって性に合いました。やっぱり、カーニバルでトリニダードが一番熱くはじける時期に行ったのがよかったですね。実はカリブでは、トリニダードの前にドミニカ共和国にも行ったんです。僕が大好きなメレンゲというジャンルの音楽の発祥の国で、そこでストリートミュージシャンの演奏を見て、その後に教えてもらいながらメレンゲを一緒に演奏したときはすごく楽しかったですね。でも映画では全カットされてましたけど(笑い)。
−−コロンビアでは、8年半前にアンドレス・セペーダさんと初共演した野外会場でイベントが行われ、再び一緒にステージに立とうと試みるも、時間の関係でかなわなかったという出来事もあったようですが……。
ナオトさん:単純に悔しかったですけど、やり切ってダメだった悔しさなんですよね。サッカーとか自分のスポーツの経験でもそうですけど、本当にベストを尽くした結果なのか、もっとできたんじゃないかっていうことが後悔につながると思うんです。そういう意味では、やることはすべてやったし、準備をしたし、「機会が与えられなかったが意味はある」と感じられるくらいのすがすがしい悔しさというか。やっぱり準備をしておくことが一番大事なんだということを体感できました。
−−ところで、映画の冒頭では飛行機に乗り込むシーンもありますが、実は飛行機が苦手なんですよね。
ナオトさん:昔から大嫌いです(笑い)。こんな鉄のかたまりが飛ぶはずない、絶対に落ちるだろうって毎回思ってますから。離陸のときは「頼むぞ」っていう感じで何かにつかまってたり。それで着陸のときは、心の中で思いっきり大きな歓声と拍手を送っています。「機長サンキュー」って(笑い)。
−−旅人系シンガー・ソングライターらしからぬエピソードですね(笑い)。新曲「恋する季節」についてもおうかがいしたいのですが、キリン「氷結」のCMソングとして書き下ろしたということで、どんなイメージで楽曲を制作されたんですか。
ナオトさん:春って、何かが起こりそうな予感で街中がざわついてたり、期待感に満ちあふれた季節で、環境が変わったりする中で自分の夢をもう1回見直してみたり、あるいは“君”という存在に出会って、胸の奥で起こり始めた感情がだんだん高まっていったり……。その感情が衝動としてはじけていく様子を描写したかったんです。なので、メロディーもストーリー性のあるものになっていったし、いろんな景色が見えるような曲になってます。
−−さらにニューアルバム「Nice catch the moment!」のリリースも決定していますが、今回の旅の経験が少なからず反映された内容になりそうですね。
ナオトさん:そうですね。日本の生活の中ではにぶりがちだけど、その瞬間でしか味わえないことや、その瞬間に動かないと起こり得なかったことがたくさんあることを旅の中ですごく感じたんです。やっぱり旅に出るとこんなに刺激的なんだっていうことを再認識したし、そういう経験がアルバムにも影響していると思います。
<プロフィル>
1979年、三重県生まれ、千葉県育ち。「インティライミ」は南米インカの言葉で、「インティ」=“太陽”、「ライミ」=“お祭り”を意味する。03年から515日間かけて28カ国世界一周の旅を行った。10年にシングル「カーニバる?」でデビュー。初めてハマッたポップカルチャーは、小2のときに好きになったという光GENJI。「『ガラスの十代』は好きでしたね。一緒に踊ってたし、ローラースケートも履いてました。光GENJIは曲がいいですよね。実は(CHAGE and ASKAの)ASKA(飛鳥涼)さんが曲を作っていたり。J-POPを好きになる最初のスタートが光GENJIでした」と語った。
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