この「「緊急取調室」第5シーズン インタビュー」ページは「「緊急取調室」第5シーズン」のインタビュー記事を掲載しています。
俳優としてのキャリアは20年以上、数々のドラマで存在感を放つお笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅さん。人気ドラマ「緊急取調室」(テレビ朝日系、木曜午後9時)にはシーズン途中から加入し、“玉ちゃん”の愛称でおなじみの刑事・玉垣松夫を演じている。ファイナルとなる第5シーズンが放送中のいま、改めて作品への思い、そして芸人と俳優の両立についても聞いた。
◇天海祐希から“お叱り”受ける
「僕以外の皆さんは最初からのメンバーで、結束力があった。途中参加するのは、正直プレッシャーでした。しかも大杉漣さんの後を継ぐ形だったので、なおさら覚悟がいりました」
天海祐希さん演じるたたき上げの取調官・真壁有希子ら警視庁捜査1課「緊急事案対応取調班(通称キントリ)」と、凶悪犯たちとの一進一退の心理戦を描く同作。塚地さん演じる玉垣は、2019年の第3シーズンから、故・大杉漣さんが演じていた中田善次郎の後任として登場した。
「大杉さんが存命だったら実現するはずだった別作品で、上司と部下を演じる予定だったんです。なので、このお話をいただいた時は大杉さんからバトンを渡されたような感覚でした。プレッシャーはありましたが、やってみるべきなんだろうなと」
重圧の中で初めて現場に行った時の天海さんの言葉が忘れられないという。
「『引き受けてくれてありがとうね』と言ってくださったんです。大杉さんの代わりに僕が入ることに葛藤はあったと思うのですが、そんな言葉をいただけるなんて思っていなかったので、ぐっときました。期待に応えたい、僕が入ったことで別の角度で面白みが出たらいいな、という思いで演じてきました」
迎えてくれた現場の雰囲気は想像以上に温かかった。
「本当に和気あいあい。大先輩なのに小日向文世さん、でんでんさんもフランクで、威圧感なんて全く感じさせない。小日向さんとの最初の会話が『塚地君、ウォシュレットって使ってる?』でした(笑)。そんなところから自然に輪に入れてもらえた感じでした」
楽しい撮影現場だが、座長の天海さんが“締める”時も。
「天海さんとほかのキャストは“先生と生徒”のような関係。撮影前におしゃべりしていても、天海さんが『いくよ』と言うと一瞬で現場がピシッと締まる。ドラマの中の緊張感は、天海さんがいたからこそ生まれていると思います」
天海さんから“お叱り”を受けたこともあった。
「天海さんに“決定打になる証拠”を渡すシーンがあり、待ち時間に(スナック菓子の)『うまい棒』があって、ちょっとつまんじゃったんです。そしたら指に粉がついたままになっていて、『あんた、うまい棒食べたでしょ!』と愛のあるツッコミをもらいました(笑)」
◇「まだまだ未来は明るい」と思った
芸人と俳優、二つの顔を持つが「切り替えはしていない」と話す。
「スイッチを変える感覚はないです。どちらの仕事も自分の中で共存している。同じ家の中に“お笑い”と“芝居”が一緒に住んでる感じ。お笑いが“友達”だとしたら、芝居は“その友達の友達”。お笑いがなかったら芝居と知り合っていなかったし、どちらも大切にしています」
芸人と俳優、どちらにも偏らずに取り組むのが「自分らしさ」だという。
「どちらかに振れちゃう人が多い中、自分で言うのもなんですがバランス良くやらせていただいているのは珍しいのかなと。それが“自分らしさ”にもつながっていると思うので、今後も、両方を丁寧にやっていきたいです」
「緊急取調室」では大先輩たちの背中に励まされ、学んだ。
「僕も53歳で、若手の多い現場ではお父さん役が増えました。でも『緊急取調室』では年上の先輩ばかりで若造(笑)。年上の先輩たちが楽しそうに、そして真剣にお仕事をしている姿を見て、まだまだ未来は明るいというか、将来自分もこう在りたいと思いました」
「若手と話す時も、壁を作らずに接する。片や撮影の時はビシッとメリハリをつける。そんな空気があるからこそ、長く続くようないい作品ができるんだと思います。自分もそんな現場を作れる人になりたいですね」と笑顔で語った。