ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
世界でも評価される日本のテレビアニメだが、今や作品数は飽和状態で、一度でも“負け組”になると巻き返せない状況になっている。そんな中、テレビアニメの放送終了後にブレークし、“敗者復活”を遂げた作品がある。「キルミーベイベー」だ。ブルーレイ・ディスク(BD)1巻は初週販売686枚(オリコン調べ)で、「売れないアニメ」のらく印をいったん押されたが、1年半後に出した新作アニメDVD付きベストアルバムCDは初週7000枚(同)突破、今月4日に発売したアニメのブルーレイボックスは初週4000枚(同)と放送終了から時間がたってから人気を呼んでいる。なぜ巻き返せたのか探った。(毎日新聞デジタル)
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「キルミーベイベー」は、月刊マンガ誌「まんがタイムきららキャラット」(芳文社)で連載中のカヅホさんの4コママンガだ。学校に通う可愛い“殺し屋”の少女・ソーニャと、おバカな発言と行動を連発する少女・やすなの2人を中心に展開する。
特にオープニング曲は、既存のアニメでは見られない、速いテンポのエキセントリックな曲にするなどして話題となり、999円のシングルは1万枚とヒットしたが、肝心のアニメBD1巻(12年4月発売)の初週販売数は686枚に終わった。
オープニング曲シングルのヒットがあっただけに、本編アニメが売れなかったことが、ネットファンのもの笑いのタネになった。関係者は失速について「最初は試行錯誤が続くのですが、後半になると制作陣も慣れてきて、がぜん面白くなるのですが……」と明かす。
アニメの放送終了で通常、プロモーション活動は終わるが、キルミーベイベーの公式ツイッターは放送終了後も活動を続けた。ささやかなあいさつ、意味深なつぶやきにファンは「何かあるのでは?」と反応。また、アニメをすべて見て作品の面白さを理解しているファンは、作品のアピールを続けた。さらに、BDの画像をアップしたファンのツイッターに、公式ツイッターからも個人にお礼のリプライ(返事)もした。関係者は「ファンはものすごく前向きだったので、本当に大切にしたかった。他のアニメでは、放送終了後にここまではしないけれど、この作品はなぜか応援したくなっちゃうんです」と話す。
すると12年3月のアニメの放送終了後に7000台だったフォロワー数が、じわじわ増え続け、9カ月後の13年1月には1万を突破した。制作側はそれを記念して「686」種類のツイッター用アイコンをプレゼントしたところ、ネットで話題になった。
そして3月にニコニコ動画で“再放送”をすると累計視聴数は41万とアニメ配信としてはトップクラスの数値を記録し、フォロワーは一気に1万5000を突破した。それを受けて新作アニメ30分1話相当を収録したDVDを同梱したベストアルバムCD「キルミーベイベー・スーパー」(3939円)を出すと、販売数は初週7000枚、累計1万枚超えを記録。さらにブルーレイ・ディスク・ボックスを今月4日に発売したところ、1万6800円の高額商品にもかかわらず初週だけで約4000セットが売れた。今はフォロワー数も2万人を超えている。
なぜ放送後にブレークしたのか。ポニーキャニオンの中村伸一プロデューサーは、キルミーベイベーについて「周りにおもねらず、我々が面白いと思えるものを作った、チャレンジした作品です」と胸をはりつつも、放送後のブレークについて「ファンに恵まれたの一言。彼らが育ててくれた作品です」と感謝している。気になる2期アニメの予定については「個人的には、次を意識したいと思います」と明かし、含みを持たせた。
関係者の話を総合すると、本編アニメの面白さが、ファンの手によって徐々に“拡散”。「686種類のアイコン」に代表される自虐ネタもファンの琴線に触れ、新規層の興味を集めたところにネットでの“再放送”が発表され、結果としてアニメの面白さが見直された。「キルミーベイベー」のヒットは、複数の要素が絶妙にかみ合って生まれた成功例といえそうだ。
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