逆向き列車:Pが語る番組誕生秘話 誰もが抱く“非日常の願望”

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 「会社を休んで、逆方向の電車に乗って、どこかに行けたら……」。満員電車に乗りながら、誰もが一度は考えたことがあるであろう“ささやかな夢”をかなえてくれる番組がある。テレビ東京のバラエティー番組「逆向き列車」は、今年2月に初放送され、その後は不定期に放送されており、「テレ東っぽいムチャな企画」「本当にガチなの?」といった意見が飛び交うなど、注目を集めている。今年最後となる26日の放送を前に、番組誕生の経緯やロケの裏側について、星俊一プロデューサーに聞いた。

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 「逆向き列車」は、通勤前の人に、リポーターが「1日休みをとって、空いている逆向きの列車に乗りませんか?」と誘い、そこから始まる非日常体験に密着する番組。旅行中の経費はすべて番組が負担し、企画に賛同し番組に出演した人の所属する企業のPRを番組中で放送する特典も用意する。リポーターとして、ミスターちんさん、お笑いコンビ「TIM」のレッド吉田さん、「TKO」の木本武宏さんらが出演している。

 ◇ロケは“ガチ”

 学生時代に満員電車に乗って通学した経験を持つ星プロデューサーは、「いつも満員電車に乗らないといけないけど、逆向きのホームはガラガラで、あれに乗って行けたらいいよね、そういう企画ってあるのかな、ってスタッフ同士で話していて。スタッフ全員が共感したんです。そこで、とりあえず番組としてやってみようとなった」と誰もが抱く“願望”から企画がスタートしたと明かす。

 ロケは、基本的に電鉄から許可が下りた駅で行い、1人のリポーターが始発の午前6時~10時くらいまでひたすら「逆向きの列車に乗りませんか?」と声をかけていく“素人に頼った”スタイルで行う。しかし、いきなり「会社を休んで、番組に参加しませんか」と言われても、なかなかハードルが高いこともあり、最高で100人くらい声をかけ続けることもあるという。

 星プロデューサーによると、企画に同意してくれる人の共通点はなく、すべては“タイミング”だといい、「その方のノリの良さや、状況による」と話す。休み明けの月曜や、休み前の金曜のロケでは成功率は低いが、週の真ん中の水曜や木曜日に行うロケは成功率が高い。ただし、サラリーマンが忙しい月末も失敗に終わることが多いのだとか。月によってもちがうといい、「7月とか11月はいっぱいつかまって、みなさんにお付き合いいただいた。でも、(年度末の)3月ロケではゼロ。すごい差がある」と明かす。

 ◇“断られる理由”にサラリーマンのリアル

 番組ではこれまで、企画に同意してくれる人と出会えない回も放送。最初は、賛同者が現れるかどうか「かなり不安だった」と話した星プロデューサーだが、「誰もつかまらないとそれがリアルで、断られているというのがリアル。つかまっても、つかまらなくても、それが今の日本のサラリーマンのリアルで、そのほうが面白い」と変化があったと話す。番組MCを務めるタレントのSHELLYさんも、「こんな番組ありえないから、逆に斬新」と話しているという。

 番組の見方のポイントについて、「逆向き列車に乗る人から見える人間ドラマ」と「断った人の理由」の二つを挙げた星プロデューサー。「今日は社長以下全員が集まる大会の日だから」「銀座で働く料理人で、一人で料理を作っているので休めない」といったなぜ行けないのかという理由の中に、いろいろな職業や立場の人がいたり、仕事を休める人、休めない人がいたり、さまざまな日本のリアルが凝縮しており、その発見も面白いと分析する。

 「ロケ先ではほぼ全員が番組を知っていた」など、番組の認知度の高さを感じているという星プロデューサーは、「レギュラー化したいです」と意欲的。最後に、「今の日本のがんばって働く人の姿が見られる番組。年末の忙しい時期の夜なので、お忙しい方も他の人もこんなに大変だよって共感できると思うので、ぜひ見て癒やされてください」とアピール。番組は、26日午後11時12分~深夜0時52分放送。今回の放送では、「酔った勢いで……告白してみませんか?」と忘年会に参加している人に提案し、電話か呼び出しで告白してもらう新企画「酔った勢いで愛の告白」もお目見えする。

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