堀井新太:「マッサン」で一馬役を好演 朝ドラ出演は「確実にターニングポイントになった」

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 NHK連続テレビ小説「マッサン」の北海道編でマッサンとエリーの北海道の父ともいえる存在で元ニシン漁親方の森野熊虎(風間杜夫さん)の長男、一馬役を好演している俳優の堀井新太(ほりい・あらた)さん(22)。2010年にオーディションで3万人からグランプリに選ばれ、現在は「D‐BOYS」にも所属する堀井さんに、「マッサン」の第22週「親思う心にまさる親心」の一馬の出征日が描かれる7日放送回までの演技について、また撮影エピソードや今後の俳優活動について聞いた。

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 ◇父役・風間杜夫から「お前は来年消える」

 堀井さんは「マッサン」の出演が決まった時、「ただただびっくりして。うれしさよりびっくりのほうがすごくて。そのあと北海道の歴史とかニシン漁の歴史とかリンゴのこととかを下調べしているときにああ『マッサン』に出るんだなという実感とうれしさが湧いてきました」と明かす。そして「次の日にお母さんとおばあちゃんに電話で連絡して。びっくりしてましたけど、喜んでいました」と家族も喜んでくれたという。

 「マッサン」の現場では、「長年やってきた人たちの現場の居ずまい、お芝居の仕方とか勉強になりました」と実感を込めて語る。中でも親子を演じた森野熊虎役の風間杜夫さんとは、撮影後に酒を飲みに行って一気に打ち解けたという。「クリスマスの日に風間さんと(小池)栄子さんとか玉山(鉄二)さん、八嶋(智人)さんと初めて飲みに行って。風間さんは人見知りらしくて、普段はあまり話さないそうなんですけど、その日を境に話し掛けてくださって、『(堀井さんの役名の)一馬、俺はなんかお前のことが好きだ。お前、一生役者やっていけよ。この作品以外にもお前のこと見てやるからな』と言われたときは風間さんがおやじでよかった、そう言ってこれからも見てくれるというのがうれしかった」と現場で可愛がられたことを喜ぶ。

 そんな風間さんから堀井さんは「お前は来年消える」と衝撃的な宣告をされた。だがこれは愛情の裏返しで「俺がこう言ったあと、たいていのやつは来年ブレークするんだよ」と逆に太鼓判を押されたという。「息子だから可愛いんだこいつは」と風間さんから可愛がられ、「芝居に真摯(しんし)に向き合ってよかった。そういう姿勢でなかったらそう言われなかったんじゃないかな」と喜ぶ。

 ◇出征のシーンは「感極まった」

 放送中の第22週(2~7日)は堀井さんが演じる一馬が主役となり、召集令状が届き出征する日までが描かれる。撮影中は「ずっとひたすら考えてましたね。一馬って本当は戦争のことをどう思っているんだろうとか。撮影が進んでいくと頭じゃなくて心で動くようになって、すんなり(運命を)受け止めて一馬として生きようと、ずっと無心でその場で起こることをやりました」と役を全身で演じ切った。そして「出征する前日のシーンなどで、僕がいないシーンでも一人でスタジオのすみっこで涙ぐんだり、皆さんが出征を祝って『オールド・ラング・ザイン(蛍の光)』を歌ってくれるシーンで、カメラが回っていないのに、歌の練習を聴いていてバーッと泣いたりしました。感極まりましたね」と役に入り込んだ。

 出征のシーンは堀井さんの撮影も最終盤だった。「現場も終わりに近づいているし、一馬の気持ちとリンクしているんですよ。堀井新太としては、厳しくも優しい先輩たちと終わるのが嫌だ、一馬としても自分の家族とマッサンの家族と離れなくちゃいけない。その気持ちが似ていてそれぞれの思いが複雑だった」と撮影中は眠れず、ご飯がのどを通らない日々が続いた。出征直前に父が一馬の頭をバリカンで刈るシーンが一番の見せ場となる。「そこは森野家の家族3人の集大成が見えるシーンじゃないですかね」と実感を込めて語る。

