「ウォレスとグルミット」シリーズでおなじみの英国の「アードマン・アニメーションズ」が製作したクレイアニメーション「映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」(マーク・バートン監督、リチャード・スターザック監督)が4日から公開される。NHK Eテレで放送中の「ひつじのショーン」(2007年~)シリーズ初の劇場用長編だ。
ウナギノボリ
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英国の片田舎。同じ日課の牧場生活に退屈したヒツジのショーンたちは、牧場主を眠らせて“休暇”としゃれ込む。ところが、牧場主を乗せたトレーラーが突然動き出し、大都会に向けて暴走し、それを追った牧羊犬ビッツァーまでもが消息を絶ってしまう。ショーンたちは意を決して牧場主とビッツァーを捜しに大都会へと向かうが……というストーリー。
テレビシリーズは1話7分の短編だが、今回は85分という“超”長編。しかもテレビシリーズ同様せりふはなし。果たして最後まで飽きずに見られるかと心配だったが、そんな懸念は始まってすぐに吹き飛んだ。“主人公”のショーンにはじまり、子羊ティミー、牧羊犬ビッツァー、さらに3匹のいたずらブタにいたるまで、愛らしさ全開の“演技”と表情の豊かさに見とれるばかり。トレーラーの暴走や、シリーズ初の“悪役”で、動物収容センターの捕獲人トランパーとのやりとりなど、普段のテレビシリーズでは味わえないスリルとサスペンスが盛り込まれている。半面、思わず涙ぐんでしまうような場面も……。大都会だから登場する人間も動物も多く、それでなくても製作に時間がかかるクレイアニメに、今作は約100人のスタッフ(ちなみに05年の「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」のときは250人だったそう)が、構想から約2年かけて作り上げたという。地道にコツコツという仕事ぶりには頭が下がる。なお、最後の最後に特別映像が用意されているので、エンドロールが終了するまで席は立たない方がいい。4日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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