うしおととら:アニメ監督が明かす裏側 「ストレートな作品を剛速球で」

「うしおととら」の一場面(C)藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会
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「うしおととら」の一場面(C)藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会

 1990年代に人気を集めた藤田和日郎(かずひろ)さんのマンガをアニメ化した「うしおととら」の放送が7月にスタートする。同作は90年代にOVA(オリジナルビデオアニメ)がリリースされているが、テレビアニメになるのは初めてということもあり、放送前から話題になっている。監督を務めるのは「はじめの一歩」などを手がけてきた西村聡さんだ。「ストレートな作品。変化球を投げる必要はないと思うので、剛速球を投げたい」と語る西村監督に話を聞いた。

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 ◇原作の絵の力をできるだけ再現したい

 「うしおととら」は90~96年に「週刊少年サンデー」(小学館)で連載された怪奇アクションで、コミックスの累計発行部数は約3000万部を誇っている。伝説の“獣の槍”を操る少年・潮(うしお)と、500年ぶりに封印を解かれて復活した妖怪・とらが、力を合わせて妖怪退治をする姿が描かれた。アニメは7月3日からTOKYO MXほかで順次放送される。3クールにわたって全39話が放送され、7~12月に26話、2016年4~6月に残り13話が放送される。大妖怪・白面の者(はくめんのもの)との最終決戦までがアニメ化される。

 西村監督は、「うしおととら」のアニメ化の話が来た時、「でかい話がきたな……と感じた」と振り返り、「『はじめの一歩』をやった時にも近いのですが、いつでもつぶれそうです」とプレッシャーを感じているという。アニメ化にあたり、「原作を変えることは考えていない。ファンの数も多く、それぞれの中に『うしおととら』のイメージがある。そのイメージの最大公約数を目指したつもり」と話す。

 原作を大きく“変えない”と決めたのは「ストレートな成長もので、時代背景によって何かが変わるものではない。ストレートな作品だから、変化球を投げる必要はないと思う。剛速球を投げたい」と原作には時代を超えた“強度”があると感じたからだ。さらに「藤田先生の一発で人を黙らせるような絵の力をできるだけ再現するということに力を入れている」と語る。

 一方で「間口の広い作品なので、原作ファン以外にも、いろいろな方に楽しんでいただきたい。携帯電話が出てきたり、テレビが薄くなるなど、現代風にアレンジしているところもある」と話すように、2015年に放送されても、古く見えないような工夫もしているという。

 ◇原作者との共同作業でエピソード抜粋も

 原作者の藤田さんはシリーズ構成として参加しており、約6年にわたって連載された原作を3クール、全39話のアニメにまとめるために、エピソードを抜粋したという。また、西村監督は藤田さんとの共同作業について「(ヒロインの中村)麻子のプロポーションやとらの髪の描き方なども指導していただいています」と明かす。

 「作るために熱量が必要な作品。描いていると疲れますね。マンガをアニメ化するのは一筋縄ではいかないもの」と苦労を明かす西村監督。連載終了から約20年の時を経て、アニメとして復活する「うしおととら」の展開が注目される。

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