話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、「ライアーゲーム」などで知られる甲斐谷忍さんの「ウイナーズサークルへようこそ」です。集英社「ジャンプ改編集部」の眞田尚子さんに作品の魅力を聞きました。

あなたにオススメ

“あの頃”のジャンプ：実写ドラマ化も話題「ウイングマン」　1983年を振り返る

　−−この作品の魅力は？

　マンガ家になる夢をあきらめた山川七雄君が占師のお告げで競馬場に行くことから物語がスタートします。もちろん競馬愛にあふれる甲斐谷先生考案の馬券必勝法もたくさん出てくるのも見どころですが、普通の……いえ、ちょっとさえないナナオくんが、競馬を通して仲間を作って、だんだん人間的に成長していく姿を見守っていただきたいです。ダビスタならぬナナスタです。

　−−作品が生まれたきっかけは？

　ジャンプ改創刊時の目玉連載のひとつとして、超多忙の甲斐谷先生に初代担当（現・編集長）がぐいぐいとお願いして実現したと聞いております。当初、持って行った企画は外食産業だったようですが、甲斐谷先生から「競馬はどうですか？」というご提案をいただいて「ウイナーズサークルへようこそ」が発進した……らしいです。

　−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。

　まず、私が競馬について何も知らないこと。ネームを読むたびに「ハンデ戦ってなんですか？」とか「どうして競馬は前が有利なんですか？」とか「G1ってすごいんですか？」とか、いちいち甲斐谷先生に聞きまくり、進行を遅らせる……という……。さらには、私がマンガを編集担当するのはこの「ウイナーズサークルへようこそ」が初めてで……。「……級数指定って何ですか？」という普通のマンガ編集なら知ってて当たり前のことも知らないという……。普通なら怒られて当たり前なのに、本当に甲斐谷先生が優しくて立派で良かったです。すごく丁寧に説明してくださって、「じゃあ、わかりやすいようにセリフ変えますね」とか……。いつも面白い新展開や濃厚なキャラが登場するたびにうれしいなあ……と思います。読者目線ですね、これは。

　−−今後の展開は？

　馬神トーナメントという日本を代表する馬券師の戦いにウイナーズサークルのメンバーが全力でぶつかります。前大会の優勝者・出鳥澄夫もシードで準決勝から参戦。ますます激化する戦いになること間違いなし！！　個人戦でなく、メンバー全員の力でどこまで戦えるかが見どころです。ちなみに出鳥澄夫さんは、騎手のデットーリさん＆スミヨンさんから先生が命名されています。

　−−読者へ一言お願いします。

　人生をどうしたら逆転できるか……。馬券でお金を稼ぐだけの逆転ではなく、人とのつながりや、努力は必ず報われることや、馬が与えてくれる感動でものの見方が変わること……そんなすごく熱くてピュアな思いがつまった作品です。もちろんドラマ化、アニメ化、お待ちしておりますー！！

　集英社　ジャンプ改編集部　眞田尚子