SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第3話 驚愕の真実 大恩人くま
11月17日(日)放送分
ディズニー/ピクサーの最新劇場版アニメーション「アーロと少年」(ピーター・ソーン監督)が全国で公開中だ。川の激流によって、家から遠く離れた見知らぬ土地まで流された臆病な恐竜アーロが、勇敢な人間の少年スポットに助けられながら家路を目指す中で、2人の間に生まれる友情を描いた冒険ファンタジー作だ。日本語吹き替え版で、アーロの声を担当した子役の石川樹(たつき)さんと、アーロを温かく見守るママの声を担当した女優の安田成美さんに、恐竜の“役作り”や作品の魅力、さらに映画にちなんで、人生のターニングポイントや苦手なものなどを聞いた。
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「とにかく、映像にすごくリアリティーがあって、とてもワクワクドキドキ。それにすごく感動しました」と興奮を隠しきれない様子で今作の感想を語る石川さん。対して安田さんは、映画を見終えたあと、「頭に疑問がいっぱい浮かんだ(笑い)」という。
「これだけすごい映像をアニメで作るって、どういうことなんだろうと思った」のがその理由だといい、「あまりにも実写的なので、すごく努力をして作ったのだろうなと思ったのと、あのスタッフロールのメンバーの多さ!(関わった人の名前を)全部書き切っているところに、ピクサーは本当にスタッフを大事にしているんだなあと、また感激したんです」と“疑問”が、映像のクオリティーの高さと、ピクサーのスタッフ愛に対する感銘と紙一重だったことを明かす。
2人が演じるのは恐竜だ。普段は「まず何でもやってみて、ダメだったら悪いところを改善して、またもう1回挑戦してみる」という石川さんは、後半の「アーロが強くなった時の方が、どちらかというと(自分に)合っていた」といい、「最初のアーロは臆病で、僕とは性格が違っていたので、怖がりというのはどういう意味なんだろうと考えながら、アフレコで声を出していきました」と振り返る。
一方、安田さんは「このお母さんは、どこの家庭でもそうであるように、家族を包む優しさにあふれていたので、それが表現できたら」という思い胸に収録に臨んだ。英語版でママを演じるフランシス・マクドーマンドさんの声が深く、太かったことも踏まえ、「私は声が高いので、そのたっぷり感を意識して出す」ことを心掛けたという。
ちなみに、同じピクサー作品「ファインディング・ニモ」(2003年)の続編で今年7月に公開される「ファインディング・ドリー」で再びマーリンの声を担当する夫の木梨憲武さんとは、今作について「やるんだ? 、俺もやるんだよ」「じゃあ、同じ年(の公開)になるんだね」と、互いの健闘をたたえ合ったという。
安田さんが「圧巻の映像」というように、今作は、実写と見まごうばかりの自然の風景やキャラクターの表情の豊かさなど、目を見張る描写にあふれている。とりわけ、言葉を持たない少年スポットには、安田さんも「目の表情や、もの言いたげな時ときの、髪をサラサラと風に吹かせる感じには、アニメーションでこんなのを作られたら、実写のお芝居はどうすればいいの(笑い)」と舌を巻いたほどだ。
そのスポットと「最初は弱虫で怖がりだったアーロが、初めての友達のスポットと一緒に旅をして、強く成長していく姿」を石川さんが見どころに挙げるように、今作では、2人が友情を育んでいく様子が描かれていく。言葉の通じない者同士、心を通い合わせるのに必要なものとして、「助け合い」の心を挙げる石川さん。それによって「自分の性格とか特技とか、そういうものをだんだん強くしていけばいいと思います」と話す。
安田さんは「相手に対する思い」を挙げた。安田さんは、このインタビューの直前に面談したピーター・ソーン監督が「私達のような末端の仕事をしている者にまで感謝してくれて、その時ときの喜びをちゃんと伝えようと頑張ってくれる」姿にいたく心を打たれたようで、「今日の、その時間だけで終わってしまう関係かもしれないけれど、そんな強い思いがあったら、私も一生懸命応えたいと思うし、そういう一瞬の友情というか、愛は、言葉はなくても伝わると思いました」と自らの体験を踏まえ、しみじみと語った。
ところで、地球にもし隕石(いんせき)が衝突しなかったら?という仮定の基に進む今作。では、これがなかったら自分の人生は変わっていた、というターニングポイントについてたずねると、安田さんは「私はやっぱり、今の主人と出会わなかったら、だいぶ人生は違っていたと思います。とても珍しい人……私の真逆というか、まったく見たことのないタイプの人だったので(笑い)、出会えてよかったと思うし、出会っていなかったら結婚もしていなかったかもしれないですね」と照れながら打ち明ける。
一方、アーロの冒険にちなんで、「人生最大の冒険」を聞かれた石川さんが挙げたのは、「小学1年生の時時に初めて一人で電車に乗って、日比谷という駅に行った」ことだという。その答えを、2二男1女一女の母である安田さんが「どこから日比谷まで行ったの?」「遠いよね、長かったね、すごい冒険だね」とニコニコ、感心しながら聞いていた。ところが、石川さんが「でもなんか寝ちゃって、起きた時時には日比谷を過ぎていて……」と告白すると途端に顔色が変わり、「えっ! 危ない、危ない、ダメよ!」と声を上げ、石川さんが無事、目的地にたどり着いたことを確認し、「もうやめてよ、怖いこと。それが一番、親は心配なのよ。よかったねえ、(目的地に)着いて」と心底安堵(あんど)していた。
映画はまた、人生において怖がることも必要と説く。2人に、怖いものや苦手なものをたずねると、「ゴキブリ!」と間髪入れずに答えた安田さん。石川さんが「僕はそこまで怖いものはない」というと、「ゴキブリは? お化けは?」と矢継ぎ早に質問。それに石川さんが「大丈夫。家に虫が出た時きは、ティッシュでつかんで逃がしてあげる」と胸を張ると、石川さんに妹がいることを知った安田さんは「お兄ちゃん、頑張るねえ。えらいなあ。うちは誰もやってくれないよ。ゴキブリが出ると押し出されるの、やってやってって。私、戦ってるよ(笑い)」と、うらやまし気な表情を浮かべていた。
そんな安田さんは「アニメだから子供中心だと思うかもしれませんが、大人の人が一人で見ても、ばっちりなんじゃないかなと思います。本当に気持ちが満たされるし、癒やされるし、精神的にとてもいい映画です」と今作についてアピールする。石川さんも、「子供が見ても面白いし、大人が見ても感動できるんじゃないかと思います」と力強く語った。映画は12日から全国で公開中。
<安田成美さんのプロフィル>
1966年生まれ、東京都出身。81年のCMデビュー以来、数々のテレビドラマや映画で活躍。日本アカデミー賞では2度の主演女優賞に輝き、また、2009年にはベストマザー賞にも輝いた。最近の出演映画に「HOME 愛しの座敷わらし」(13年)、「王妃の館」(15年)などがある。
<石川樹さんのプロフィル>
2003年生まれ、東京都出身。08年のCMデビュー以来、映画、テレビドラマ、CMを中心に活動。ドラマ出演作に「花燃ゆ」(15年)、「わたしを離さないで」(16年)など。映画「忍者虎影」(15年)では主人公虎影の息子を演じた。
(インタビュー・文・撮影/りんたいこ)
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2024年11月18日 05:00時点
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