シンガー・ソングライターで俳優の中川晃教さんが、27日から上演される音楽劇「ピトレスク」に出演する。今作の舞台は1942年、第二次世界大戦中のドイツ占領下のパリ。ドイツ軍によって閉鎖されてしまったキャバレーでかつて働いていた人たちが、7分間のレジスタンスを起こすというストーリーで、シャンソン歌手のクミコさん、ソプラノ歌手の岡本知高さんといった多彩なキャストが注目を集めている。物語では元キャバレーの文芸部員を演じ、劇中の楽曲も2曲担当した中川さんに、芝居や音楽の取り組み方などについて話を聞いた。
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−−まず、今回の「ピトレスク」の内容について簡単に教えてもらえますか?
「ピトレスク」は“まるで絵画のような”っていうフランス語の意味を持つ言葉を一つのキーワードに、もともとキャバレーで働いていた人がレジスタンスを起こそうっていうので7分間のショーを作るという。それは、傷つける側にも傷つけられる側にも平等にある日常の幸せを思い出してほしい、というメッセージを込めた7分間で、最終的に物語がそこに収束していくという音楽劇ですね。
−−そんな中で、中川さんの役柄は?
ジャン・ルイという役柄を演じるんですけども、この作品のメンバーの中ではリーダー的な存在。僕自身とは真逆で、大人で聡明でリーダーとしての責任があるっていうところでは新鮮なので、挑戦できる役なのかなと思います。実際、僕はもうボケボケでユルユルな感じで、どちらかというと甘えたいタイプ。人から甘えられる役を演じなくちゃいけないので頑張りたいです(笑い)。
−−中川さんはもともとシンガー・ソングライターとしてデビューし、現在は俳優業と音楽活動を両立していらっしゃいますが、今作では劇中歌を2曲作曲しているそうですね。
物語の冒頭と、この物語が最後に収束していく7分間のレジスタンスのところの曲で、わりと重要なポイントとしてストーリーの中に組み込まれている音楽を担当しています。もともと僕は音楽をやってここまできているので、曲を書く側として携われるのは幸せですね。僕は子供のころに親にミュージカルを見に連れていってもらって、ミュージカルってすごいなと思っていたし、音楽をやっていく過程の中で、いつかはミュージカルを作って、できれば出演もしたいと思っていたんです。なので、今考えると、僕のアーティストとしてのアイデンティティの中に、ミュージカルっていうものはあるんだなって。
−−今作で初舞台となるシャンソン歌手のクミコさんの印象はいかがですか?
クミコさんはマルゴーというユダヤ人の役で、そのマルゴーを演じるクミコさんの歌を聴いたとき、クミコさん自身が生きているし、それがマルゴーのように見えるし、感動と同時に、今さらながら歌うことってエンターテインメントというところでは演じることに直結していくんだなって。音楽の力ってすごいなって思わせてくれました。
−−ソプラノ歌手の岡本知高さんについてはどうですか?
岡本さんは、僕は“ともちん”って呼んでるんですけど(笑い)、ピョートルという役でパン屋さんなんですよね。食べるのが大好きで、やっぱりそういう雰囲気があの大きな体からにじみ出ているんですけど、その役になるのではなくて、その役を自分自身に引き寄せているっていうのが感じられて……。音楽が流れると、その音に表情がスッと乗るんです。やっぱりそれが音楽をやっている人の武器だと思うんですよね。
−−中川さんはキャスト兼作曲家としてかなりハードな日々だと思うのですが、そんな中でのリフレッシュ法は?
最近は(車の)運転。免許をとって3年目なんですけど、運転していると自分の世界に入れるというか……。自分でどこにでも行けるし、目的の場所に時間までに行くために、あの道を行って何分前に出て……というのを自分で決められるわけですよね。それがリフレッシュするっていう感覚なのかなって。
−−では最後に、来たる「ピトレスク」についてメッセージをお願いします!
クミコさんを筆頭に、普通はキャスティングされない唯一無二の存在が集結していて、だからこそ生まれる世界観も、「ピトレスク」の一つの魅力。“今まで見たことがないけれど見たい”っていうものが見られる、そんな作品になっていると思うので、ぜひたくさんの方々に見に来ていただきたいです!
<プロフィル>
1982年11月5日生まれ、仙台市出身。2001年にシングル「I WILL GET YOUR KISS」でCDデビュー。翌年にはミュージカル「モーツァルト!」で俳優としての初舞台を踏む。5月10日にはコンサート2014「I Sing~with Strings~」を東京オペラシティ コンサートホール(東京都渋谷区)で開催予定(開場午後5時半、開演午後6時、全席指定、S席8000円、A席6000円)。「ピトレスク」は3月27日~4月3日に日比谷シアタークリエ(東京都千代田区)で上演。
(インタビュー・文・撮影:水白京)