アニメ質問状:「GANGSTA.」 架空の街作り、手話の表現にこだわり

「GANGSTA.」の一場面(C)コースケ/新潮社・GANGSTA.製作委員会
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「GANGSTA.」の一場面(C)コースケ/新潮社・GANGSTA.製作委員会

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、コースケさんのマンガが原作の「GANGSTA.」(ギャングスタ)です。バンダイビジュアルの遠藤直子プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 --作品の概要と魅力は?

 エルガストルムという架空の街で便利屋を営む2人の人物を中心にした物語です。マフィアや警察などの組織に属さず、中立という立場なのですが、一人の娼婦と出会い、物語が展開されます。

 --アニメにするときに心がけたことは?

 原作マンガの持つ、魅力的なバディーを中心とした登場人物たちの心情や、アクション描写のスタイリッシュさをいかに映像で表現するか、ということです。手話の表現とニコラスの肉声の表現についても、最初に村瀬修功監督とマングローブさんに相談しました。

 --ハードボイルドな世界観を演出するために工夫していることはありますか?

 エルガストルムという街は、架空の街ですが、コースケ先生に設定の確認をしていただきつつ村瀬監督とシリーズディレクターの初見浩一さんが文化や時代考証など徹底的に分析し、世界観を構築しています。表通りと裏通りの道幅、光の落ち方、建物の構造など原作では描いていない部分も補完しています。お二人の描かれた絵コンテやレイアウトチェックの注記を見ても、背景の指示はすごく細かく丁寧でびっくりしました。

 --ヒップホップ系アーティストのTSUTCHIEさんを音楽担当に起用した理由は?

 TSUTCHIEさんにお願いしたいと、村瀬監督よりお話をいただきました。本作品のイメージと村瀬監督が信頼されている方ですので、ぜひにとお願いいたしました。想像以上に、とても素晴らしく作品に彩りを与えていただき、より洋画や海外ドラマのような雰囲気が増したと思います。音楽を聴かせることによる、登場人物の心理描写演出も素晴らしいと思います。

 --作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 原作マンガをアニメ化するということは、時にオリジナル以上に大変なものだと思います。特に今回は村瀬監督や初見さんだけではなく、作画を統括しているキャラクターデザイン、総作画監督の植田羊一さんにも原作の絵をどのように表現するかということで多大な苦労をおかけしました。キャラクターデザインが、一番大変だったと思います。

 お話はもちろんですが、原作ものはいかにキャラクターデザインするかという点で、アニメをご覧になった方々から、まずいろいろなご意見をいただきますので、現在好意的な意見を頂戴し、大変うれしく思っています。今後どんどんキャラクターも増え、バトルシーンも増えていくので、マングローブさんはじめ、スタッフの方々は、これからも大変な状況が続きます。

 --今後の見どころを教えてください。

 現在のウォリックとニコラスの描写だけでなく、2人の少年期のエピソードも登場します。この少年期があるからこそ、現在の便利屋の2人があるので、過去シーンも見どころです。

 --ファンへ一言お願いします。

 テレビアニメでの(聴力を失っている)ニコラスの表現に関しては、スタッフ、キャストが取材させていただいた東京都聴覚障害者連盟さんのご協力を基に、コースケ先生にもご理解いただき作り上げています。手話の動きに関しては、毎回、東京都聴覚障害者連盟さんへ伺い、実際に手話の動きを撮影させていただき、それを基に手話専用のコンテを起こし、作画している制作陣のこだわりがあります。多くの人に楽しんでもらいたいので、バンダイチャンネル(動画サイト)で毎週木曜午後11時半から日本語字幕付き動画の配信もしています。手話の動き、ニコラスの気づき方など細かなところもぜひ、注目してみてください。

バンダイビジュアル プロデューサー 遠藤直子

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