あのピーターパンの起源に迫るファンタジー作「PAN~ネバーランド、夢のはじまり」(ジョー・ライト監督)が31日から公開される。ヒュー・ジャックマンさんが悪役“黒ひげ”を演じることでも話題になっている今作。主人公の少年ピーターを演じる新星、リーバイ・ミラーさんの澄んだ美しい瞳に魅了され、その一方で、海賊船上での大活劇にハラハラさせられる。子供たちは彼とともに冒険の旅を体験し、大人たちはひととき童心に帰り楽しめるはずだ。
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赤ん坊のとき、母親(アマンダ・サイフリッドさん)に孤児院の前に置き去りにされ、以来そこで大きくなった少年ピーター(ミラーさん)。わんぱくな彼は、今日も意地汚いシスターの悪事を暴こうと、彼女の部屋に忍び込む。そこで見つけたのは、自分への愛がつづられた母の古い手紙だった。そんな中、ピーターは、突然現れた海賊船にさらわれネバーランドに連れていかれる。そのネバーランドは、邪悪な海賊、黒ひげ(ジャックマンさん)に支配されていた……という展開。
さすが“夢の国”というだけあり、ネバーランドの描写は、最初こそ、ほこりっぽい採石場が鬱々とした印象を与えるが、そこを飛び出してからは、色彩にあふれたみずみずしく美しい場所へと様変わりする。海賊船が滑空する場面は躍動感がみなぎり、自分もピーターと一緒に冒険旅行をしている気分になった。配役に目を転じれば、ジャックマンさん演じる黒ひげは、生きることに執着するあまり、腹黒いながらも破滅的な一面を持つ悪役で、どこか悲哀を感じさせるし、ルーニー・マーラさん演じるプリンセス、タイガー・リリーは勇敢でありながらチャーミング。ギャレット・ヘドランドさん演じるフックには、個人的には「スター・ウォーズ」(1977年)のハン・ソロを思い出した。しかし、何といっても今作の大立役者は、ピーター役のミラーさんだ。母を思う姿に胸をキュンとさせられ、その一方で、黒ひげを前に当初おびえていた彼が、ネバーランドの人々のために勇気をふり絞って立ち上がり、また、意を決して空中に身を投げるときのりりしさ、そして、妖精たちの輝きを受けてきらめく瞳の美しさといったらない。とにかく、子供から大人まで、男女問わず楽しめる、愛と夢、希望が詰まったすてきな作品だ。31日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。3D同時公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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