 ◇玉山をアニキと慕って…

 「マッサン」といえばエリー役のシャーロット・ケイト・フォックスさんの好演が評判になっている。堀井さんも「今までシャーロットさんみたいな演者さんとやったことはなかった。間が独特ですし、日本語のせりふに詰まることがあっても、それも全部うそじゃない。シャーロットさんとお芝居すると包み込んでくれるんです。その世界に入りこめる。そんな感覚に陥る人はいままでいなかったんですね。お芝居なんですけど本心であり続ける、全部が本物なんです。そこにエリーさんがいるなという感覚に陥りました」と絶賛する。

 一方の主人公マッサン役の玉山さんについては「映画『手紙』でファンになって、一緒に演じることができて光栄だなとすごく感じていました。玉山さんとのシーンは一つ一つ引っ張ってくれて、一馬としてもそこについていけば大丈夫だなと思えました。僕は玉山さんのことをアニキって思ってました」と慕っていた。

 玉山さんからは「お芝居のことで、2人で飲みに行ったときも『もっと攻めろよ、攻めた方がいい。1回、失敗してもいいから自分の思う通りに思い切りチャレンジした方がいい』とアドバイスをくださって。現場では一番忙しいと思うんですけど、後輩を誘ってくれる。その中でここまで言ってくれるのはすごくありがたいなと思いました」と言い、「僕はまだ主演したのは一度ですけど、(主演として)作品の引っ張り方、スタッフさんや演者の人にもすごくまめで、面倒見よくて、優しくて、そういう役者に自分もなっていきたいなと思いました」と玉山さんの姿を理想像として掲げる。

 ◇役者人生の武器を身に着けた

 堀井さんは「たぶんこの作品は自分にとって分岐点、ターニングポイントになったなと思う瞬間があった。役者人生でこれから武器になるものを『マッサン』で身に着けたと思うので、これからの現場で生かせると思います」と大きな手応えを感じている。

 そして「役者としてもそうなんですけど、人としての器、昔より大きくなれたかなというのがあります。(小池)栄子さんとか八嶋さんとかにも終わったときに『一馬変わったよね』と言ってもらえた。栄子さんには『ピュアだよね』と言われました。その心を忘れず真っすぐにやれてよかった」と実感を込める。

 出征のシーンのために丸刈りにして今は徐々に髪を伸ばしている最中だ。先日、別の仕事で北海道に行った際、「おじいちゃん、おばあちゃんに気づいてもらって『あれ一馬くんじゃない。握手してください』と言われて、その反響の大きさにびっくりしました」と知名度も上がってきた。しばらくは“マッサン俳優”“朝ドラ俳優”と言われるし、髪形が変わったら一馬だと分かってもらえなくなるのでは……と少しいじわるな質問をすると、「いや、めっちゃうれしいです。箔(はく)じゃないですか。他の番組に出演したときも『マッサン』に出演中と紹介されて、すごくうれしくて。熊虎さんのところの丸刈り一馬とか。覚えてもらえればそれだけでいいんですよ。髪形も急に伸びるのは無理なのでとりあえず少しずつ伸ばしていきます」と人懐っこい笑顔で語った。

 今後については「青春群像劇をやってみたい。ドラマの『オレンジデイズ』のような若い子が日常生活で夢に向かって進んでいく今が旬な役をやりたいです。変わった役じゃなくて等身大の役をやりたい」と目を輝かせた。

 <プロフィル>

 堀井新太(ほりい・あらた) 1992年6月26日、東京都出身。2010年、ワタナベエンターテインメント主催の「スペシャルユニットオーディション」で3万人の中からグランプリに選ばれ、同社のユニット「D‐BOYS」と「D☆DATE」に加入。同年12月、D☆DATEのメンバーとしてシングル「あと1cmのミライ」でデビュー。11年4月、テレビドラマ「シマシマ」で俳優デビュー。12年、「ハイスクールドライブ~目が覚めたら高校生だった~」で連続ドラマ初主演を務める。13年には連続ドラマ「小暮写眞館」(NHK・BSプレミアム)、14年には連続ドラマ「GTO」(関西テレビ・フジテレビ系)に出演。高校生時代は東京都大会で準優勝した強豪の軟式野球部に所属。現在、フジテレビ関東ローカル「イタズラなKiss2~Love in TOKYO~」に鴨狩啓太役で出演。また、出演した映画「ズタボロ」が5月9日に公開を控える。

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